若手ラリードライバー育成のための新たな制度
全8戦で行われる全日本ラリー選手権の2024年シーズンが開幕されました。2024年3月1日から3日にかけ愛知県蒲郡市を中心に開催された「RALLY三河湾2024 Supported by AICELLO」には90台にも及ぶ参加者が集まり、この週末の来場者数は5万人を超えるものとなりました。今回、あらたに「モリゾウ チャレンジ カップ」が設定され開催されました。詳細をお伝えします。
イコールコンディションのトヨタGRヤリスで参戦
「RALLY三河湾2024」は、愛知県三河湾に面したラグーナ蒲郡地区にあるラグナマリーナにHQが置かれ、2日間で14の多彩なSS（スペシャルステージ）が設定された。蒲郡にあるミニサーキットのスパ西浦モーターパークを含む「西浦シーサイドロード」や、相楽ヒメハルロード周辺の林道を使用する「ヒメハル」、竹島ふ頭を使用した「がまごおり竹島」といった蒲郡市内はもちろん、「岡崎桑谷山」、「豊川宮路山」、「幸田遠望峰山」といった隣接する岡崎市、豊川市、幸田町にまたがる林道なども活用された。
トヨタ「GRヤリス ラリー2」を駆る勝田範彦／木村裕介組が、全日本ラリー選手権はJN-1からJN-6までの6クラスで開催され、最高峰となるJN-1クラスではトヨタ「GRヤリス ラリー2」を駆る勝田範彦／木村裕介組が優勝した。この中のJN-2クラス（気筒容積が2500ccを超えるRJ車両および気筒容積区別なしのRRN車両）に、若手ドライバー限定のクラスが新たに設けられることとなった。それが「MORIZO Challenge Cup（略称：MCC）」である。
JN-2クラスは、ステップアップを目指す若手ドライバーはもちろん、経験豊富なベテランも数多く参戦しているクラスだが、このMCCは、25歳以下のドライバーが対象（TGRラリーチャレンジ優勝かシリーズクラス3位以上の経験／地方選手権入賞経験／全日本ラリー参戦経験があれば29歳以下の参戦も可能）の、全日本選手権とは別の賞典が付くシリーズとなる。
MCCは参戦費用の削減とイコールコンディションを目的として、指定パーツの装着や改造範囲の制限などが設けられたトヨタGRヤリスで参戦をする。MCCの上位入賞者3名にポイント付与（全8戦中6戦が有効）され、最多SSトップタイム賞も表彰される。シリーズ年間成績優秀者には、フィンランドのTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamにおいてラリー講習へ参加する権利が与えられる。
RALLY三河湾には8名がエントリー
今回の「RALLY三河湾」には、大竹直生（ゼッケン18 GR YARIS GR4 Rally）、山田啓介（ゼッケン19 FIT-EASY Racing ZEAL GR YARIS）、貝原聖也（ゼッケン20 ADVICS×多賀×K-One GRヤリス）、KANTA（ゼッケン21 TK Motorsport GR YARIS）、中溝悠太（ゼッケン22 カヤバDUNLOP GR YARIS）、稲葉摩人（ゼッケン23 Ahead GR YARIS）、星 涼樹（ゼッケン24 CUSCO GRヤリス）、最上佳樹（ゼッケン25 FIT-EASY Racing ZEAL GR YARIS）の8名がエントリーした。各選手それぞれのラリー競技歴はさまざまで、今回初ラリーという参加者もいる。事前にはMCCエントラント向けの練習会が富士スピードウェイで行われてもいる。
2021年の全日本ラリー選手権JN-3クラスタイトルを獲得し、翌年からTGRラリーチャレンジプログラム2期生としてフィンランドを拠点に2年間修業を積んできた大竹選手が序盤から速さを見せつけた。5つのSSでトップに立ったものの、初日の最後のSSであるSS8ヒメハル2でのクラッシュでリタイア。SS3で大竹選手のタイムを上まわった見原選手が初日トップに立った。これに続く2番手に4.1秒差で山田選手（JN-2クラス3番手）、そして中溝選手（JN-2クラス6番手）というオーダーで初日を終えた。
続く2日目は、SS9でトップタイムをマークした山田選手がその後もSS12でもクラストップを記録。しかし、貝原選手もSS13で11分6秒9のSSトップタイムで、このSSを11分27秒3のクラス5番手で終えた山田選手に競り勝ち、トップに再浮上する。
そんな熾烈なトップ争いだったが、SS13の終盤からスローパンクチャーに見舞われていた貝原選手は、最終SSで山田選手のタイムを上まわることができず、FIT-EASY Racingの山田啓介／藤井俊樹組がMCCの初の優勝者となった。