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やってはいけない「マフラー交換」5例。「爆音」「落下」「黒焦げ」など本当にあったダメなカスタムをお教えします

マフラーを交換するときは、「性能等確認済表示」が刻印された金属の認証プレートが付いているか確認をしたい

最悪は車両火災につながることも

昔から愛車のカスタムとして定番なのが社外マフラーへの交換です。パワーやトルクの向上はもちろん、一番わかりやすいところでは排気音が変わります。その昔は現在と違い、車検に通らないマフラーなどもあり、乱暴なカスタムをされた例もありました。

マフラー交換はチューニングの第一歩だが……

社外マフラーへの交換は、昔から愛車カスタムの定番。マフラーエンド部のドレスアップはもちろん、排気サウンドを好みの音質に変えたり、排気効率アップによるトルクやパワーの向上など、さまざまな効果が望めることで、根強い人気を誇っている。

最近の社外マフラーは、厳しい騒音防止規制などに対応した製品を選び、取り付けなどもしっかり行えば、交換してもとくに問題は起きないし、効果もしっかり享受できる。だが、その昔は、かなり適当な製品もあったし、乱暴なカスタムを行うユーザーもいたことで、結果的にかなり「痛い目」に遭った場合も多かった……。

ここでは、2000年〜2015年頃、筆者がカスタム雑誌の編集長時代に見聞きした「ダメ」な社外マフラー交換エピソードをいくつか紹介する。

爆音なのに遅くなるマフラー

最近はあまり見なくなったが、昔はかなりの「爆音」を出す社外マフラーを付けているユーザーも多かった。ところが、「これだけ大音量なら、パワーもかなりアップするだろう」と喜んでいたところ、じつは音が凄いだけ。走ってみると、ノーマルよりも遅くなってしまったというケースもあった。

これは、ただ「音が大きい」だけの「偽スポーツマフラー」もかなり市場に出回っていたためだ。今なら、設計や開発、テストなどをきちんと行っているアフターメーカー製のスポーツマフラーであれば、確実に性能アップを望めるし、排気音量も規制値をクリアしている。しかも、多くが車種別設定だから、愛車の特性にちゃんと対応してくれる。だが昔は、なんちゃって製品も多く、そういった社外マフラーを付けてしまうと、アクセルのレスポンスが悪く遅くなるのはもちろん、燃費もガタ落ちしてしまうという結果を招くこともあったのだ。

ちなみに、社外マフラーで性能アップを望むのであれば、エンド部だけでなく、やはり排気マニホールド(通称タコ足)なども含めたフルタイプに交換する方がいい。また、よりこだわるのであれば、ECUもチューニングし、適正な燃料供給量の調整なども合わせて行えば、より社外マフラーの効果を引き出すことが可能だ。気になる場合は、装着時にショップへ相談することをおすすめする。

近所から苦情が来るマフラー

これも排気音にまつわる話だが、今度はお気に入りのマフラーを発見し愛車に装着したところ、思ったより音が大きく、近所から「うるさい!」と苦情が来たというケースだ。爆音系ユーザーには確信犯もいたが、こちらの場合、本人に悪気はなかったがご近所の手前、結局ノーマルに戻すなんてことも多かった。

前述の通り、最近のきちんと作られた社外マフラーなら、排気音量の規制などをクリアしているため、問題ない。だが、例えば、旧車などに乗っていて、マフラーも昔売っていたものをネットなどで購入した場合は注意したい。昔のマフラーには、現在の音量規制をクリアしていないものも多いからだ。また、ネットオークションでノーマルの中古品などを購入したところ、劣化した粗悪品で、排気音が大きくなってしまっているケースも考えられる。

あくまで、マフラーは消耗品。ノーマルであれ、社外品であれ、長年使ったものだと、きちんと消音効果を出せないなど、性能が劣化する可能性は高い。アフターメーカーのなかには、自社製マフラーのリビルトサービスを行っているところもある。もし自分が付けた社外マフラーが古いタイプなどで、排気音量や性能などに問題がありそうであれば、製造メーカーに相談してみるのも手だ。

ゆらゆら系マフラー

走行中に、リアバンパーから伸びたマフラーのサイレンサー部が「ゆらゆら」と揺れているクルマ。これも昔は結構いた。この原因の多くは、車種に適合していないマフラーを「適当に」装着したためだ。専用のステーなどで取り付けていないことで、しっかりと固定できていなかったのだ。なかには、針金でマフラーをまるで「ぶら下げる」ように付けていた強者もいた。

