ロールス・ロイスが電動キットカーレースで地元の小学生をサポート
英国の慈善団体であるグリーンパワーとグッドウッド本社の近隣にあるマーチCE小学校の生徒が協力して、4台の電動レーシングカーを製作しました。これはロールス・ロイスのSTEM(科学、技術、工学、数学)教育をサポートする活動の一環ですが、本社のデザイナーなどが関わる本格的な取り組みになります。マーチCE小学校の生徒が参加するレースは2024年6月30日にグッドウッド・モーター・サーキットで開催されました。
電動レーシングカーのキットを子どもたちに提供
ロールス・ロイス・モーター・カーズは、英国に本拠を置く慈善団体で、電気自動車の設計、製造、レースに挑戦することで若者に科学と工学についての熱意を伝えるグリーンパワーによる「ゴブリンの集い」に向けて、マーチCE小学校との長年にわたるパートナーシップを継続している。
このコンペティションは、グリーンパワー・エデュケーション・トラスト(以下グリーンパワー)によって運営されている。学校、大学、グループ単位で構成され、年齢に応じた電動レーシングカーのキットを提供し、グリーンパワー社のイベントで3つのカテゴリーのいずれかに分かれてレースを行い、最終的に国際決勝大会を行う。イギリスでは、小学生から大学生まで1万人以上の学生が700以上のチームに分かれて参加している。同様のグリーンパワー・ライセンス・プログラムは、ヨーロッパやアメリカでも実施されている。
グッドウッドにあるロールス・ロイスの本拠地に隣接するマーチCE小学校の5年生と6年生は、数年前から9歳から11歳の児童を対象とした「フォーミュラ・ゴブリン」部門に参加している。ロールス・ロイスは当初、放課後のSTEMクラブに1台の電動キットカーを提供したが、圧倒的な人気を博したため、現在では4台の電動キットカーをサポートしている。
子どもたちはロールス・ロイスのスペシャリストと協力してレーシングカーを製作
シャシーとパワートレインはグリーンパワーから供給され、同じ土俵で戦えるように標準化されている。しかし、その上に載せる車体の形や仕上げは、チームが自由に決めることができる。ユニークなパートナーシップにより、マーチCE小学校のチームはロールス・ロイスのスペシャリストと協力してデザインを練り上げ、それを具現化する。
例年通り、子どもたちは指定されたテーマ(2024年は「エレメンツ」)に沿って、大胆で想像力豊かなクルマのコンセプトを創り上げた。子どもたちはまた、ロールス・ロイスのデザイナーからデザインプロセスについて学び、彼らのドローイングを、新しいモデルやクライアントから依頼されたデザインとまったく同じように、完全なデジタルレンダリングに変換した。
4つのデザインが完成すると、グッドウッドにあるロールス・ロイスの本拠地から実習生とインターンがSTEMクラブに参加し、ロールス・ロイスで実際に使用されている材料の一部を取り入れながら、子どもたちがクルマを作るのを手伝った。実習生たちはまた、レース当日に向けて、ドライバートレーニング、テスト走行、ピットストップの練習も手伝った。
レースは2024年6月30日に学校とロールス・ロイスの本拠地から1マイル(約1.6km)も離れていないグッドウッド・モーター・サーキットで開催された。
AMWノミカタ
グッドウッドの地元のマーチCE小学校は考古学調査を合同で行うなどロールス・ロイスとのつながりが深い。地域社会への貢献活動のひとつとして今回は電動レーシングカーのレースに参加する。
これはロールス・ロイスがモータースポーツの楽しさを通してSTEM科目(科学、技術、工学、数学)をより生き生きとしたものにすることを目的に行われる活動のひとつである。英国も国全体でこのSTEM教育に力を入れている。その背景には、デジタル化、ブレグジット、パンデミック等による労働力の不足と、スキルを持つ人材の不足が経済に影響を与えていることが挙げられるという。ベントレーは理系女子大学生を対象とした3週間の集中講座を開講し、ロールス・ロイスはさらに若い小学生を対象とした教育を行っている。
その効果が現れるのは数年先になるかも知れないが、英国におけるエンジニアリングと製造業の未来への長期的で重要な投資でもある。