イベントを支えるスタッフの愛車はフォード アングリア
愛知県豊橋市に唯一残る木造校舎の学校跡地で開催されたクラシックカーイベント「ジーロ・ディ・三河~遠州」。その参加車両たちとは別のスタッフ駐車場に、可愛らしく佇んでいるフォード「アングリア」を発見しました。そう、映画『ハリー・ポッター』シリーズでも「空飛ぶクルマ」として映画のアクセントになっている、あのクルマです。さっそくオーナーに話を聞いてみました。
新車購入から1年のロードスターを手放してアングリアを入手
「友人がこのイベントの実行委員をやっていて、2022年の初回開催時よりスタッフとして関わらせてもらっています」
という森塚正憲さんが、このフォード「アングリア」のオーナーだ。
「このアングリアとの付き合いは、いつの間にか30年になりますが、乗り始めた頃は、まさかこんなに長く持っているとは思わなかったな」
と笑う。なんでも当時、輸入車のディーラーでメカニックとして働いていた森塚さんは、仕事の関係で知り合ったカーショップにあったレストアベースのMG「1100 Mk.1」を購入した。自分で休みの日に直して乗ろうと考えていたそうだが、そのMG 1100にはいくつかの欠品があったという。
「完全な状態を見て勉強しないと、ちゃんと直せないと思っていたら、都合よく家の近くのクルマ屋さんに同じMG 1100があったんですよ。そして、そのお店にあったアングリアと出会ってしまいました」
1960年代前半の英国サルーンカーレースで「ミニ」のライバルとして立ちはだかっていたアングリア。日本ではミニ人気と比べるとマイナーな存在であるアングリアを初めて目にした森塚さんは、ふつふつと興味が湧いてきた。
「レストアベースのMG 1100を買ったばかりでしたから、諦めようとも思ったんですけど、クルマ屋さんの“押し”に負けて、新車で買ってまだ1年しか経ってないユーノス ロードスターを手放して買っちゃったんですよ」
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
エンジンはコンサル カプリの1500ccに換装
1994年4月に購入した森塚さんのアングリアは、イギリスではなく、ノックダウン工場のあった南半球のニュージーランドで製造されワンオーナー車だったということが、付いてきた整備記録から分かる。走行距離は約3万マイル(約4万8000km)のフルノーマル車だったそうだ。
「乗り始めた当初はあまり長く乗ることは考えていなかったのですが、部品の入手も比較的ラクで、維持も困らなかったのと、ヘッドライトの上の眉毛のようなモールも、なんだか人間味があるデザインですよね。見た人から可愛いと言われるので、気分いいじゃないですか。それで気付いたら、ちょうど30年目の付き合いになりましたね」
購入時より塗装面にカサカサしている部分もあったというボディは8年前に再塗装。30歳までメカニックをしていたという森塚さんは、その経験を活かして、ブレーキ配管の引き直し、ワイヤーハーネス交換、フロントブレーキのディスク化などを行い、エンジンとトランスミッションは、同じフォードの「コンサル カプリ」の1500ccに積み替えている。
「動力系の部品はアングリアよりコーティナやエスコートといった年式の新しいものが、ほぼ無加工で取り付けられるのもフォードの魅力ですよね。外観はノーマルのままですが、アップデートでより快適なアングリアになっていると思います」
さすがメカニックの経験もある森塚さんの愛車は、これまで路上で止まったことは2回しかないらしい。
「こうしたイベントは、国内外のいろいろなクルマを間近で見ることができますし、そうしたクルマを維持してるオーナーさんたちとの会話は貴重な経験で、とても楽しいですね。来年もスタッフをしてますので、ぜひ春の三河~遠州路を楽しみに来てください」
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