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「マクドナルド1号店」のミュージアムはなぜ非公式? 映画『カーズ』のモデルになった歴史ある宿にも泊まれます【ルート66旅_59】

世界を席巻するマクドナルドの1号店はルート66沿線に

広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。シカゴから西に向かい、ついにカリフォルニア州に突入。カホン峠を越えたらぜひ立ち寄りたいスポットが、日本人にもおなじみ、マクドナルドの第1号店です。

インランド・エンパイアを構成する街、サンバーナディノ

標高1150mのカホン峠を下ると、ルート66の旅もいよいよ大詰め。ここから終点のサンタモニカまでは「グレーター・ロサンゼルス」と呼ばれる大都市圏に含まれ、国立公園のような絶景とは無縁ながら、今も生活道路として欠かせないルート66をトレースできる。

今回は峠を越えて最初に出会う街、サンバーナディノ(San Bernardino)を紹介したい。隣のリバーサイドなどと併せて都市圏「インランド・エンパイア」を構成し、サンバーナディノ単体でも人口は22万人を超え現在も増加の一途を辿っている。ロサンゼルスに比べれば地価が安いうえ渋滞がなければクルマで1時間、またメトロリンクという鉄道の終点であるため通勤にも便利な立地だ。

いっぽう殺人の発生率はロサンゼルスの倍を超え、治安に関してはいいイメージがない街でもある。2015年には福祉施設で銃乱射事件があり、犯人2名を含めて16名が亡くなっている。余談だがこのとき日本ではサンバーナディノではなく「ロサンゼルス近郊」と大きく報道され、現地でガイド業を営む知人が「ロサンゼルスは危険というイメージがついてしまう」と嘆いていた。

マクドナルド兄弟が大戦中の1940年に創業

マイナスな面こそあれどルート66ファンにとって、欠かすことができない街でもあるサンバーナディノ。忘れずに立ち寄りたいのはルート66沿いにある、日本でも馴染みが深いマクドナルドの1号店だ。世界に4万2000軒近い店舗を持つ巨大ファストフード・チェーンの歴史は、第2次世界大戦の最中である1940年にこのサンバーナディノから始まった。

ハンバーガーを短時間で提供するシステムを考案したリチャードとモーリスのマクドナルド兄弟が創始者で、彼らのビジネスは大成功を収め1953年から全国にフランチャイズ展開をスタートし店舗を急増させていく。マクドナルド兄弟は1961年に事業を売却し経営から手を引くが、発祥の地であるサンバーナディノの土地と店舗だけは譲らず、買収先と大いに揉めたというエピソードが残されている(2016年の映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』で詳しく知ることができる)。

そういった事情で1号店の場所にある「ファースト・オリジナル・マクドナルド・ミュージアム」は、公式には認められていない存在らしく、入場は無料だし飾り気こそないものの展示も充実しており面白い。

かわいいティピーのモーテルに泊まってみよう

もうひとつはウィグアム・モーテル。アリゾナ州ホルブルックでも紹介した先住民の住居、ティピーを模した客室が人気の宿だが経営は別だ。営業をスタートしたのは1940年代の後半で、2012年にはアメリカの国家歴史登録財に指定、泊まること自体を目的としたファンも多くいる。

客室のデザインや設備はホルブルックとほとんど変わらないが、屋外にはカリフォルニアらしくパーム・ツリーが立ち並んでおり、西海岸らしいモダンな雰囲気が特徴といえば特徴かもしれない。

冒頭で「サンバーナディノは治安が悪い」なんて書いたが、モーテルから徒歩3分の範囲にレストランが何店かあるし、夜も交通量はそれなりに多く、神経質になり過ぎる必要はない。映画『カーズ』に登場するモーテルのモデルになった歴史ある宿で、もうすぐ終わりを迎えるルート66の旅を振り返ってみるのもいいだろう。

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