8年ぶりの第8作目がもうすぐ公開
あまりの人気ぶりに社会現象を巻き起こし伝説を作った、現在も圧倒的人気を誇る『あぶない刑事』(以下『あぶ刑事』)。その8年ぶりとなる映画最新作『帰ってきた あぶない刑事』が2024年5月24日(金)に全国公開を迎えます。公開に備えて、個性豊かな登場人物とクルマ、ストーリーをおさらいしましょう。
ニューヒロインを演じるのは俳優・土屋太鳳
テレビドラマ『あぶない刑事』の放送が始まったのが1986年10月。当時の最高視聴率は26.4%、その人気から翌年には劇場公開映画が製作・公開された。刑事ドラマというと過去にも名作はたくさんあるが、『あぶ刑事』はそれまでのどちらかといえばシリアスな人間刑事ドラマを描くスタイルとは方向性を変え、バディを組むタカ&ユージのキュート&ダンディなキャラクターを前面に押し出すものに。それが1980年代のカルチャー=文化に合わせた若者を中心に受け、その人気は40年を経た現在でも続いている。
ざっと紹介すると、テレビドラマはシリーズが2本とスペシャルが1本、映画版シリーズはこれまでに7本製作・公開されており、今回の『帰ってきた あぶない刑事』は、2016年の『さらば あぶない刑事』から8年ぶりの第8作目となる。
舞台はもちろん横浜。横浜港署を定年退職してニュージーランドで探偵稼業をしていたタカ(鷹山敏樹=舘ひろし)&ユージ(大下勇次=柴田恭兵)。しかし探偵免許を剥奪されてしまい、8年ぶりに横浜に帰って来ることに。懐かしさに耽る間もなく、事件に首を突っ込みはじめ、新しく開業したT&Y探偵事務所に母親探しの依頼にやって来た美女・彩夏(俳優・土屋太鳳)は、じつは自分たちと関係ある女性との間に産まれた娘なのでは? という疑惑まで。
過去の思い出と仲間を巻き込みながら、横浜で暗躍する陰謀に彩夏が巻き込まれたことで、タカ&ユージの刑事&ダンディ魂に火が点いた! 果たして刑事をすでに引退して探偵となったタカ&ユージは、今までのように港署刑事として復活し、横浜の街と娘(?)を守ることはできるのだろうか!?
聖地巡礼もしやすいのが魅力
そんな彼らが活躍する舞台、横浜。今回も誰もが知っている観光スポットからちょっと穴場的な場所まで、さまざまな横浜の姿を見ることができる。たとえば山内埠頭やハンマーヘッド埠頭。ランドマークタワー、横浜中華街や元町商店街、港の見える丘公園などだ。横浜・関内、伊勢佐木町、元町、みなとみらい21といった、有名どころで多数ロケが行われている。映画を観て「この場所、知ってる!」と思えることは、映画をより自分たちの身近な存在に感じられるポイントのひとつ。
映画を観てからそのロケ地に足を伸ばしてみる、いわゆる聖地巡礼もしやすい映画、それが『あぶ刑事』なのだ。もちろん『あぶ刑事』お得意のアクションも忘れてはいけない。とくにクルマやオートバイを使用してのアクション・シーンはCGなしの生身のもの。
今作でもかつてユージが使用していた、懐かしの日産「レパード」(F31系)を、現在は港署捜査課長の仲村トオル演じる町田が、ユージのために倉庫から引っ張り出して来る。先輩のために少々の違反には目をつぶる、という心意気。タカも手放し運転でハーレーからショットガンを撃ちまくる。このアクションなくして『あぶ刑事』ではない、といえるだろう。
映画とは文化を描くもの
思えば1970〜1980年代の刑事ドラマは、今でいうところのコンプライアンスは無視されるような作品が多かった。だが、そこはエンタメとしての根幹があるがゆえのペーソスだったり、オーバーアクションだったりしたもの。いわば視聴者、観客へのサービス精神から生まれたものだ。『あぶ刑事』シリーズや松田優作の『探偵物語』、石原プロの『大都会』シリーズ、映画でも『あぶ刑事』『野獣死すべし』などを監督した村川 透氏はその代表といっていい。
現在では犯人を追跡する緊急時でも、やれ「刑事がシートベルトをしていない」とか「タバコを吸いながら張り込みをしている」とか、エンタメとは違う、もはやイチャモンとしか思えない指摘をする輩が後を絶たない。映画とは文化を描くもので、劇中に存在する登場人物たちはその物語の中にたしかに生きている人たちなのだ。そこを無視してコンプライアンスの名のもとにインターネット上で、しかも素性も明かさずに文句をつけてくる輩の多いこと。
「他者に何かいうならば最低限、まず自分の素性を明かせ」
といいたいものだ。
閑話休題。1980年代からじつに40年も続く『あぶ刑事』シリーズ。それはタカ&ユージやレギュラー陣たちの愛すべきキャラクターの人気だけではなく「観る人たちを楽しませたい!」という製作者たちの心意気あってのものだと思うのだ。それこそが『あぶ刑事』愛。懐メロでもありながら、現在の日本も感じさせてくれる娯楽作品に仕上がっている1本となっている。本作品の配給元は東映で、公開日は2024年5月24日(金)。ぜひ、劇場で楽しんでもらいたい。