イベントは不参加でも、息子さんが代わって参加
2023年10月15日に福岡県北九州市門司区にて開催された「門司港レトロカーミーティング2023」には、国籍問わず様々なビンテージカーが大集合していた。その中でも、そのサイズ感で目立っていたのがこのフォード「サンダーバード」。全長5.7m以上、全幅2m以上のド迫力ボディで、当時のフォード史上、2268kgという最重量ボディを持って生まれたこの6代目のオーナーは、なんと2023年で御年88歳になられる方だった。しかし、「遠出は無理」とイベントにご本人は来られず、代わって息子さんである佐藤章彦さんが代理参加。お父さんのサンダーバードに対する思い入れを、章彦さんに教えてもらった。
大きなサイズのクルマが大好きだったお父さんが選んだ最後の愛車
原油価格の高騰が続き、燃費が良くない大排気量車を所有するには、世知辛い時代になってしまった。それにも関わらず、漢気溢れるフォード「サンダーバード」で「門司港レトロカーミーティング2023」に参加していた佐藤さん。そのサイズ感と存在感で会場でも目立っていたが、この車両の本当の所有者は、佐藤さんのお父上である、健太郎さんだった。
「父は昭和10年生まれなので、今年で88歳になります。12月に米寿のお祝いをするんですよ。私が子供の頃に、父はこの時代のサンダーバードを前期、後期と乗り継いでいました。後期は私が20歳の頃まで乗っていたような気がしますね。ファミリーカーとして使っていたので、サンダーバードに乗って、いろいろな場所に連れて行ってもらった記憶があります」
章彦さんが子供だったことあり、詳細な車種は曖昧だそうだが、アメ車はポンティアックやリンカーン、ベンツにセンチュリーなど、健太郎さんはクルマが好きでいろいろな車種を乗り継いできたそう。そんな父親が、「もう一度乗りたい」と希望したため、1年ほど前にこの「サンダーバード」を入手したのだとか。
当時と同じカラーリングは残念ながら見つからず
「当時乗っていた後期型は、ボディカラーがブラウンだったんです。父親は同じ色を欲しがっていました。でも、さすがに同色はなかなか見つからず。結果的に、このホワイトの車両が出てきたので、これを手に入れたのです」
ちなみに、健太郎さんがこの後期型の前に所有していた前期型は、ホワイトだった。そして見つかったこの個体は、ボディとレザートップの色が異なるが、仕様は全く同じ。しかも、GM「キャデラック」やフォード「リンカーン」ならば少なからずいろいろな個体が出てくるが、日本国内ではとても珍しい「サンダーバード」だったことも、車両探しに苦戦した理由でもあった。結果的に、後期型として仕様は同じだし、前期型に乗っていたときはホワイトだったから、「いろいろな思い出が織り交ざるのでちょうどいい」ということで、この個体を購入したのだ。
「父親が死ぬ前に、この愛車をイベントでお披露目しようかと話したんですが、遠出はきついから嫌だと(笑)。助手席に乗るのも嫌がったので、サンダーバードを借りて、私が運転してきました」
章彦さんによれば、健太郎さんは若い頃から大きなクルマがお好きだった模様。思い入れが強かった念願の「サンダーバード」を手に入れたことで、その喜びもひとしおだったそうだ。遠出はしないけど、近隣を走り回って楽しんでいる姿を想像すると、いつまでもお元気で、大好きなクルマ生活を安全に送ってほしいと願うばかりだ。