注目が集まっているオーバーランダー
働くクルマとしてお馴染みのキャブオーバー型のトラックトヨタ「ダイナ」をベースに、オーバーランダーとして仕立てたマシンを東京都町田市に拠点を置く「ハーディーズ」が完成させました。そのワイルドなルックスは、冒険心に満ち溢れ、果てしなく続く原野を旅するキャンプとアドベンチャーシーンを想像させます。
ヘビーデューティーなカミオントラック
オーバーランダーはオフロードを走れる4WDトラックやSUVに生活に必要な荷物を積載し、キャンプをしながら自然を楽しむ趣味として、北米やオーストラリアをはじめ世界中に浸透しているアウトドア文化だ。日本でもカスタム業界のトレンドになっており、ベース車としてトヨタ「ハイラックス」、トヨタ「ランドクルーザー」、米国トヨタ「タンドラ」、ジープ「グラディエーター」、三菱「デリカ」、スズキ「ジムニー」といったクルマにルーフテントを搭載し、キャンプを楽しむスタイルに注目が集まっている。
そんな中、リフトアップカスタムを得意とする東京都町田市に拠点を置く「ハーディーズ」がこれまでの常識を打ち破るべく、日本が誇る働き者のトラック「ダイナ 4WD」をベースに、迫力のあるエクステリアデザインを持つ新発想のオーバーランダーマシンを完成させた。
見るからにワイルドなその姿は、まるでパリ・ダカールラリーのカミオンクラスに参加する車両を彷彿させる。レーシーというよりは、こちらはオフローダーとしてアウトドアフィールドを駆け抜ける印象を強く与えるカスタマイズが面白く、ベース車の選定も含めてすべてが斬新な新オーバーランダースタイルといえる。
街でよく見かけるお馴染みのトラックであるダイナのリフトアップ車というだけでも目立つが、それが、優れた走破性を誇るサスペンションを持ち、見た目もカッコよく、収納アイテムや使い勝手の良いテントまで装備するヘビーデューティーなカミオントラックとなれば注目が高まる。
タイヤはオープンカントリーを装着
運搬用トラックであるダイナで悪路走破性を発揮させるために、ハーディーズは専用の8インチアップキットを開発。限界のリフトアップ量を試すために10インチ化もテストしたそうだが、実用性を考えると8インチが一番バランスが良く、ベストという判断に達した。
ボディリフトアップに伴って、そのワイルドさをより強調させるタイヤはクロスカントリー4駆乗り御用達のトーヨータイヤ「オープンカントリー」を選択。見た目の印象からゴツゴツとした乗り味と勘違いされがちだが、実際に使っているオーナーは、このように話してくれた。
「オフロード性能をしっかり備えた本格派のオールテレーンタイヤなのに、びっくりするくらいマイルドでスムーズな乗り心地。見た目のタフさとは正反対に乗り味がスムーズで滑らかです」
ちなみに、この8インチリフトアップとオープンカントリータイヤとの組み合わせで、運転席の目線はほぼ大型トラックの位置と同じになる。車高が高くなったぶん、存在感も迫力も倍増する。
アドベンチャーな旅を楽しむダイナ
架装させた荷台はワンオフでキャリアを組み、ルーフテントとサイドオーニングをマウントし、アウトドア道具収納用ポックスを追加する。さらにウォーターボックスを吊り下げ、スタックした際に役立つリカバリーラダーをセットするキャンパースタイルだ。
6人乗り用クルーキャブのルーフにもキャリアを載せているが、これは荷物を置くスペースというだけでなく、必要に応じてテントを張って就寝スペースを確保できる構造にもなっている。また、ここには夜間走行用にフォグランプもセットする。
タフで力強さを強調する演出は前後にセットしたウインチ以外からも伝わるが、面白いのがはみ出たタイヤを覆うように作り込まれたパイプフェンダーによってアピールする点だ。巨大なタイヤで悪路を豪快に走る姿を連想させる意味において、このパイプフェンダーはオーバーランダースタイル御用達のアイアンバーと共に今後の流行りを予感させる。
一般的なオートキャンプとオーバーランダーでのキャンプの違いは「アドベンチャー的要素」になる。走破性のあるクルマにテントを取り付け、道なき道を行くことで、通常のキャンプでは味わえないダイナミック感を楽しむことこそが真骨頂だ。今回、ハーディーズが独自に作り込んだカーゴシステム搭載のダイナ 4WD オーバーランダースタイルは、野営をしながらアドベンチャーな旅を楽しむパッケージングになっている。ちなみに、このスタイル、発想を変えれば仕事でも活躍しそう。職人の仕事クルマとして仕立てたらカッコいいなぁー、と撮影しながら感じたのだった。