KYOJO CUPに参戦中の19歳女子レーサー、佐々木藍咲選手
近年は旧車ブームも相まってか「旧車が好き」という若者が増えている。しかし、実際に若者が旧車を見たり、触れたり、乗ったりするという機会は少ない。そこでAMWでは、旧車好きな19歳の女性レーシングドライバー佐々木藍咲(ささき らみ)選手に、実際に旧車に乗ってもらい、若者の新鮮な視点からインプレしてもらうことにした。今回はトヨタの元祖ボーイズレーサー、「カローラレビン」の初代モデルTE27型だ。
Vintage Club by KINTOの旧車レンタカーで初代TE27レビンを体験
富士スピードウェイで開催されている女性だけのモータースポーツカテゴリー「KYOJO CUP」で2023年シーズンに4輪レースデビューした佐々木さんは、旧車イベントに参加したことをSNSに投稿するほどの根っからの旧車好きだ。近年のレーシングドライバーは「レースという競走が好きで、クルマそのものはそこまで……」という選手も多いが、佐々木さんはプライベートでもマイカーのトヨタ「86」でサーキット走行を楽しむほど。
レーシングドライバーをする傍ら、普段はフォーミュラドリフトジャパンを運営する会社である「MSC株式会社」に勤めるという、公私ともにクルマ漬けの生活を送っている。
そんな佐々木さんに今回乗ってもらったのは、1974年式の初代カローラレビン。この車両は、トヨタ自動車と新明工業によって完調にレストアされた旧車をレンタカーとして貸し出している「Vintage Club by KINTO」からお借りしたもの。今回試乗したTE27以外にも、さまざまな旧車をレンタカーとして楽しむことができる。
母が乗っているAE86レビンのご先祖様!
旧車が好きな佐々木さんだが、じつはTE27は以前からとくに好きなクルマのひとつだったそうだ。
「見た目のコンパクト感というか、バランスよくまとまっている印象が好きです。母がAE86レビンに乗っているのでTE27はその先祖に当たるのですが、親子ともにレビンが好きなので、今日の試乗は母に自慢しちゃいます!」
試乗車はTE20セダン用のダッシュボードを流用しているが雰囲気はほぼ当時のままで、内装の状態も良い。ステアリングはナルディ製に変更されている。
「シフトレバーの位置が今どきのクルマと比べると独特ですけど、操作しやすくていいですね! あとアクセルとブレーキのペダルが近いので、街乗り程度の速度域だったらヒール&トゥじゃなくてトゥトゥが、もしかしたらできるかもしれないです」
19歳の女子からトゥトゥという言葉が出てくることにも驚きだが、これもペダルの間隔が狭い3ペダルのレーシングカーであるVITAでKYOJO CUPを戦っている佐々木さんだからこそのコメントだろう。
「操作がそのまま伝わる感触がなんだか好きです!」
昔から憧れていた1台であるTE27を実際に運転した佐々木さん。年代で言えば以前試乗した「セリカ1600GT」と近いが、以前よりも手慣れた様子で試乗を開始した。クルマに対しての順応力が高いあたりはさすがレーシングドライバーだ。
「想像していたよりもペダルの遊びが少ないですね! ペダルで言えばクラッチが重たいのに驚かされました。全体的に当初イメージしていたよりもユルユルしてなくて、思ったよりしっかりとしたクルマです。パワステが付いてないのですが、タイヤからのインフォメーションが分かりやすいです。ステアリングをはじめ、操作に対して力を増やしたりする機構がないので、操作がそのまま伝わる感触がなんだか好きです!」
見るだけではなく、操る部分でも旧車の魅力に染まってきた様子だ。ただ、旧車特有のクセのような部分に少し悩まされる部分も。
「ブレーキはやっぱり頼りないというか、単純に思ったよりも止まらない印象ですね。あとはペダルが配置されているのが思ったよりも手前で、あんまりスポーツカーぽくないドラポジで戸惑いました。なんだか座った印象だけで言えばトラックみたいかも」
そんなマイナスポイントもあったようだが、佐々木さんは撮影中「欲しい!」という言葉を多く口にしていて、これまでの旧車試乗の中では一番「欲しい度」が高そうな様子であった。
佐々木さんの旧車試乗は今後も計画中。次回はどんな旧車をドライブするのか? お楽しみに。
佐々木藍咲選手のTE27カローラレビン総評
好きなポイントは?
「何より見た目! コンパクトにバランスよくまとまったデザインは旧車の中でもとくに好きなデザイン。あとはダイレクトな操作感」
マイナスポイントはある?
「正直とっても気に入ったのであまりないけど、しいて言うなら、ドライビングポジションがちょっとしっくりこないかな」
もしも愛車にしたら?
「あまり不満はないけどマフラーやエキマニを変えてみたい。そしたらもっとキレイな音になるかも」