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ベントレーが女子大学生を本社クルーに招待する理由とは? 女性のSTEM教育を強化して製造業への関心を高めてもらうためでした

ベントレーは女子学生を対象とした「エクストラオーディナリーウーマン」プログラムを実施

ベントレーが「エクストラオーディナリーウーマン」プログラムを実施

ベントレーは2022年から女性のSTEM(自然科学・技術・工学・数学)教育の強化と自動車業界におけるさまざまなキャリアパスの探求を奨励するために、女子学生を対象とした「エクストラオーディナリーウーマン」プログラムを実施しています。第3回を迎えた2024年は英国とカタールから学生を受け入れました。このプログラムの特徴は「パイオニア」と呼ばれる各分野の女性の専門家から直接指導を受けられることにあります。今年はどのようなパイオニアが参加したのか、学生にとって価値のあるものだったのか見てみましょう。

英国とカタールから大学生を受け入れ

第3回目を迎えるベントレーモーターズ主催の「エクストラオーディナリーウーマン」プログラムは、英国とカタールの大学の学生たちを最後に英国クルーにある高級車ブランドの本社に招待し、1週間をベントレーのスタッフと過ごすことで終了した。学生たちはベントレーの専門家や経営幹部と会い、製造業の舞台裏を見学し、個々の課題に取り組んだ。

次世代の若い女性リーダーを奨励し、育成することを目的として設計されたこのエクストラオーディナリーウーマン プログラムでは、学生たちは3カ月間、テクノロジー、エンジニアリング、デザイン、ビジネスの各分野で活躍するインスピレーションあふれるパイオニアたちからマンツーマンの指導を受ける。

そして、STEMの特定分野に焦点を当てた体系的な選考プロセスを通過した学生たちは、カタールのドーハ科学技術大学、英国のバース大学、ラフボロー大学、マンチェスター・メトロポリタン大学など、さまざまな大学から選考された。

指導者は各分野のパイオニアである女性たち

実際に指導を行うパイオニアも同様に慎重に選ばれた。英国では、「クラフターズ・コンパニオン」社の創設者兼オーナーであり、BBC Oneの番組『Dragons’ Den』のテレビパーソナリティでもある起業家のサラ・デイビーズMBEがビジネスの指導を行い、テック・ウーマン・トゥデイの創設者であるシシリア・ハービーがテクノロジー分野で同様の指導を行った。

シニア・プロセス・セーフティ・エンジニアであり、2023年のヤング・ウーマン・エンジニア・オブ・ザ・イヤーを受賞したティティ・オリイデCEng MIETが工学部の学生を指導し、著名なインテリアデザイナーでありストゥドゥオルス社の創設者であるイルゼ・クロフォードがデザインのサポートを行った。

カタールからのパイオニア4名には、デザイン分野でカタールのユネスコ芸術大使であるムナ・アル・ベーダー、サイバーセキュリティ教育への貢献でアラブ・ウーマン・オブ・ザ・イヤー2024賞を受賞し、アラブ・アソシエーション・フォー・サイバーセキュリティの創設会長でもあるヌーラ・フェタイス・アル・マーリ博士が選ばれ、技術指導を行った。

エンジニアリングの分野では、カタール女性エンジニア協会の創設者であるハナン・ファルハット博士が、ビジネスの分野では、「タムキーン・トレーニング・アンド・コンサルティング・ソリューション」社を設立した組織の上級顧問であるブハイナ・アル・アンサーリ博士が、それぞれ担当した。

学生、指導者の双方にとって刺激となり未来への希望を繋ぐプログラム

ベントレーモーターズの人事担当取締役であるカレン・ランゲ博士は、次のようにコメントしている。

「エクストラオーディナリーウーマン プログラムは年々強化されています。このような才能ある若い学生たちと出会い、交流できたことは大変な栄誉でした。そして学生たちのエネルギーと能力を目の当たりにし、未来に大きな希望を感じています」

参加したドーハ科学技術大学の学生、ヌーラ・アル・ハジュリさんは

「この経験は、人生を変えるというほかありません。このプログラムを通して、私は、私の個人的な成長と専門的な成長に大きく影響する、かけがえのない知識とスキルを得ることができました。カタールと英国の両国で刺激的な指導者から学ぶ機会は、とくに充実したものでした。彼らの指導は、私の視野を広げ、批判的思考に挑戦させ、新たな自信をもって自分の夢を追求する力を与えてくれました。プログラムの最後にベントレー本社を訪問する機会もあり、本当に感激しました」

とコメントしている。

AMWノミカタ

UTokyo Open Course Ware の最近のレポートによれば、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、日本の大学入学者における女性比率は断トツの最下位に位置しているとのことである。自然科学、数学、統計学分野は27%(最高はスロバキアの65%)、工学、製造、建築は16%(最高はアイスランドの39%)という数字だ。要因はいろいろあるが、主には「◯◯には男性が向いている」などのジェンダーイメージの問題、そして男女平等意識が低い人ほどそのようなイメージを持っていることにあるという。

ベントレーは学生を受け入れる環境を整えるべく「ビヨンド100」戦略のもと社員のダイバーシティ&インクルージョンの意識強化に取り組む一方で、このようなエクスクルーシブなSTEM教育をする場を作ることで女子学生たちの製造業への関心を高めようとしている。非常に良い取り組みだと思う。現在のベントレーの女性従業員比率は19.9%であるが、女性の新規採用比率は29.5%とこの数字よりも高い。

このような一連の活動の効果が出ているのかも知れない。

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