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ポルシェ「911ターボ3.6」が約4360万円で落札!「964型」で最も人気のある1台は「マイルからキロ」に変更されていました

25万8125ユーロ(邦貨換算約4360万円)で落札されたポルシェ「911ターボ3.6」(C)Courtesy of RM Sotheby's

ターボモデルは964人気の中心的存在

2024年5月10日、RMサザビーズがモナコで開催したオークションにポルシェ「911ターボ 3.6」が出品されました。この911ターボ 3.6は、1993年と1994年にだけ生産され、販売台数は1500台にも満たないモデルでした。

わずか2年しか販売されなかった

1963年にデビューを飾ったポルシェ「911」は、スポーツカーとしてのパフォーマンスはもとより、高い実用性を含めたオールマイティな魅力で、多くのカスタマーから高い人気を得るに至った。ポルシェはその後、初代911を930型にモデルチェンジし、さらに魅力を増している。ここで登場した「ターボ」はスーパースポーツの世界における価値観、すなわち高いパフォーマンスを得るには大排気量のマルチシリンダーエンジンを搭載するのが常識なのだという考えを、ターボというメカニズムによって書き換えた。きわめて斬新なモデルにほかならなかったのだ。

930型911の生産は1989年まで続くが、この年ポルシェは新たな世代の911をデビューさせる。カスタマーの数が爆発的に増える中で、彼らの要求は多岐に及び、それに応えるためには新世代の911が必要とされたのだ。それが、現在ではクラシックモデルとしての価値も大きく高まりつつある964型の911である。

964型911は、基本的には930型911のボディフォルムを継承しているが、実際には964型のボディパーツは80%が新設計されたものである。これによってエアロダイナミクスはさらに向上した。大きな話題としては4WD仕様の「カレラ4」もラインアップされた。ここで紹介するターボモデルのデビューは1991年。これもまた930型時代に多くのカスタマーを大いに刺激したモデルだけに、カスタマーが長くそのニュー・バージョンの登場を待ち望んでいたことは言うまでもない。

964シリーズの人気から、当初生産が追い付かない状況にあったポルシェは、さらにターボモデルを生み出すために、930型から受け継いだ3.3L仕様の320ps版エンジンをカレラ2ベースのシャシーに搭載して、最初の964エースとなるターボを開発した。それでも最高出力は320psに達したのだから、その運動性能は高く、カスタマーにとって十分に満足できるものだったに違いない。

さらに1993年になると、ポルシェはNA系モデルとのさらなる差別化のために、搭載エンジンを3.6LのM64型をベースとするものに変更。KEジェトロニックとの組み合わせで最高出力は360psに達し、他社のライバルと比較しても十分なアドバンテージを得る動力性能、そして20mmほど低められたシャシーによる運動性能によって、十分に余裕を持って戦えるマシンへと仕上がったのだ。ちなみに3.6ターボの生産は、1993年と1994年に限られ、販売台数は1500台にも満たなかった。

メーターはマイルからキロに変更

RMサザビーズのモナコ・オークションに出品された911ターボ 3.6は、その中の1994年型だ。実際には1993年7月3日にアメリカ仕様として生産が完了し、ミッドナイト・ブルーにライト・グレーの内装が施された。

シートにはブルーのパイピングが施され、クラシック・グレーのカーペットとアッパーレザー・トリムなど、いくつかのオプション装備が選択されていた。そのほかのメーカー・オプションには、電動サンルーフ、アップグレードされたレザーとランバーサポートを備えたフロントシート、CDプレーヤー、ポルシェのカラークレストをあしらった、ポリッシュ仕上げの18インチ径ホイールなどが含まれていた。

ポルシェからの出荷後、アメリカのニューハンプシャー州ノースハンプトンで最初のオーナーにデリバリーされたこのモデルは、その後2008年までアメリカに留まり、その後クウェートやドイツで登録された。この時メーターはマイル表示からキロ表示に変更され、工場出荷時のカラーであるミッドナイト・ブルーに改めて塗装されたという。

2022年にはドイツのポルシェ・ツェントラム・アーヘンによって、3万ユーロ強の整備作業も行われている。現在も、運転席と助手席にはパティナ(わずかな色褪せ)が見られるものの、そのコンディションは964世代のターボとしては上々のものだろう。

RMサザビーズによるエスティメート(推定落札価格)は23万〜35万ユーロ。落札価格は25万8125ユーロ(邦貨換算約4360万円)という数字だった。ターボモデルはこれからも、964人気の中心的存在となるのは確かなところだ。

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