20万マイル以上の航続距離を達成
11年間にわたり航海史に新たなページを刻む多くの偉業を成し遂げ、20万マイル以上の航続距離を達成した、ジョヴァンニ・ソルディーニとマセラティとのコラボレーションが幕を閉じます。ジョヴァンニ・ソルディーニとマセラティの⻑期にわたるパートナーシップは、2012年、モノハル艇マセラティ「VOR70」のプロジェクトからスタート。2016年には、海洋航行フォイリング技術を導入したトリマラン艇マセラティ「Multi70」に移行し、キール(竜骨)の下にフォイルを搭載した最初の船としてその技術の先駆者となりました。その軌跡を振り返ります。
過去の記録を5日間上回る快挙を達成
イタリア人で世界的ヨットレーサーのジョヴァンニ・ソルディーニ氏とマセラティのパートナーシップは、2012年にスタートした。11年間にわたる偉業と20万マイル以上の航行を経て、調査実験や技術的進歩、またスポーツパフォーマンス等、すべての面において並外れた結果を残した。これこそがジョヴァンニ氏とマセラティとの同盟関係の核心と言えるだろう。
この11年間、船体の付属品の開発から空気力学の研究、トリム(バランス)テストやエネルギー管理などを手掛け、ジョヴァンニ氏と彼のチームは歴史ある航路において9つの新記録を樹立し、また世界中で開催されたレースに27回参加してきた。
彼らの輝かしい記録の中には、2013年にニューヨークからケープホーンを経由してサンフランシスコを目指す1万3219海里の「ゴールデン・ルート」をマセラティのモノハル艇で参加し、47日42分29秒の記録で走破したことや、2014年の「ケープ・トゥ・リオ」での優勝、2016年の「ロレックス・シドニー・ホバート」での素晴らしいパフォーマンスなど、成功に彩られた様々な歴史を垣間見ることができる。
マセラティのスポーツ史に永遠に残る
マセラティ「Multi70」は、忘れることのできない壮大なチャレンジに挑み世界一周を果たした唯一のMOD(モダン・オーシャン・デザインの略)であり、一度ならずとも、四度にわたり記録を出している。2023年の最後の航海では、船上に設置された太陽光発電システムと電動エンジンによって⻑期航海に必要なエネルギーすべてを自己供給できる、初のオーシャンレーシングヨットとなった。
また、2022年以降トリマラン艇はユネスコのモニタリング・プログラムにも貢献している。このプログラムの一環として、航海中にCO2濃度、海水の塩分度、温度などの重要なデータを収集し、これらの情報は気候変動や海洋環境の研究において科学者たちにとって非常に重要なデータとなっている。
ジョヴァンニ・ソルディーニは以下のようにコメントを寄せた。
「発見、困難への挑戦、革新、そして大海原。楽しい冒険に満ち溢れた経験でした。マセラティによるかけがえのないサポートによって最高級の取り組みができ、誇るべき偉業とその成果を成し遂げることができました。
このマセラティ・チームと20万マイルを超える旅を一緒に走り続けてきてくれたすべてのパートナーに感謝します。そして、耀かしく重要な目標を私とともに達成するために、期間中、情熱と技術を以て貢献してくれたクルーのみなさんにも、特別な感謝を捧げます」
マセラティCEOのダヴィデ・グラッソはこのようにコメントを発表した。
「ジョヴァンニは10年以上にわたってマセラティを駆って海を渡ってきた、才能に溢れ、模範的で情熱的なスポーツマンであり人間味溢れる人です。これと同時に、粘り強さや勇気、仕事と我々の共通価値観に対する献身的な模範人物でもあります。ジョヴァンニとともにこのブランドを共有できたことは、名誉この上ないことでした。
マセラティにとっての重要なパートナーシップには、今回終止符を打ちますが、ジョヴァンニのこれまでの貢献と、世界中で最高のブランド・アンバサダーとしての活躍には感謝をして止みません。⻑年にわたり、我々は刺激的な冒険、栄光の瞬間、そして忘れられない記録を分かち合ってきました。そしてそれはマセラティのスポーツ史に永遠に残ることでしょう」