もしアメリカで暮らせるならこのエリア? フットヒル・ブルバード沿いは名店だらけ
広大なアメリカを東西2347マイル(3755km)にわたって結ぶ旧国道「ルート66」をこれまで5回往復した経験をもつ筆者が、ルート66の魅力を紹介しながらバーチャル・トリップへご案内。シカゴから西に向かいカリフォルニアへ、いよいよ旅も終盤です。今回は、フットヒル・ブルバードと呼ばれるエリアから、ぜひ食べてほしい美食スポットを紹介します。
LAまでクルマで1時間、居心地のいい街グレンドーラ
ロサンゼルス東部の航空博物館を巡り、終点のサンタモニカを目指す旅が再開。サンバーナディノから西のルート66は「フットヒル・ブルバード」と呼ばれ、現在も沿線で暮らす住民にとって欠かせない生活道路となっている。ロサンゼルスほどの喧騒がなく治安も比較的いいため、私がカリフォルニアに長期滞在するときはこのエリアだ。
なかでも気に入っている街がグレンドーラ。場所はサン・ガブリエル山脈の南嶺で人口は5万3000人、始まりは1700年代に入植したスコットランド人だという。街のスローガンは「プライド・オブ・フットヒル」で、ルート66が今もメイン・ストリートであり続けている。
都会すぎず田舎すぎない街の規模が好きなことはもちろん、ロサンゼルスまでクルマで約1時間というアクセスのよさ、そして美味しいレストランが多いのもここに滞在する理由。せっかくなので合計3カ月は過ごしたグレンドーラから、とくにオススメな店4つをピックアップして紹介したい。
全米で一番美味しい!? ネプチューン・オムレツ
まずは私が全米で一番美味しいオムレツだと思っている、ルート66沿いの「フラッピー・ジャックス・パンケーキハウス」から。いま調べたところ店の名前が「スタックス・オン・66」に変更されているが、メニューや画像を見る限り以前と同じなのでリニューアルしただけと思われる。
朝6時にオープンした直後から満席になってしまうほどの人気店で、私がいつもオーダーするのはシーフードたっぷりのネプチューン・オムレツ。卵4つを贅沢に使って焼き加減も絶妙、上にかけられたチーズがまた美味しい。同じ皿に添えられたじゃがいもを細かく刻んだハッシュブラウン、そして看板メニューのパンケーキが2枚とボリュームも満点だ。また店内の壁にはルート66の名所が描かれ、それらを眺めているだけでも楽しめる。
ルート66の雰囲気たっぷりのダイナー
次は3kmほど東に位置する「レジェンズ・クラシック・ダイナー」を。ハンバーガーなどのトラディショナルなアメリカ料理がメインで、外壁のサインから店内の装飾までルート66を全面に押し出している。私のイチ押しはベーコン・アボカド・チーズバーガーか、シンプルなグリルド・ハム&チーズ・サンドイッチ。
ラーメン・ナルトは日本でも通じる美味しさ
日本の食べ物が恋しくなったときに駆け込むのは、ルート66沿いのモールにある「ラーメン・ナルト」だ。どれを頼んでもハズレがない美味しさではあるけど、ルート66ファンなら「ナルト66」を食べてみよう。豚骨をベースとしたスープに大きなチャーシューが2枚や煮卵などトッピングもたくさん、アメリカだから美味しく感じるというのではなく、日本でも近くにあったら通うレベルだ。
1つ300グラムのストロベリー・ドーナツ
イートイン不可だがデザートに欠かせないのは、1972年にオープンの老舗「ドーナツ・マン」だ。オーナーは日系のジム・ナカノさんで当初は別店のフランチャイズだったが後に独立、コロナ禍と円安で私が渡米できていないうちにロサンゼルスにも支店を出したらしい。
アメリカのお菓子と聞くと不自然なほど極彩色というイメージを持つ人も多いが、ここのドーナツはいい意味でアメリカらしくないし甘さもそれほど強くない。私の大好物は季節限定のストロベリー・ドーナツで、新鮮なイチゴをいくつも使い重さはなんと約300g。
グレンドーラの本店は創業した当時と変わらずコンパクトで、時間帯によっては建物をぐるっと囲むように長蛇の列ができる。さらに面白いのは24時間営業であること。私は混雑を避けるため夜中とはいわずとも遅い時間に行き、翌日のオヤツにするのがグレンドーラ滞在時のルーティーンだ。
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なお近隣のダイヤモンド・バーやウェスト・コビーナ、サン・ディマスなどの街を含めれば選択肢はさらに広がる。ロサンゼルスより静かで宿泊代はリーズナブル、そして美味しくフレンドリーな店がたくさん。ルート66の終点であるサンタモニカを目指す前に、フットヒル・ブルバード沿いの街も満喫しよう。
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