旧車オーナーにも認められた仕上がり
注目度の高いカスタマイズカーを製作することで知られる日産自動車大学校。2024年2月の「ノスタルジック2デイズ」では、カスタマイズ科の学生が手がけた旧車要素の多い「SETO(セト)」と「I’m march(アイムマーチ)」を展示しました。教員陣が驚いたという、学生ならではのカスタマイズポイントに迫ります。
学生のイマドキテイストを入れ込んだ「I’m march」
日産自動車大学校は2024年2月17日~18日にパシフィコ横浜で開催された「ノスタルジック2デイズ」で、「SETO(セト)」と「I’m march(アイムマーチ)」の2台を展示した。すでに各メディアでも取り上げられている2台なので、今回は教員陣が驚いたという、学生ならではのカスタムポイントに迫ってみた。
まずは「I’m march」から。この車両は「オシャレな古着とクルマで走るのが好きなカップルが乗っていて、絵になるクルマ」をコンセプトに掲げる。SR311型ダットサン「フェアレディ」をモチーフにして、K11型「マーチ カブリオレ」をベースに製作された。
SR311フェアレディの雰囲気を重視するのであれば、現代的なGTウイングは装着しないだろうと教員陣は思っていたそうだ。しかし、学生たちはイマドキの走り好きなテイストを入れ込んだ。それはシートにも表れていて、通常ならば旧車にマッチするバケットシートを選ぶところだが、最新のレカロシートのフルバケットシートをチョイスした。
そして、教員陣がもっとも驚かされたのがホイールだという。この手のカスタムにはRSワタナベが定番だが、学生たちはレイズのTE37をチョイス。女子学生が選んだイマドキのライトブルーのボディカラーと、ホワイトカラーのTE37は抜群のマッチングとなっていた。
学生たちの感覚でコーディネートしたからこそ、往年の名車フェアレディのモチーフと現代的なカスタマイズ要素が見事にミックスされていた。
目指したのは「現代」のパイクカー「SETO」
現代のパイクカーを目指した「SETO」は「キューブ」をベースとし、410型「ブルーバード」のデザインを落とし込んでいる。フェンダーラインにもこだわっていて、芸が細かい。比較的オーソドックスな旧車テイストのカスタマイズとなっているように思えるが、学生たちのこだわりが現れているのがヘッドライトだ。
校長をはじめ、教員陣はハロゲンヘッドライトが似合うと考えていた。しかし学生たちは、
「自分たちは現代のパイクカーを造りたいんです! ハロゲンは古いでしょ!」
と言って、LEDヘッドライトを採用したのだそうだ。それも旧車の丸目にありがちな丸いデザインの灯火パターンではなく、直線基調の灯火パターンを選ぶことで、より人の瞳のような印象を持つ雰囲気となっていた。このヘッドライトはバイク用を流用している。
旧車好きの前に持ってくるのは正直怖かったけど
じつは日産自動車大学校が「ノスタルジック2デイズ」へ出展するのは今回が初めてとのこと。そのため、旧車オーナーやファンからどんな反応を受けるだろうか……と少し恐れていた部分もあったそうだ。しかし、実際に展示してみると好印象だったそうだ。
「これはどのように装着しているの?」
「どんなパーツを使っているの?」
と、他のショーに比べて具体的な質問も多かったのも印象的だったとのこと。また、旧車オーナーからポジティブなリアクションも多く寄せられたそうだ。それは学生独自のセンスが本物の旧車オーナーにも認められた証といえるだろう。今後もどんなカスタマイズカーを製作するのか注目したい。