いまや見かけることの少なくなったS130型フェアレディZ
オートモビル・クラブ・ジャパンが2023年12月10日に東京都国立市の谷保天満宮で開催した「谷保天満宮旧車祭」には、戦前車からスーパーカーまで約190台の名車が集まりました。そんな会場から今回は、いまや希少な存在である日産の2代目S130型「フェアレディZターボ Z-T」のオーナーに話を聞いてみました。
S130の末期に短期間だけ販売されたターボ仕様
日本を代表するスポーツカーとして数多くのファンを獲得している日産「フェアレディZ」だが、初代のS30型や5代目Z33型以降のモデルに比べると、2代目S130型や3代目Z31型を見かける機会は少なくなっている。そんななか、谷保天満宮旧車祭において、S130型フェアレディZターボにずっと乗っているという大ベテランのオーナーがいたのでインタビューさせてもらった。
「フェアレディZは1978年に2代目のS130型にフルモデルチェンジしました。エンジンの排気量が2000ccのZと2800ccの280Zの2系統があり、エンジンはどちらもL型の直列6気筒でした。スタイリングは、伝統のロングノーズ・ショートデッキでしたが、ボディサイズが拡大され、室内スペースが広くなりました。2シーター、2 by 2とも使い勝手がよくなりましたね」
開口一番そのように話してくれた吉野和弘さん(67歳)がS130型を入手したのは1982年のことで、新車を購入したのだという。
「1982年10月に2000ccのZと280Zをベースとした、歴代フェアレディZ初となるターボエンジン仕様がそれぞれ日本と米国で登場し、次期モデルであるZ31型のデビューまで1年を切ったタイミングではありましたが大ヒットしました。日本市場に投入されたターボエンジンを搭載するフェアレディZは2000のZ、Z-L、Z-T、Z-Tバーで、当時25歳だった私はZ-Tをチョイス。スポーツカーが欲しくて買い、42年間乗っていたら、いつの間にか愛車がクラシックカーと呼ばれる存在になっていました」
42年間でクラッチ交換以外は大きなトラブルなし
日産「ジューク」を足グルマとして使いつつ、フェアレディZターボも週1で必ず乗っているそうだが、累計走行距離は5万9000kmで、その年式から考えると驚くべき低走行車なのであった。
「1982年に納車されたときのままで維持しているので、こういったイベントに参加することで新車時の姿を皆さんに見てもらっています。新車からワンオーナーでフェアレディZターボを所有しているのは、もう私ぐらいしかいないのかもしれませんね」
どうやって維持してきたのかが気になったので伺ってみたら、このように回答してくれた。
「車検が基本で、気になる部分はその都度整備してきました。エンジンがL型の直列6気筒なので、これは今でもなんとかなりますが、さすがに内外装のパーツはないです。以前は日産のプリンス店でメンテナンスしてくれました。わざわざ整備マニュアルを取り寄せ、分解する方法を調べながら作業してくれました。今お願いしているショップも、いろいろやりくりしながら、がんばってくれています」
クラッチがダメになり、1回だけ交換したそうだが、それ以外はこれといった大きなトラブルはなかったとのこと。今後も吉野さんのフェアレディZターボはイベント会場でギャラリーたちを1982年にタイムスリップさせてくれることだろう。