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スーパーカーブーム時代に「カウンタック」と双璧をなしたフェラーリ「365GT4BB」は約5375万円! クラシケ取得済みが決め手となりました

32万ユーロ(邦貨換算約5375万円)で落札されたフェラーリ「365GT4BB」(C)Courtesy of RM Sotheby's

今後さらなる価格高騰の可能性も

2024年5月10日、RMサザビーズがモナコで開催したオークションにフェラーリ「365GT4BB」が出品されました。総生産台数は387台と少なく、この個体はイタリアにデリバリーするため、ヨーロッパ仕様として送り出されました。6人のオーナーを経て、フェラーリ・クラシケも取得している魅力的な365GT4BBとは?

最高速は当時話題となった302km/hが公称値

1970年代半ばに、日本で社会現象ともなったスーパーカー・ブーム。その主役のひとつにあげられるのが、フェラーリのBB(ベルリネッタ・ボクサー)シリーズだったわけだが、ここで紹介する「365GT4BB」は、その最も初期に生産されたモデルだった。

その車名の冒頭に掲げられる365の数字は、もちろん搭載されるV型12気筒エンジンの1気筒あたりの排気量を示しており、トータルの排気量は4391cc。強いシェイプを持ち、低く薄いフロントノーズやリアオーバーハングを極端に切り詰めたテールセクションの造形など、そのスタイリングは現代の目で見ても、非常に魅力的なものに映る。

この「365GT4BB」のプロトタイプが発表されたのは1971年のトリノ・ショー。だが当時のイタリアは多くの企業で労使関係の悪化からストライキが多発し、その生産型が姿を現すのは、それから約2年後となる1973年のパリ・サロンまで待たなければならなかった。

フェラーリにとって、V型12気筒エンジンを搭載するロードカーを、フロントエンジンからミッドシップへと変更した、セールス上きわめて重要なモデルは、そのデビューから多くの困難に見舞われることになったのである。

プロトタイプと生産型の365GT4BBには、外観上にもいくつかのディテールの違いがあった。プロトタイプではテールランプは4灯式、またマフラーも4本出しのデザインだったが、それが生産型では各々6灯式、6本出しへと変化している。この時期に同時に生産されていた、「308GT4」や「365GT4/2+2」とデザインを統一したいという意思が働いた結果であるとも想像できる。ほかにはエンジンルームのルーバーが3条であることや、リアグリルを持たないことなども365GT4BBの独自の特徴である。

ミッドに搭載されるV型12気筒エンジンは、前でも触れたとおり4391ccで、これはフェラーリのV型12気筒エンジンとしては最小の排気量を持つものだった。しかしながらウェーバー製の40IF3Cトリプルチョーク・キャブレターの組み合わせなどで、その最高出力は380psに、また最大トルクは430Nmに達し、最高速は当時大きな話題となった302km/hが公称値とされていた。

フェラーリ・クラシケも取得済み

RMサザビーズのモナコ・オークションに出品されたモデルは、トータルで387台が生産された365GT4BBの1台で、「17883」のシャシーナンバーを持つもの。イタリアにデリバリーするため、ヨーロッパ仕様として生産。1974年5月2日にマラネロの本社工場で完成したことが記録されている。

その月の終わりにはフィレンツェ郊外のプラートにあるディーラー、レナート・ノチェンティーニのガレージ・ラ・ロトンダに納車され、すぐに最初のオーナーである、ペルージャで自動車ボディの修理業を営むピエトロ・ロッシ氏に売却された。

その後1978年には2番目のオーナーであるアントニッテ・ヴェリッキ夫人の手にわたったほか、現在まで6人のオーナーのガレージを渡り歩いた365GT4BB。最終的に完璧な整備を受け、フェラーリ・クラシケの認定を受けたことで、その価値が大きく高まったことも付け加えなければならないはずだ。

エクステリア、インテリアともに新車時のまま素晴らしいコンディションで保管、整備されてきた365GT4BB。RMサザビーズのエスティメート(推定落札価格)は30万~40万ユーロというものだったが、実際の落札価格は32万ユーロ(邦貨換算約5375万円)と、その中にぴったりと収まった。一連のBBシリーズも、これからさらにその価値が高まっていくことは、間違いのないところだろう。

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