イラスト販売していたブースの看板車はキャトル
2023年10月に車山高原で初開催となったフランス車のイベント「アロンフランセ車山」。本部テントエリアではフランス車専門店のほか、フランス雑貨などの出展ブースが並んだ。その中で、自作のイラストやフランス車をモチーフにしたトートバッグなどを展示販売していたのが奧村文晴さんだ。ブースの隣には、看板犬ならぬ看板車として、愛車ルノー「4(キャトル)」が人目を引いていた。
ディーラーが1週間お試しで貸してくれた
この1989年式キャトルGTLと奧村さんの付き合いは34年、走行距離は18万kmを超えたという。
「キャトルが生産中止になると聞いて、近所のルノー販売店へと見に行ったんですよ。すると対応してくれた営業マンから、“すぐには決められないと思うので、お貸ししますから1週間乗ってみて、それからどうするか決められてはいかがですか?”と提案されたんです。キャトルに乗るのはそのときが初めてで、ダッシュパネルから突き出しているシフトも独特ですよね。これって操作難しくないかな? 普通はそう思いますよね(笑)。それでも、ちゃんとパターン通り操作すれば、違和感はなく心地良いものでした」
それまで乗っていたVW「ゴルフ1」とはまた違った運転の楽しさと、クルマという塊を動かしているという実感を、よりキャトルから感じたそうだ。試乗貸し出しの1週間を待たずして、奧村さんは即時購入を決めることとなり、新車をオーダーしたのが1989年のことだった。
オーダーミスで違う色になったのも今は良い思い出
「オーダーしたボディカラーは薄いブルーだったのですが、港に到着したクルマには、そのカラーは手違いで船に乗っていなかったんですよ。再度頼んでも、次はいつ入ってくるか分からないということでしたので、そのときに輸入されたキャトルたちの中から選ぶことになりました。今こうしてキャトルを眺めていると、このブルーグレーの色味の方が自分には合っていました。輸入車ならではのオーダーミスなんていうのも、このクルマのエピソードとして、懐かしく楽しい思い出ですね」
「サイドミラーを旧型のタイプに交換し、フォグランプを追加して、ちょっとクラシカルな雰囲気のモディファイをしております。ミスマッチかもしれませんが、ナルディの皮巻きステアリングを付けたくて、スプラインのところをサンクから流用しアルミ削り出しのボスを装着しています。そして、じつはヤマハのオートバイSR400で使っていたマフラーのスーパートラップを装着。世代的に、この2つはかなり刺さっているアイテムなんです」
クラブのメンバーたちで助け合って乗り続ける
ところで、34年間という長い所有歴であるが、トラブルなどは無かったのだろうか。
「ラジエターでしょ、マフラーの中間パイプにキャブレター。酷かったのは、リアゲートって上に跳ね上がるじゃないですか。開けたと同時に横回転。左側のステーが錆びていてもげちゃったことがあります。今、お話したトラブルは全て、キャトルクラブのメンバーにパーツを譲ってもらい解決しました。キャトルクラブには20年前から入っているのですが、故障やトラブルが起きたときには、メンバーに部品を調達してもらったり、修理のアドバイスをしてもらったり、自分でも少しずつ触れるようになりましたね」
奧村さんの在籍しているクラブ・ルノー・キャトル・ジャポンは、関東、中部、関西でそれぞれツーリングやキャンプ、ピクニックといったイベントを開催し、隔月で発行しているクラブ誌では、そうした報告や新メンバーの紹介など、全国のメンバーとコミュニケーションを取っている。そうしたクラブの存在は、ずっとキャトルに乗り続けている原動力でもあるという。
「そろそろタイヤの交換を考えているのですが、オリジナルサイズは135-80R13で、このサイズをミシュランは生産中止しているため、他メーカーからの選択になってしまいます。どこのメーカーにするのか、かなりの悩みどころです。タイヤもクルマの顔ですからね」
と、最後にキャトルオーナー全員が熱望しているタイヤ問題を代弁してくれた奧村さんであった。