世界一過酷な24時間レースに日本勢も戦いを挑む
ドイツ在住で、モータースポーツ取材のために欧州を駆け回っている池ノ内みどりさん。もはやライフワークとなっている、ニュルブルクリンク24時間レースを2024年も取材しています。今年はどのようなドラマが待っているのでしょうか? レースの準備が進む、パドックなどの様子をお届けします。
STI辰己英治総監督は2024年がラストレースに
今年も待ちに待ったニュルブルクリンク24時間レースのレースウィークが始まりました! 日本人には「ニュル」の名で有名で、ベルギーの国境にほど近いドイツの北西に位置するサーキットのニュルブルクリンク。2023年は史上最高の23万5千人の観客が訪れましたが、果たして今年は一体どれだけのファンがニュルへ集結するのでしょうか?(ちなみにドイツ人には「ニュル」は通じません……)
パドックでは設営も終了し、木曜日からの走行を控え、車検を受けたりドライバーの装備品チェックがあったり、これから始まるレースに向けて慌ただしくもありますがウキウキとした活気のあるニュル独特の雰囲気がたまりません。
水曜日のニュルの最高気温は15℃とちょっと低めです。ときおりパラパラと雨が降り肌寒い中、チーム関係者は設営作業に忙しそうです。その一方で雨が降る中でチーム写真や自動車メーカーの写真撮影が、コース上でも行われていました。
新型コロナウイルスの蔓延と感染拡大防止で、TOYOTA GAZOO RacingやKONDO RACINGの参戦が見送られ、コロナ禍以降もニュル24時間レースには日本チームの参加はSTI(スバル テクニカ インターナショナル)のみ。少々寂しいですが、日本を代表して戦うSTIに、遠く日本から盛大な応援を送ってくださいね!
2008年から続ける「STI NBR CHALLENGE 」は16年目を迎えます。その初年度から総監督としてチームを率いた辰己英治氏が、今大会をもってご勇退なさるとのことで、チーム一丸となって辰己監督とともにクラス優勝を狙います。
日本の自動車メーカーの参戦はSTIの1社のみ(厳密にはメーカーではないですが……)ではあるものの、タイヤメーカーではファルケン、ヨコハマタイヤ、トーヨータイヤの3社が地元ドイツチームとタッグを組んでの参戦です。
今年のニュル24時間レースに参戦するのは130台と、例年に比べるとちょっと少なめです。ドイツはコロナ禍以降の急激なインフレと物価上昇で非常に景気が悪く、倒産する企業が続出しており、決してモータースポーツのスポンサー活動には有利な年ではありませんが、それでもプロアマあわせて130台の参戦はさすがニュル!
ニュルへ向かうまでに見かけるコース周辺には数多くのファンがキャンプの準備をし、すでに盛り上がっている様子を見かけました。パドックにファンの姿はまだ少なかったですけれど、それでも熱心にマシンの整備の様子を見たり、ドライバーのサインを待っていたりと、ファンの方も待ちきれないようです。
BMWが新しくなったM4 GT3/GT4 EVOを披露
そして、BMWモータースポーツが「M4 GT3 EVO」と「M4 GT4 EVO」のプレゼンテーションをニュルのグランドスタンド裏にあるM ショールームで行いました。テストでカモフラージュ模様の車両は見たことがありますが、グルグル模様ではないマシンは初対面です。
市販量産車のM4(G82)もフェイスリフト(LCI)されたので、レーシングカーも同様にフェイスリフトを施しました。まだ開発テストは続き、2024年の秋にホモロゲーションを取得して2025年シーズンから正式にデビューとなるそうです。大きなお口のようなキドニーグリルが特徴のM4 GT3とM4 GT4がさらにイカツい感じになりました。後ろから迫られたらめちゃくちゃ怖いでしょう。