ドライバーにとっては厄介な雨の日
あらゆる穀物を潤し育てる恵の雨と考えられてきた「穀雨(こくう)」は春の最後の二十四節気で、晩春にあたる時季です。しかし、そんな恵みの雨もドライバーにとっては厄介なもの。そうした雨の日のドライブでも、とくに危険なのが雨の降り始めや雨上がりです。ここでは、雨が降るシーズンに気をつけたい運転のポイントをあらためて紹介します。
乾いていた路面に対して半分のグリップしかなくなってしまう
2024年の4月19日から5月5日は「二十四節気」の6番目の節気「穀雨(こくう)」。穀雨とは、種まきや田植えの時期に降る雨で、「百殻春雨(ひゃくこくはるさめ)」、つまりあらゆる穀物を潤し育てる恵の雨と考えられてきた。しかし、そんな恵みの雨もドライバーにとっては厄介なもの。首都高速道路の調べによると、雨天時は晴天時に比べ、1時間あたりの死傷事故件数が4倍も多く、1時間あたりの施設接触事故発生件数はなんと約7倍にもなるという。
そうした雨の日のドライブでも、とくに危険なのが雨の降り始めだ。なぜ危険かというと、まず雨によって路面にホコリや油分、泥などが浮いてきて、路面が非常に滑りやすくなるため。舗装路のドライでの摩擦係数(μ)は0.8前後だが、雨の降りはじめの摩擦係数は、0.4くらいに一気に低下。さっきまでの乾いていた路面に対し、およそ半分のグリップしかなくなってしまうということだ。
ちなみに積雪路の摩擦係数が0.5〜0.2なので、雨の降り始めの摩擦係数=0.4は非常に滑りやすい状態。おまけに水に濡れることでタイヤのゴムも冷えるので、雨が降り始めたと思ったら10%ぐらいはペースダウン! 制動距離も伸びるので、車間距離を広くとること。そしてヘッドライトを点灯し、被視認性をアップ。
雨の降り始めは傘を持たない歩行者や自転車が雨を避けようと足早になり、十分安全確認をしないで飛び出してくる可能性が高まるので、自車の存在に気づいてもらいやすいようにすることが肝要。そしてドライバーも集中力を高めるために、オーディオの音量を絞ったり、オフにするといいだろう。
また、車内が曇りやすくなるので、エアコンを入れて(外気導入)で除湿を行ない、視界を確保するのも大事。雨が降り始めてから30分~1時間もすると、アスファルトの上の砂やホコリが雨で流され、摩擦係数も0.6ぐらいまで回復するといわれている。ポツポツと雨が降ってきてから最初の30分はとくに注意深く、速度を控えめに走るのが大事なポイント。
雨上がりも要注意
そして雨上がりも要注意。雨量が減ってきて、ワイパーが間欠でOKだったり、ワイパーのスイッチをオフにしていい状況になっても、路面はすぐには乾かない。
「降雨の影響で遅れた分を取り戻そう」
とペースアップをはかると、まだまだ濡れている路面に足をすくわれることにもなったりする。なんとなく路面が乾いてきても、タイヤが通る部分だけ先に乾いて、その周囲はまだまだ濡れていたり、ところどころウエットパッチ(点在する水たまり、濡れた部分)が残っていたりするコンディションは、プロのレーシングドライバーでも技量が問われる難しい状況だ。
路面が乾ききるまで、あるいは雨が完全に上がってから30分ぐらいは、はやる気持ちを抑えて雨が降っていたときと同じ意識、同じペースで安全運転をキープしよう。