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「ルート66」で一番有名なネオンが30年ぶりに点灯!「ロイズ」を再興したのはひとりの日系人でした【ルート66旅_52】

これは私が初めて訪れた2011年。最新の写真と比べると色も再塗装されているようだ。再興へ向けたオーナーの心意気が伝わってくる

30年ぶりにネオンが灯った砂漠の名店「ロイズ・モーテル&カフェ」

広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。イリノイ州シカゴから西に向かい、ついに最西端のカリフォルニア州に突入しました。モハヴェ砂漠にたたずむ巨大なネオンサインで知られる名所、「ロイズ」を紹介します。

モハヴェ砂漠のオアシスとして長年愛されてきた

カリフォルニア州に入って最初の街、ニードルスで疲れを癒したら再び西へ。数マイルはルート66がインターステート40号線に同化しているが、133番の出口で下りて広大なモハヴェ砂漠のドライブを楽しもう。多くの人がイメージする、地平線まで続くアメリカらしい道路は、じつを言うと3755kmに及ぶルート66のなかでもごく少ない。その希少な区間がニードルスから西のエリアなのだ。

砂漠を横断する途中で立ち寄るべき場所のなかで、もっともフォトジェニックかつ買い物もできるのは、アンボイの「ロイズ・モーテル&カフェ」だろう。

ニードルスと次の大きな街であるバーストーのほぼ中間に位置しており、ルート66が誕生した12年後の1938年にガスステーションとしてオープン。当初は「ロイズ・ガレージ」という名称で後に「ロイズ・ガレージ&カフェ」と変更、現在のカフェ(営業はしていないが)はクルマの部品をストックしておく倉庫だったらしい。

創業者のロイ・クロウルは自動車整備工場やモーテルなど次々に事業を拡大し、最盛期には70人を超える従業員を雇うほどの成功を収めたと伝えられている。しかしルート66が廃線になるとアンボイは、旅のオアシスとしての必要性を失ってしまう。ロイと彼の一族は辛抱強く1978年まで経営を続けるが、時代の流れには逆らいようがなく荒廃の一途をたどっていく。

21世紀に入って復活! モーテルやカフェの復活も期待したい

転機が訪れたのは2003年。アルバート・オオクラという日系の人物が建物を含む950エーカー(東京ドーム約82個分)の土地を買い取り、ガスステーションとギフトショップを始め少しずつ再建が進んでいる。

2019年はルート66の写真集でよく使われる看板に、なんと約30年ぶりにネオンサインの明かりが灯った。このときは近く(といっても1時間はかかる)のジョシュアツリー国立公園でキャンプをしており、点灯する時間に間に合うよう駆け付けて美しいネオンを撮影できたのはいい思い出だ。ルート66の全盛期に真っ暗な砂漠を旅する人たちにとって、暗闇のなかで光るネオンはどれだけ心強かったことだろう。

そして聞いた話によればモーテルも再開に向け動いているらしく、室内こそ手付かずのままだが外壁はキレイになった気がする。観光産業に大きな打撃を与えたコロナ禍で現況は不明だが、ウワサが現実になることがあれば絶対に宿泊してみたいと思う。

ロイズが登場するおススメ映画3選

最後にロイズ・モーテル&カフェが登場する、ちょっとマニアックな映画をいくつか紹介したい。1本目は1986年に公開されたサスペンス『ヒッチャー』で、SFの名作『ブレードランナー』で知られるルトガー・ハウアーが、猟奇殺人犯のヒッチハイカー役として出演。このときはまだ目の前を走るルート66に、おなじみのロードサインは描かれていない。

2本目は1993年の『カリフォルニア』で、今度はブラッド・ピットが猟奇殺人犯を演じている。3本目は割と新しく2015年の『サウスバウンド』で、いくつかのオムニバスが複雑に絡み合うホラー映画だ。サウスバウンド以外の作品はDVD化されているので、興味がある人はそれぞれの年代のロイズを見て欲しい。

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