いずれにしろ、そんな適当な取り付けでは、まず見た目が悪い。ましてや、走行中に大きな段差を超えた際などの衝撃で、マフラーが落ちてしまう危険性さえある。そうなると、他の車両や歩行者などに当たり、大事故を招く原因にもなる。

とくに、DIYでマフラーを交換する場合は、くれぐれも取り付けは慎重に。自分では難しい場合は、やはり専門ショップなどに依頼することをおすすめする。

火花や炎が出るマフラー

走行中にマフラーを路面に擦ってしまい、火花を散らすクルマというのも昔はよくいた。これは、社外マフラーの問題というより、いわゆる「シャコタン」、とくに無茶な車高の落とし方を行ったことによる悲劇だ。

昔のカスタムシーンでは、「クルマの車高は低いほどかっこいい」というカルチャーが定着していた。そのため、「他人に負けない」ほど低い車高を競い合う時代だった。なかには、クルマと地面とのクリアランスが、タバコ1箱を橫に寝かせた分しかないという極端な例もあったほどだ。

とくに、安価だが性能も悪いダウンサスやショートスプリングなどを付け、とりあえず「車高を下げた」クルマの場合は、サスペンションがきちんとストロークせず、段差などでマフラーが路面にヒットしやすい。

もし、走行中にそうなると、マフラーに穴があいたり、マウントから外れて前述の「ゆらゆら」系と同様、落ちてしまうこともある。また、路面とマフラーが接触し火花が散ると、火災の原因にもなりかねない。

さらに、昔のチューニングカーなどには、レース専用などの大径サイレンサーを付けたり、触媒を外すなどで、排気ガスの抜けをよくするカスタムを施していたクルマもいた。なかには、例えばホワイトボディの車両で、リアバンパーのマフラー周辺が黒く変色していたクルマも見かけた。これは恐らく、「抜けがよすぎる」マフラーにより、不燃焼ガスが多く出てしまい、リアバンパー部が汚れてしまったためだろう。

また、同様のカスタムにより、レーシングマシンさながらにアフターファイヤーを出すクルマもあった。それを繰り返すと、エキゾーストパイプやマフラー、触媒が燃えて、交換する羽目になる。最悪は、炎がバンパーに延焼したり、車両全体に燃え広がる可能性もないとは言い切れない。

こうした車両は、レースなどに参戦するサーキット仕様車に多いイメージもあったが、公道でそうした車両を走らせるのは危険。だが、こうしたクルマも、今ではあまり遭遇しなくなった。その意味で、当時は、かなり「ゆるい時代」だったといえるだろう。

ちなみに、アメリカには、意図的にマフラーから炎を出す「アフターファイヤーキット」なるものも存在した。その昔、こうした製品もネットなどで話題となったが、最近ではあまり聞かなくなった。あくまでウワサだが、当時、装着車両の燃料タンクにアフターファイヤーの炎が燃え移り、車両火災事故が起こったため、販売が中止されたという話も聞いた。

事の真偽は不明だが、火花や炎が出るカスタムは、クルマはもちろん、周囲にも迷惑をかける可能性が高いことは確かだろう。

車検に通らないマフラー

デザインはバッチリ、排気音もうるさくないし、走行性能も問題ない。だが、そうした社外マフラーでも、車検をパスできるかどうかは別。せっかくお気に入りのマフラーなのに、車検に通らないケースもある。
ご存じの通り、社外マフラーに関する規制は、現在かなり強化されている。とくに2010年4月1日以降に製造された車両に関しては、マフラーを社外品に交換する場合、従来からの近接排気騒音値に加え、加速走行騒音値もクリアし、国土交通省の指定する「事前認証」を得ている製品でないと装着できない。

そうした製品は、マフラーのサイレンサー部に「性能等確認済表示」が刻印された金属の認証プレートが付いているかどうかで分かる。プレートには「JQR」「JARI」「JATA」のいずれかの確認機関名が刻まれるほか、識別番号やエンジン型式も表示されている(JASMAロゴが入っているケースもある)。そして、これらの表示があるマフラーでないと、現在、車検をクリアすることはできない。

ちなみに、この認証プレートは、2010年3月までの生産車両に対応する「JASMA」プレートとは異なるので注意が必要。また、車検では、マフラーの排気音量だけでなく、最低地上高なども法規に定められた基準をクリアしなければならないので、とくにローダウン車は気をつけたい。

このように、社外マフラーに関する「痛い」エピソードは、その昔はたくさんあった。ただし、今でも、きちんと法規に対応した製品ではなかったり、取り付けなどをちゃんとしないと、同じようなケースに遭遇することはありうる。十分に気をつけて、愛車のカスタムライフを楽しんでいただきたい。

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