ピレリがエンツォ用タイヤの開発完了! 288GTO用もまもなく?
スーパーカーやハイパーカーのタイヤは、それぞれモデルが登場した時代における世界最新鋭にして最高峰のものが採用されます。それゆえに「クラシック」と呼ばれる時期になると、装着できるタイヤの供給体制に不安が生じてくることもあり得えますが、2024年6月4日にフェラーリ本社はピレリ社が新たに開発した「エンツォ フェラーリ」専用タイヤを承認しました。また、フェラーリ製「スペチアーレ」創成期のモデル用のタイヤについても言及しました。
見た目はクラシック、だけどテクノロジーは最新のもの
先ごろ、フェラーリ「エンツォ フェラーリ」専用として開発されたピレリの新型タイヤのテストが、2024年6月4日にフェラーリ本社のテストコース「ピスタ・ディ・フィオラーノ(フィオラーノ・サーキット)」にて終了した。
この新生「Pゼロ コルサ システム」タイヤは、これまでエンツォ フェラーリに純正装着されてきたオリジナルと同じく245/35R19(フロント)と345/35R19(リア)が用意されており、アクアプレーニングに対抗するために設計された2つの異なる方向と非対称のトレッドパターンを備えている。サイズと扁平率はオリジナルに忠実ながら、最新の素材、コンパウンド、テクノロジーを採用し、最新のタイヤと同等のグリップ、パフォーマンス、安全性を実現したという。
またフェラーリ本社では、ピレリがすでに「F40」と「F50」のアフターマーケット製品として提供している「コレツィオーネ」シリーズの「Pゼロ」および「Pゼロ コルサ システム」タイヤの使用も正式に承認したという。
1987年に発表されたF40は、ピレリ「Pゼロ」タイヤを標準指定した、最初のハイパフォーマンスカーだった。サイズは245/40R17(フロント)と335/35R17(リア)とされていたが、こちらもオリジナルサイズで、サイドウォールのレタリングもオリジナルに合わせて変更された最新バージョンが、F40のために用意されている。
さらに、1995年にデビューしたF50用の「Pゼロ コルサ システム コレツィオーネ」タイヤについても、フィオラーノにてあらためて開発テストが行われたとのことである。
288GTO専用タイヤは絶賛開発中
ところで、ピレリとフェラーリにおいて現在開発中のタイヤは、1984年にデビューしたフェラーリの元祖スペチアーレ、「288GTO」とも呼ばれる「GTO」専用のもの。フェラーリは2024年10月1日から4日まで、イタリア・アルト・アディジェ州ドロミテ山塊からマラネッロまでを巡る「GTO レガシー・ツアー2024」を開催する予定なのだが、そのイベントでのお披露目を目指しているようだ。
当時のピレリがGTOのために用意したタイヤは、1974年から世界ラリー選手権で培った経験をもとに開発された名作「チントゥラートP7」である。ハンドリングを向上させるため、扁平率を極端に低く設定した最初の近代的タイヤであるチントゥラートP7は、1976年にポルシェ「930ターボ」に純正されたのを皮切りに、全世界の市販スポーツカー/スーパーカーに装着されるマストアイテムとなった。
GTO用としては、もちろんオリジナルのサイズ(フロント225/50R16、リア265/50R16)が用意され、こちらも現代的なマテリアルと構造テクノロジーが組み合わされつつ、当時物の意匠を再現したルックスが特徴となる。
これら4台の伝説的スーパーカーの交換用タイヤが正式に承認されることによって、並み居るフェラーリの中でも、とくに歴史的に重要なスペチアーレ各モデルのオーナーに、彼らの愛車が公道で安全にドライブできる「安心」を提供するというコミットメントを、あらためてフェラーリ本社が示したことになるのだ。