サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

幻の「ピスタチオ・フェスティバル」復活希望! モハヴェ砂漠は見どころだらけでフォトジェニックです【ルート66旅_55】

このエリアは大きなロードサインがあちこちに描かれている。一本道で見晴らしがいいため道路に寝転んで自撮りする旅人もよく見る

ルート66ファンならモハヴェ砂漠は下道で走破すべし!

広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。イリノイ州シカゴから西に向かい、ついに最西端のカリフォルニア州に突入しました。モハヴェ砂漠は超有名スポットだけでなく、細かいけれど必見のポイントも数多く存在します。今回はオススメ名所を厳選して紹介します。

1万年前の噴火口を「お鉢巡り」トレイル

カリフォルニア州に入って最初の街ニードルスから、次の大きな街であるバーストーまではおよそ150マイル(約240km)。いくら広大なモハヴェ砂漠を突っ切るといえど、インターステートを使えばたったの2時間だ。でもルート66ファンなら倍の時間がかかっても、下道で走破しなきゃ充実度は半減どころじゃない。なにしろこの区間には前々回のロイズ・モーテル&カフェ、また前回のバグダッド・カフェ以外にも見逃せない名所がたくさんある。

ひとつめは次こそトレッキングすると決めている、約1万年前の噴火口であるアンボイ・クレーターだ。ロイズ・モーテル&カフェのすぐ近くに位置しており、標高はわずか300m弱だが周囲が平坦なだけに遠くからでも目立つ。駐車場からほんの少し歩けば展望台が整備されており、火口の遠景と固まった溶岩を見るだけならそれで済むが、そこで会った人に聞いたところ火口の外周をぐるっと回る、富士山などでもお馴染みのお鉢巡りができるとのこと。ゆっくり歩いても2~3時間だし勾配は緩やか、おまけに道に迷う可能性も少ないので安心だ。

線路の盛り土には時おり哲学者が降臨?

次は街でもなんでもない僻地にポツンとひとつだけ残された廃墟。作りから想像するに住居ではなく店舗だったと思われるが、こんな場所で商売をしようと考えた意図を聞いてみたい。なお現在はお約束の落書きと大量のゴミが捨てられているので、立ち入るときは割れたビンなどを踏まないよう要注意だ。

アンボイより東のエリアでよく見る風景は、線路の盛り土に小石で書かれたメッセージ。ぶっちゃけ廃墟の落書きと大差ない内容も多いけど、ごく稀に哲学的な格言があったりするのが面白い。

文字どおり辺鄙な地にあるモーテル&ダイナーも要チェック

続いてはバグダッド・カフェから30マイル(約48km)ほど東にある、ラドロウという名の街とも呼べない集落。田舎によくある非法人地域で人口は10人にも満たないレベルながら、モーテル/ダイナー/ガスステーションの3点セットに加え、ファストフード店の「デイリークイーン」や小さな空港まである。今回のように東からルート66を走るときはニードルス、西からのときはバグダッド・カフェで食事をするため、恥ずかしながらまだ一度も立ち寄ったことがないのだ。評価サイトの口コミも決して悪くないようだし、今度はラドロウに泊まるのもいいかもしれない。

そういえばバグダッド・カフェがあるニューベリー・スプリングスには、11月1週目の土曜に行われる「ピスタチオ・フェスティバル」の看板があった。酒のツマミにピスタチオが欠かせない私としては非常に気になるが、開催する時期に渡米できないままウェブサイトが消えてしまった。アメリカもコロナ禍で多くのイベントが打ち切られており、密とは無縁に思える砂漠の真ん中も例外ではなかった模様。

ボトルで作ったアート作品も必見

最後はバーストーを飛び越えるが、ボトル・ツリー・ランチを紹介したい。新しめといっても今世紀に入ってからの話だが、昔の写真集には載っていない新しめのスポット。エルマー・ロングという人物が自身の土地に作ったアート作品で、名前のとおり無数のボトルが木のようにディスプレイされている。ボトルだけに限らず道路標識やクルマの部品、本物かどうか不明な動物の骨などを組み合わせ、訪れた人の目を楽しませてくれるのだ。

入場は無料だけど作品の製作や維持には当然ながらお金が必要。入ってすぐのところにドネーション・ボックスがあるので、旅の記憶をいただいた対価として寄付を忘れないようにしたい。

* * *

以上のように小さいながらも見逃せないスポットが多く、交通量が少なくロードサインと一緒の写真も撮りやすい、ナショナル・トレイルズ・ハイウェイとも呼ばれるルート66。便利なインターステートが完成して何十年と過ぎた現在も、このマザー・ロードの道を走るため訪れるファンは世界中にいるのだ。

■「ルート66旅」連載記事一覧はこちら

モバイルバージョンを終了