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ブガッティ新型「トゥールビヨン」はおよそ6億5000万円から! 100年先を見据えたデジタル要素を排除したコクピットに注目です

ブガッティ トゥールビヨン:電動式ディヘドラルドアを採用する

新しいハイパーカー「トゥールビヨン」を発表

ブガッティは、新しいハイパーカー「トゥールビヨン」を発表しました。8.3L V16エンジンに3基のモーターを組み合わせたPHEVで、システム総出力は驚異的な1800psを達します。インテリアは100年先のコンクール・デレガンスで飾られることを考慮し、デジタルの要素を極力おさえて仕立てられています。

最高出力はシステムトータルで1800馬力

ブガッティは2024年6月21日、新しいハイパーカー「トゥールビヨン」を欧州で発表した。ブガッティの本拠地であるモルスハイムとフランスの伝統をさりげなく連想させるトゥールビヨンという名前は、1801年にフランスに住んでいたスイス生まれの天才時計師が発明した機械式時計の機構(またはその機構を装備した時計)のことで、200年以上経った今でも時計製造の最高峰として崇められている。

新型トゥールビヨンのパワートレインは、新開発の8.3L V型16気筒ガソリン自然吸気エンジンに、コスワースの協力で開発された電動アクスルを組み合わせる。トータルで1800psを発揮し、そのうち1000psは内燃エンジンから、800psは電動モーターから供給される。これは、8L W16エンジンと4つのターボチャージャーを搭載した「ヴェイロン」の1001psを大きく上回る性能となる。

搭載する電気モーターのバッテリーは25kWhで4輪駆動とフルトルクベクタリングにより、究極のトラクションと機動性を発揮する。フロントアクスルには2つの電動モーター、リアアクスルには1つのモーターが搭載され、電動パワートレインシステム全体で800psを出力する。電動モーターは最大2万4000rpmで回転し、シリコン・カーバイド・インバーターを備える。電力を供給するのは油冷式の800Vバッテリーで、センタートンネルおよび乗員の後方に搭載する。EVモードでは約60kmの航続距離を可能にしている。

時速400キロ以上での走行にも対応できるように設計

トゥールビヨンはまったく新しいシャシーとボディ構造を中心に設計され、次世代T800カーボンコンポジットを使用し、バッテリーをモノコックの構造部品として一体化するなど、軽量化技術を採用している。車体前部を流れるフロント・コンポジット・エアダクトも構造と一体化しており、高剛性・軽量構造の各部を最適化する。フロントとリアのフレームには、低圧薄肉アルミ鋳造と3Dプリンターによる構造ブレースが採用され、先代モデルよりも大幅に軽量かつ高剛性な構造に貢献している。

また、400km/h以上での走行にも対応できるよう空力特性だけでなく、V16エンジン、電気モーター、バッテリーがフルパフォーマンスで発揮する熱力学的要件のバランスをとるために設計されている。

ブガッティのデザインディレクターであるフランク・ハイル氏はこのようにコメントした。

「私たちはトゥールビヨンをデザインするにあたり、タイプ35やタイプ57SCアトランティック、タイプ41からインスピレーションを得てこの素晴らしいスタイル、そしてプロポーションを作り出しました。すべてのデザイン上の決定は、停止している時でさえスピード感を生み出すことに向けられました」

100年後にコンクール・デレガンスで飾られることを想定

100年後にコンクール・デレガンスでトゥールビヨンが飾られることを想定し、インテリアのデザイン哲学は時代を超越することに重点を置いた。そこで100年以上前の腕時計が現代のファッションやライフスタイルに溶け込んでいる時計の世界にインスパイアを受け、キャビン内ではアナログ体験が提供される。

その目玉は、先進的な電動式ディヘドラルドアと、インテリアではスイスの時計職人の専門知識を結集して設計・製作された600個以上の部品から構成されるメーターなどだ。このほかにもシートは可能な限り軽く、そして低くなるようにフロアに固定され、ペダルは電動で前後に調整でき、快適なドライビングポジションを確保する。オーディオシステムはドアパネルや車内全体にエキサイターを配置し、従来のオーディオよりも軽量で効率的なシステムを採用している。

同社のクリストフ・ピション会長は、このように語る。

「このような時代を超越したインテリアを作り上げるために、目を見張るようなアナログ的な技術革新が行われただけでなく、私たちは最高の素材を使用し、各部の完璧さにも重点を置きました。トゥールビヨンでは、クラフツマンシップを次のレベルに引き上げています。

エットーレ・ブガッティの作品を見れば、たとえ目に見えない部分であっても、すべての部品が芸術品であることは明らかです。細部に至るまで見事であり、ブガッティであることを認識させるとともに、パッケージングとエンジニアリングの傑作でもあるのです」

合計250台が製造され、価格は約6億5000万円から

同社のマテ・リマックCEOはこのようにコメントした。

「新しいV16エンジン電動アクスルを組み合わせ、スイスの時計職人の専門知識を結集して設計・製作されたメーターやクリスタルガラスのセンターコンソールを装備するのは、たしかにクレイジーです。しかし、それこそがエットーレならやったであろうことであり、ブガッティを比類なき、時代を超越した存在にしているのです。そのような野心がなければ、優れたハイパースポーツカーを作ることはできても、”Pour’éternité”(永遠のために)アイコンを作ることはできないでしょう」

トゥールビヨンは現在テスト段階に入り、2026年の納車に向けて、すでにプロトタイプが走行している。合計250台が製造され、価格は380万ユーロ、つまり約6億5000万円からとなる。手作業による組み立ては、W16エンジンを搭載したブガッティの最終モデル「ボライド」と「W16ミストラル」の生産終了後に、モルスハイムにあるブガッティ・アトリエで行われる。

AMWノミカタ

1800psのパワートレインを持つクルマ自体のパフォーマンスにも驚愕するが、さらに驚くのは100年先のコンクール・デレガンスに飾られる価値のあるクルマを作るために、デジタルの要素を極力排するという考え方だ。こんな考えをもつ自動車メーカーがほかにあるだろうか? ブガッティの人間からいえば、エットーレ・ブガッティの哲学を単に引き継いでいるという当たり前の所作なのかも知れないが、時代が進むにつれ、そのような創業者の哲学は少しずつ薄くなったり、都合よく別の解釈をされたりするものである。

今回のトゥールビヨンはエットーレ・ブガッティの「比較可能ならば、それはもはやブガッティではない」、「美しすぎるものはない」という考えを現代の最新で最高の技術により、純粋に突き詰め実現したモデルであると言えるであろう。ブガッティの競合はもはやない。これは現代に生きる人間のエットーレ・ブガッティに対する挑戦なのだろう。

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