マフラーに取り付けるだけでテールエンドが格好良くなる
一部の車種はマフラーの出口がデザインがされたテールエンドとなっていますが、いかにもパイプを切ったままのようなマフラーを装着しているモデルがあります。その純正テールを格好良く見せるために、簡単に装着できる「マフラーカッター」というドレスアップパーツがカー用品店には販売されています。あらためて「マフラーカッター」について解説します。
ドレスアップ用パーツとして根強い支持を受けている
クルマのカスタマイズを手軽に楽しめる定番アイテムのひとつが「マフラーカッター」だ。比較的簡単に装着でき、価格もリーズナブルなものが多い。いわゆる一般的な社外マフラーに変えるよりもハードルが低いことで、昔から主に愛車のドレスアップ用パーツとして根強い支持を得ている。
だが、いくら手軽だからといっても、注意すべき点はいくつかあり、ひとつ間違えると車検に通らない、あるいは事故の原因となってしまうケースもある。そこで、ここではマフラーカッターとは一体どんなものか、選ぶ場合のポイント、装着時の注意点などを紹介する。
マフラーカッターとは
マフラーカッターとは、マフラー出口の先端部分に取り付けるパーツのことだ。「マフラーフィニッシャー」や「エキパイフィニッシャー」と呼ばれる場合もあるが、いずれも意味は同じだ。アフターパーツメーカーがリリースしているものはもちろん、車種によってはメーカーが純正アクセサリーに設定しているものもあり、さまざまなタイプを選ぶことができる。
いわゆる社外マフラーと比べると、装着は比較的簡単で価格もリーズナブル。ただし、例えば音質を変えるとか、性能を向上させるといった効果はほぼなく、あくまでドレスアップを楽しむためのパーツだといえる。
メリット
マフラーカッターを付けるメリットといえば、まずは価格や取り付けの費用が安いことだ。製品自体を購入する場合、なかには1000円台で売られているものもあり、いい素材を使った高価なタイプでも、2万〜3万円台のものも多い。また、取り付けも自分でやろうと思えばできないことはない。
エキパイからマフラーエンドまで揃える一般的な社外マフラーの場合は、近年の排気ガス規制や騒音規制などの影響もあり、そもそも製品自体が数十万円と高価で、専用工具などがないと取り付けも困難。プロのショップなどにお願いすると、工賃だけでもかなりの費用が必要となる。
もちろん、前述の通り、性能や音質の向上などは見込めないものの、1本出しマフラーを2本出しに変更したり、カラーをチタン風のブルーに変えるなど、見た目をグッと引き立てることが可能。また、いろいろな素材を使ったタイプが販売されているので、自分の好みに合わせたスタイルや質感などを演出することができる。
デメリット
一方、デメリットといえば、取り付ける際に純正マフラーにネジの跡やへこみ、傷が付く場合もあること。また、マフラーカッターの重量分は確実に重くなる。特に、重さで気をつけたいのが、取り付け。フィッティングをしっかりしていないと、走行中にカタカタ音が鳴り、最悪の場合は落下することもある。もし、走っているときに落下してしまうと、例えば、後ろを走行しているクルマのバンパーやフロントウインドウなどにヒットして、事故になってしまうこともある。くれぐれも、取り付け時には、細心の注意が必要だ。
マフラーカッターの選び方
マフラーカッターを選ぶ際に重要なのは、やはり「見た目」。カラーや形状が自分の好みや愛車にマッチしているのかが大切だ。また、ちゃんと装着できるのか、サイズなども確認する必要がある。選ぶ場合の主なポイントを以下に紹介しよう。
ポイント1:カラー
シンプルなシルバーをはじめ、チタン系では美しいブルーや焼き色のグラデーションが入ったオーロラカラーなどが定番。なかには、ブラックやレッドといったカラーもあるので、車体と同色のタイプを選ぶこともできる。
ポイント2:向き
エンド部の形状には上向き、平行、下向きといった主に3種類がある。いずれも、性能に大きな差はないが、車種によっては純正マフラー出口との兼ね合いで、取り付けられない場合もあるので注意したい。
ポイント3:形状
マフラーカッターの形状には、排気口が1本出しと2本出し(デュアルなどとも言う)があり、2本出しの場合は重くなるが、リアビューによりインパクト感を出すことができる。
