当時のクルマを思い出す! 懐かしのキャッチコピー
今を否定するつもりはまったくないですが、1970年代あたりからのクルマのTVコマーシャル、広告に使われたキャッチコピーには、クルマそのものと同様に印象深いものがたくさんありました。そこで改めて、今でも心に残るキャッチコピーを振り返ってみたいと思います。
ライバルと比較したチャレジングなキャッチコピー
「走り、較べたし」トヨタ スターレット/1978年
「パブリカ スターレット」の後継車種であり、後輪駆動のコンパクトカーとして、まさに走りを楽しむ若いユーザーから絶大な人気を集めたKP61型・2代目「スターレット」。サファリ、モンテカルロラリーの優勝者、オベ・アンダーソンがコルシカ島で駆る後期型のCMは印象的だった。なおFF化された3代目でも「カッとび」「イダテン」と勇ましいコピーを継続。とくにインタークーラー付き1.3Lターボは当時のボーイズレーサーの主役に。
「となりのクルマが小さくみえま~す」2代目日産サニー/1970年
このコピーの事の発端は、初代日産「サニー」の発売(1966年4月)のわずか7カ月後に発売された1100ccの初代トヨタ「カローラ」が、1000ccのサニーに対して「プラス100ccの余裕」となったことから。それを受けたサニーは2代目を登場させるにあたりエンジンは1200ccに、ボディサイズもカローラより全幅と全高を+10mm、ホイールベースを+15mmとし、やんわりと2代目サニーのゆとりをアピールした。
「名ばかりのGT達は、道をあける。」トヨタ セリカ/1979年マイナーチェンジ
「セリカ」がこの2代目にモデルチェンジしたのは1977年のこと。その2年後の1979年8月にマイナーチェンジがあり、角4灯へとフェイスリフトされた。この時に使われたコピーが「名ばかりのGT達は、道をあける。」だった。ル・マン、サルトサーキットのダンロップブリッジの下をDOHCの咆哮を轟かせてこちらに迫るセリカ。そこで名ばかりの……のナレーション。もちろんそのコピーはDOHCをもたないライバルの日産「スカイライン」に向けられたものだった。
「パルサー・ヨーロッパ」日産パルサー/1978年
日産車初のFF車だった「チェリー」(2世代続いた)の後継車種として登場。FF+2ボックスという、本場ヨーロッパの実用車に殴り込みをかけるべく誕生。「パルサー・ヨーロッパ」のコピーは狙いをストレートに表現したもので、当時の広告は、パルサー4ドアの背後に「ミニ」、「アルファスッド」、VW「ゴルフ」、シトロエン「GS」、そしてルノー「5」を後ろ姿で並べたセンセーショナルなビジュアルも展開された。
いまでも語り継がれる自画自賛系キャッチコピー
「ケンとメリーのスカイライン」4代目日産スカイライン/1972年
先代の箱スカが「愛のスカイライン」だったのに続いて、この4代目では男女のモデルを起用し、この2人の「役名」がケン&メリーだった。TVCMでは風光明媚な日本全国を旅するシリーズとし、その中で登場した北海道・美瑛の丘に実在の「ケンとメリーの木」は後に観光名所になったほど。またケン&メリーにちなんだ相合い傘のステッカーやTシャツ(筆者も当時買ったが厚手の上質な生地だった)などのグッズも販売された。
「ゆっくり走ろう、ゆっくり生きようローレル」2代目日産ローレル/1972年
1972年登場の2代目日産「ローレル」は、初代のヨーロッパ車調のスマートだったスタイルから一新、グッとボリューム感のある姿に生まれ変わった。とくにハードトップの分厚いメッキのバンパーに大型のリアコンビランプを組み込んだデザインは特徴のひとつ。クルマそのものも「セドリック/グロリア」に次ぐ上級車ということで、ゆったりとした走りを訴求し「ゆっくり……」のコピーがゆったりとした曲調のCMオリジナル曲とともに採用された。
「足のいいやつ」トヨタ カリーナ/1970年
ノリとしては「ファイト一発!」の某栄養ドリンクのコピーならびにCMに近いイメージ。当時、TVドラマ『キイハンター』(ご存知だろうか?)のキャストのひとりとして人気のあったアクションスターの千葉真一を起用。兄弟車が初代「セリカ」だったこともあり「足のいいやつ」とうたい、ドライビンググローブを嵌めた彼がダート路(というか田舎のあぜ道)でカリーナをダイナミックに走らせるシーンでスポーティさを訴求した。
「いつかはクラウンに」トヨタ7代目クラウン/1983年
時はバブル前夜の1983年。4ドアハードトップの「クリスタルピラー」が特徴だった7代目「クラウン」は、11種類ものエンジン展開を始め、贅を尽くした仕様でハイオーナーカーの羨望の的に。スーパーチャージャー付きも登場。そんな中から、あたかも自然発生的に生まれたかのようなコピーが「いつかは……」だった。ちなみに初のハードトップ(2ドア)が設定された3代目(1967年)の、黒塗りのイメージを一新させた「白いクラウン」のコピーも有名に。