W124シリーズを愛し続け、このS124で4台目
1985年デビューとすでに40年近くが経過しているにもかかわらず、今なお根強いファンが多い名車がメルセデス・ベンツ「W124」の初代「Eクラス」。そんなW124をこよなく愛するオーナーが集う「W124-CLUB-JAPAN」の年に一度の全国オフ会が2023年12月10日に愛知県のトヨタ博物館で開催されました。総勢40台以上がエントリーした中から、今回は、魅力的なボディカラー「ベリル」をまとったW124のステーションワゴン「S124」のオーナーを紹介します。
ベリルカラーは超希少な存在
2020年1月24日に発足したW124-CLUB-JAPANは、会員500人以上を数えるメルセデス・ベンツW124型のオーナーズクラブだ。クラブの代表を務める大竹永晃さんも、もちろん筋金入りのW124愛好家で、過去に220E、230E、300Eと、初期型と前期型のセダンを3台乗り継いできている。現在の愛車は1994年式のS124型「E320ステーションワゴン」。後期型と呼ばれる、フェイスリフトされたモデルであり、大竹さんにとって4台目のW124シリーズとなる。
このE320ワゴンの最大のこだわりのポイントは、「ベリル」と呼ばれる何とも名状しがたい絶妙なボディカラー。新車販売当時には日本正規インポーターでは特別注文色だったのだが、現存しているW124シリーズの中でも今や希少な存在となっている。
「当時、このベリルカラーを選択した場合は納車までに日数もかかるうえ、数年経ってクルマを買い替える際にはいわゆる“不人気色”で下取り金額も安くなる可能性もありました。ですので、本当に惚れこんだ余裕のあるオーナーしか買えない色で、台数が少ないのではないでしょうか」
と大竹さんは推測している。このクルマは10年ほど前にたまたま見かけたもので、前オーナーを7年がかりで口説き落として、3年前から所有しているそうだ。
並行輸入車の仕様違いを楽しみながらディテールアップ
日本の正規インポーターからの車両ではなく、ロシア向けに作られた車両が新車で並行輸入された個体で、いくつかの装備が日本仕様と異なる点がW124フリークの大竹さんを満足させているようだ。例えば、正規輸入車であれば4速ATのところが5速ATであったり、ASDも装着されていたりと、並行輸入車ならではの仕様の違いも楽しめるポイントなのだ。
また、W124特有のウィークポイントとして、メーターベゼル部分に白いカビのような、マダラな塗装の劣化が起きてしまう。ここも大竹さんはクラブ内の有識者に教わってメーターを分解して、接着されているアクリル部分を丁寧に剥がし、劣化したベゼルを特殊な艶消しで風合いの合った塗料で塗り直し、組み直して綺麗な状態を保っている。ご本人は簡単に言うが、普通はかなり繊細で時間もかかる作業であり、ただならぬW124愛がなくてはとてもできないだろう。
外装は、上級グレードであるE500のヘッドライトに交換されていたり、前期にしかなかった純正の15インチ鍛造ホイールが装着されている。また、最初に乗っていた220Eは追突事故で廃車になってしまったこともあり、北米では正規装着パーツだったハイマウントストップランプを増設している。
ちなみに気になる故障だが、ATのオーバーホールと突然抜けたブレーキのマスターシリンダー交換くらいで済んでいるという。先代オーナーがしっかりと整備をしていた個体なので、それほど故障もなく、このE320ステーションワゴンはまだまだ充分に実用モデルとしても活用できそうなのだった。