また、出口の形状も楕円型(オーバルとも言う)や斜めにカットした感じのもの(スラッシュカットなどとも呼ぶ)などがあり、いずれもスポーティさや高級感を演出できる。なかにはハート型などもあるため、少しコミカルな雰囲気を出したい場合などに最適だ。
ポイント4:素材
素材にも、多様なタイプがあるのがマフラーカッター。主に以下のような種類があり、それぞれの特徴を紹介する。
スチール
重くてサビやすいのが難点だが、比較的安いのがメリット。現在は、スチール製のマフラーカッターはあまり多くない。
ステンレス
軽くてサビにくく、熱に強いことで、マフラーカッターに使われることの多い素材。価格は、スチール製より高いが、後述するチタン製ほどではない。
チタン
軽くてサビにくく、耐久性も高い。熱の加わったチタン独特のブルーは、スポーティな雰囲気を出すことができる。ただし、価格的にはやや高めだ。
カーボン
軽さでいえば一番で、耐久性もある。しかも、高級なスーパーカーやレーシングマシンのような独特の風合いを演出することができる。高価なものも多いが、なかにはステンレス製をベースに、エンド部にカーボン風カバーを付けたタイプもあり、そうしたものなら比較的安価だ。
サイズ
カラーや形状などがせっかく気に入っても、装着できなければ意味がない。特にマフラーカッターには汎用タイプも多く、例えば「取付可能外径32mm〜56mm」などと指定されている。そのため、購入時には事前に純正マフラーの外径を測り、対応範囲内なのか否かを確認したい。
もちろん、最近は車種専用タイプも多く、愛車に対応していれば安心だ。だが、こうしたタイプでも、年式によっては装着不可のものもある。選ぶ際は、車種だけでなく年式などのチェックも忘れずに。
取り付け方法
マフラーカッターの取り付けは、前述の通り比較的簡単だ。タイプやメーカーによっても異なるが、金属のバンドで固定し、専用ステーを取り付けるものなど多種多様だが、DIYでもできるタイプも多い。愛車の純正マフラーに適合したサイズであれば、20分程度で取り付けできる場合もある。
ただし、純正マフラー後端(エンド部)の形状によっては、マフラーカッターを削らなければ付かず、落下防止用のワイヤーを取り付けなければいけないものもある。特に、これも先述のように走行中に落下してしまうと大変だ。もし、自分で取り付ける自信がなければ、カー用品店やプロの専門店に依頼して取り付けてもらった方がいい。
車検に通るかも重要
マフラーカッターを装着したままでも、音量や排出ガスなどは純正マフラーと同じなので、基本的には車検に通るはず。ただし、気をつけなければならないのが、最低地上高だ。一般的な国産乗用車の場合、最低地上高は9cm以上。そのため、地面とマフラーカッターの一番低い部分に、それだけのクリアランスがないと車検をパスできない。特に、愛車をローダウンしている場合は注意したい。
また、車種によっては、最低地上高が10cm以上ないと車検に通らないケースもある。それはオーバーハングが長いクルマだ。オーバーハングとは、タイヤの中心から前後にはみ出した部分のことで、この長さによって車検時に必要とされる最低地上高が変わるケースもある。特に、ミニバンやスポーツタイプのクルマには、10cm以上が必要なクルマもあるので、これも注意したい。
ほかにも、マフラーカッターの形状がかなり尖っていたり、極端に後方へ出っ張っている場合も、車検をパスできないことがある。こうした問題もあるため、もし自信がない場合は、やはり取り付ける前に、ショップなどのプロに相談した方がいいだろう。
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取り付けが簡単で、比較的リーズナブルにドレスアップができるのがマフラーカッター。素材やカラー、形状なども豊富だし、好みに合った製品を見つけやすいことも特徴だ。
だが、ここで紹介したように、サイズや取り付け方法、車検に通るか否かを事前にチェックすることはとても重要。特に、何度も言うが走行中に落下させてしまうのは厳禁。気軽なアイテムだといって、ナメていたら痛い「しっぺ返し」を食らう。くれぐれも、安全・安心を心掛けて楽しんでほしい。