イギリスから個人輸入した車両は特別な1台だった
イギリス人オーナーが日本に持ち込んだというランドローバー「ディフェンダー110」。よく見ると細部が市販車両とは違っていて、その理由をオーナーに聞いてみたら驚かされました。じつはホンモノの元軍用車両で、実際に軍での任務に当たっていたという、かなり変わったモデルでした。
他のディフェンダーと何かが違うイギリスから持ち込んだ変わり種
2024年4月20日に埼玉県のサイボク内特設会場で開催された「Defender Collection Owners Meeting」の会場には、約50台の新旧ディフェンダーが集結した。そんな中で気になったのが、細かな部分がいろいろ異なるネイビーブルーのランドローバー「ディフェンダー110」だ。
ディフェンダーは90、110、130インチの3種類のホイールベースがあり、それぞれにステーションワゴンやピックアップといったボディバリエーションが存在する。今回紹介するのは、一見すると110のステーションワゴンなのだが、よく見ると各部のパーツが異なる1台。
オーナーは現在日本在住のイギリス人、モリソンさん。日本人の奥様と現在日本に住んでいるそうで、流暢な日本語で対応してくれた。話を聞くと、この車両はイギリスで所有していた個体を、2017年に日本に個人的に輸入した車両だという。
元軍用車両という変わった履歴を持つディフェンダーの派生モデル
この車両はもともとアブダビで軍用車両として使用されていた個体だそうで、市販のディフェンダーではなく、北アイルランドで警察車両等に使用された「スナッチ」という特殊車両のプロトタイプ的な車両とのこと。よく見ると、ドアの窓もスライド式で、リアクオーターの窓も形状が異なるのがわかる。市販車両とはボディそのものの作りが違うそうで、フロアもケブラーを挟み込んだ防爆仕様。車重も重いという。
そのほかにもボンネットにラッチが備わっていたり、フェンダー上の縞板が市販モデルより頑丈な5mm厚だったり、ウインカーなどのライト類は、外から工具なしで交換できるよう市販品とは全く異なる構造となっていたりと、各部を見るだけでも楽しい。
ちなみにエンジンは3.5L V8で、SUキャブレターを2基装着している。5速マニュアルとの組み合わせで、重いボディをキビキビ走らせることができるそうだ。
細かな装備も市販車両とは異なり、会場内でも多くの人が興味津々
車内に目を向けると灯火管制用のサーキットブレーカーがあり、ブレーキを含めた全ての灯火を消すことが可能。またメーター下部にあるワーニングランプ類にも通常では備わらないカバーがつき、灯火管制時には、蓋をすることで、光が外部に漏れるのを防ぐ仕組みとなっている。
ちなみにルーフにさらにもう1枚パネルが載っているが、これはトロピカルルーフと呼ばれるパーツで、天井を二重にすることで、ルーフからの太陽熱を遮断する仕組み。アブダビにあった時代の装備だそうだ。
これほどに稀有な歴史を持った車両がいま日本にあることも感慨深いが、そんな履歴を持つ車両を、現在はこの日本で、モリソンさんファミリーが家族のアシとして使っているのもまた面白いのだ。