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メルセデスAMG「GTブラックシリーズ」になぜ「プロジェクトONEエディション」があるの? F1と同じ凝ったカラーリングにも注目です

55万〜70万ドル(邦貨換算約8195万円〜1億430万円)で販売が継続しているメルセデスAMG「GTブラックシリーズ プロジェクトONEエディション」(C)Courtesy of RM Sotheby's

メルセデス・ベンツの中でもトップクラスのスーパーカー

2024年3月1日〜2日、RMサザビーズがアメリカ・マイアミで開催したオークションにおいてメルセデスAMG「GTブラックシリーズ プロジェクトONEエディション」が出品されました。同車は限定生産750台の「GTブラックシリーズ」のうち、さらに「AMG ONE」のカスタマーのためだけに275台限定で生産されたモデル。気になるハンマープライスをお伝えします。

デリバリーが遅れたAMG ONEのカスタマーに向けて製作された

メルセデスAMGが「SLS AMG」に続いて開発したスーパースポーツが、ここで紹介する「GT」だ。その姿は、2015年からF1GPのセーフティカーとして使用されていたことでも有名だが、メルセデスAMGはファーストモデルであるGTの460psから、徐々にそのパフォーマンスを強化。最終的には今回RMサザビーズのマイアミ・オークションに登場した「GTブラックシリーズ」で、4LのV型8気筒ツインターボエンジンの最高出力を720psにまで高めることに成功したのだ。

そしてGTブラックシリーズは、2020年4月にニュルブルクリンクのノルドシュライフェ(北コース)において、マロ・エンゲルのドライブで6分43秒616のラップタイムを記録。当時の市販車最速記録を達成し、その卓越した実力を証明してみせた。

だが当時メルセデスAMGは、GTシリーズと同時に、きわめて重要なプロジェクトを進めていた。それはF1マシン「W07ハイブリッド」そのもののメカニズムを採用したともいえる、最先端のパワーユニットを持つメルセデスAMG ONEの開発で、このプロジェクトはさまざまな理由で当初の計画から遅れを見せるようになる。

すでに限定台数となる275人のオーナーや、275万ユーロ(当時のレートで約3億8500万円)の価格もすべて決定していた中でデリバリーだけが遅れていくという状況は、メルセデスAMGにとっては1日も早く解決しなければならない問題だった。

そこで考えられたのが、GTブラックシリーズをベースに、AMG ONEをオーダーしたカスタマーのみが購入することができる特別仕様車の設定。そもそもGTブラックシリーズは750台の限定車として企画されたモデルだったが、そのうち275台をメルセデスAMGは、AMG ONEのカスタマーに限定した「AMG GT ブラックシリーズ プロジェクトONEエディション」として、2021年に生産したのである。

F1マシンと同じカラーリング

すでにAMG ONEのデポジットを支払い、何回かにわたるデリバリー遅延の連絡を受け続けたカスタマーが、さらに食欲を刺激されたのかどうかは分からないが、それでもこのスペシャルでレアなAMG GTがオークションで熱い視線を集めたことは間違いない。

RMサザビーズが掲げた予想落札価格は55万〜70万ドル(邦貨換算約8195万円〜1億430万円)。W11 EQパフォーマンスF1レーシングカーにインスパイアされたカラーリングは、メルセデス・ベンツのスリーポインテッド・スターを採り入れたユニークなペイントスキームで、それだけで人目を引くことは確実だ。また内外装のアクセントカラーは、F1における長年のパートナーであるペトロナスにちなんだもので、このカラーはW11にも採用されている。

ブラックシリーズからの追加オプションとして、マットカーボンのトランククロスバー、AMGマットカーボン・インテリアトリム、デザイン・ブラック・ディナミカ・ヘッドライナーなども装備されるAMG ONEエディションの保存状況はきわめて良く、2023年6月にはカナダのオンタリオ州にあるメルセデス・ベンツ・ディーラーで定期点検も行われている。

メルセデス・ベンツの製品ラインアップの中でもトップクラスのスーパーカーといえるこの希少なモデルを手に入れるチャンスだった今回のオークションだが、残念ながら入札価格は設定された最低落札価格に届くことはなかったのだろう。期待に反してオークションの結果は流札となってしまった。

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