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ケン・ブロック仕様のフォード「フィエスタ」を個人輸入で作った!「できれば本人に見て欲しかった」というこだわりの作り込みとは?

ケン・ブロックよ、永遠なれ!! 

2023年12月9日に、福岡県北九州市にあるひびき海の公園で開催された「TOYO TIRES FAN MEETING IN FUKUOKA」の会場内に、1台のレースマシンが展示されていた。そのカラーリングは、ジムカーナという競技をパフォーマンスとしてショーアップし、世界的人気ドライバーの仲間入りをしたケン・ブロックの愛車そのもの。これが、TOYO TIRESのメインステージブース横ならば、本物が展示されていても理解できるのだが、見かけた場所はコンテストエントリーに応募した参加者の皆さんの展示スペース。しかも、この車両は日本未発売の3ドアのフォード「フィエスタ」だ。一体この車両の正体とは!?

車両輸入から始まった、敬愛するケン・ブロック仕様

芝生の展示スペース内で、一番目立っていた車両だった。MONSTER ENERGY(モンスターエナジー)、HOONIGAN(フーニガン)、TOYO TIRESのロゴに、ゼッケンは43。それがどんな車両であれ、このロゴの並びを見ればクルマ好きならば理解できるだろう。このフォード「フィエスタST」は、アメリカの大人気動画コンテンツ、「HOONIGAN GYMKHANA(フーニガン ジムカーナ)」シリーズの主人公であったケン・ブロックが、タイヤスモークを巻き上げて、今にも飛び出して行きそうな雰囲気を醸し出していた。

この「フィエスタST」のオーナーは、ヒロさん。元々はモータスポーツの中でもラリーが好きだったそうだが、ケン・ブロックの登場と共に彼の虜に。彼に対する憧れを形にするべく、ベース車をイギリスより個人輸入。しかも、外装パーツも海外から取り寄せ、念願のケン・ブロック仕様を完成させ、この日の「TOYO TIRES FAN MEETING IN FUKUOKA」にて、初披露となったのだ。

日常使用も考慮して、イギリスから右ハンドルを輸入

この4代目フォード「フィエスタ」は、日本では2014年から正式販売された歴史を持つ。しかし、その仕様は排気量1000cc、直列3気筒ターボを搭載した5ドアのみ。一方、ヒロさんの愛車は、直列4気筒1600ccターボを搭載した2017年型「フィエスタST」がベース。しかも、ケン・ブロックのレースマシンと同じ3ドアであることが重要なのだ。

「2018年に車両探しから始めたのですが、すでにその時にはフィエスタが5代目にモデルチェンジしていたのです。でも、僕は4代目の2017年式をベースに作りたかったので、中古車を探しまくりました。でも、この車両はヨーロッパではすごく人気があるので値段も高くて。3ドアで作らないと意味がないと考えていたのですが、そうなるとアメリカかイギリスで探すしかなかったんです。その後、走行6000マイルほどのこの車両が見つかったので、それを購入し日本へ輸入しました」

最終的にはイギリスから輸入したのだが、その理由は「右ハンドルだから」。製作当初より、日常での使いやすさも重視して、車両選びをしていたそうだ。

来場者の投票で選ばれる賞を獲得!

ワイドボディキットも輸入し、ラッピングをして完成。

ワイドボディキットに関しては、やはり欧州よりラリーで使われるフィエスタ用の製品を個人輸入。そのパーツはおそらく、世界ラリー選手権の下位カテゴリーに参戦する車両のために市販されているボディキットだと思われる。

「ルーフのエアインテークは、別メーカーの商品でした。それも単独で見つけて輸入しようと試みたのですが、先方からは破損の恐れがあるなどの理由で、販売を拒否。それをなんとか説得して、ようやく入手できたのです」

こうして車両選定から各パーツの輸入と苦労しながらも、2020年にボディキットなどを組み合わせた状態が完成。そこから半年後に、当時の最新カラーリングであった2020年版のこのデザインを、愛車の2017年型「フィエスタ」へと落とし込んで完成。その後、コロナ禍などの影響で一般にお披露目することなく楽しんでいたが、今回ヒロさんの地元の九州で「TOYO TIRES FAN MEETING IN FUKUOKA」の開催を知り、ここで初披露。そして見事に、来場者投票で選ばれる「BEST CAR OF PROXES」の賞を獲得することができたのだ。

「完全なレプリカを目指すにはいろいろ制約があって難しいのですが、少しずつアレンジを加えながらここまで漕ぎつけました。できることならば、ご本人にこの車両を見てほしかったですけどね。それが叶わなかったのだけが残念です」

こんな熱いファンが日本にもいる事を、ケン・ブロックは空から見守ってくれていることだろう。

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