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DTMの歴代名車も大集合! 市街地開催のドイツ・ツーリングカー選手権は「壁ギリギリ選手権」で大盛りあがりです【みどり独乙通信】

クラシックレースの参加車両

久々にDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)へやってきました!

モータースポーツを中心に欧州で取材を行う池ノ内みどりさん。40周年を迎えた2024年シーズンのDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)のラウンド4が2024年7月6日と7日に開催されました。ドイツで唯一の市街地で行われる公道レースとあって、毎年多くのファンが詰めかけます。迫力のレースが行われるいっぽうで、懐かしの名車や貴重な有名人との出会いや、おいしいお食事といった内容盛りだくさんの取材記をお届けします。

ニュルンベルグ郊外の市街地レースがノーリスリンクで開催

ノーリスリンクはドイツで唯一の公道を使った市街地レースで、その壁スレスレ選手権的なレースを目当てに毎年数多くのファンが詰めかけます。市街地レースで便利なところは、コースのすぐ目の前が在来線の駅なので、電車を降りればすぐサーキットという立地です。地元の方は自転車で来られる方も多いようです。

毎年スタジアムの裏手が私たちメディアの駐車場なのですが、今回はその場所でロックコンサートが行われているということで、サッカースタジアムの中に駐車して良いことになりました。もちろん、芝生の部分は絶対にクルマで乗り入れてはいけませんので、陸上競技のトラックの上に停めます。ここはサッカーのブンデスリーガ2部の1.FCニュルンベルグのホームグラウンドです。かつては日本人選手も所属していたようですが、今季は残念ながらゼロです。

私たちメディア関係者が利用するメディアセンターは、このスタジアム内の体育館に机を並べた仮設なのですよ。2006年に開催されたサッカーのワールドカップでは、このスタジアムも試合会場のひとつでした。いまもその看板が残っていますし、スタジアムの中にはW杯の時にここで試合をした各国の代表チームのユニフォーム等が壁に飾られています。スタジアムの中には警察署もあります。DTMは街にとっても大型イベントとあり、数多くの警察官のみなさんが警備に当たってくださって安心です。

DTMではこのノーリスリンクとオーストリアのレッドブルリンクのメディア用のお食事は特においしいことで有名なのです。食いしん坊の私にとっては、給食をワクワクして待つ気分と同じです。おいしいご飯は仕事の活力になりますよね。何も食べずに自宅を朝早くに出てきましたので、熱々のブラックコーヒーと朝ごはんを頂けたのは本当に嬉しかったです。まるでホテルの朝食ビュッフェのように充実していました。お腹いっぱいになった後は、元気に取材スタートです!

BMWがi4に施したシャレた計らいとは……

ここノーリスリンクはニュルンベルグ市民の方が日常的に利用されている公道とあり、常設のサーキットのようなピットの施設はありませんので、仮設テントがピットになります。メディアセンターのあるスタジアムからピットに行くには、歩くとちょっと距離がありますのでゴルフカートをメディアシャトル代わりに運行してくださっています。また、第1コーナー行き限定なのですが、自動車のメディアシャトルが運航されています。今回、BMWがノーリスリンク用のメディアシャトルをご用意いただいたのですが、そのカラーリングがめちゃくちゃイイ! EVモデルの「i4」がBMWを代表するイエーガーマイスターとヴァーシュタイナーにラッピングされていました。DTMは今年で早くも40周年を迎え、今年はその記念の年でもあるのです。なかなかシャレたことをしてくれますね、BMWサン。

予選後にはメディアセンター行きのゴルフカートが捕まらなかったこともあり、パドックのファンエリアを見学しながらのんびり歩いて戻りました。この日は夏日とあり、生ビールがおいしそうです。そしてなんと言ってもドイツのサーキットやイベントには欠かせないカリーヴルストやソーセージを挟んだパン! これらが焼けるニオイが辺り一面に漂っていて食欲をそそられます。他にもニュルンベルグ地方では細長くハーブの入ったニュルンベルガーソーセージが名物なので、イベント広場のお店ではもちろん販売されています。

DTMの主催者であるADAC(ドイツ自動車連盟)のブースは一際大きく、会員証を提示すればラウンジにも入れますし、コーヒーが無料でいただけるんですよ。広い敷地内を暑い中を歩き周りますから、少し座って休憩出来る場所があるだけでも助かりますよね。

元F1ドライバーのニック・ハイドフェルドの姿も

久々に訪れたDTMは、今年40周年目を迎えた記念すべき年。そのスターティンググリッドは、数多くの人々で賑わっています。

シューベルト・モータースポーツから参戦するBMWのマルコ・ヴィットマン選手の地元はこのノーリスリンクのすぐ近くとあり、地元応援団の声援が熱いです。ノーリスリンクのあるニュルンベルクは、BMWやアウディはもちろんのこと、メルセデスやポルシェのあるシュトゥットゥガルトからもそう遠くなく、自動車メーカーが固まる南ドイツには一番うってつけのサーキットかも知れませんね。プライベートで家族を連れて訪れているモータースポーツ関係者も多く見かけました。

どこかで見たことのある顔? と一瞬考えてしまいましたが、元F1ドライバーのニック・ハイドフェルドも来場。F1を去った後はフォーミュラE選手権に参戦していた時期もありましたが、その後はいずこへ? と思っていたところでした。若手育成目的のEVのフォーミュラカーレースを今後主催するようです。他にもドイツの有名人が数多く来場していたようですが、日頃テレビをあまり見ないのでどなたかよく分かりませんでした(笑)。スタートでさっと写真を撮った後は、急いで第1コーナーのお立ち台へ向かいます。スターティンググリッド前方にはそれ専用にメディアシャトルが待機してくれているのも助かります。

重いですが、夏の炎天下ではお水を持って行くのを忘れてはいけません。冷たいお水でひと息つくと、いよいよドキドキのスタートです。タイトな第1コーナーではスタート時にクラッシュの可能性が高いのでハラハラします。

スタートからの数ラップを撮影して、第1コーナーではスタート時に裏に待機していたシャトルに乗ってパドックまで戻り、ピットレーンへ。スプリントレースですからかなり慌ただしいのです。ピットストップがひと通り終わったかと思ったら、次は突然の雨が降り注ぎ、ウェットタイヤに履き替えに入るマシンでごった返しましたが、レースを面白くしてくれたことは間違いないでしょう。

D2デザインのメルセデスCLK等の過去の名車も展示

記者会見を見ながら、メディアセンターで大きなシュニッツェルを遅いランチとしていただきました。シュニッツェルは豚カツに似ており、お肉を叩いて平たくしてから揚げてあります。紙皿ではなく陶器で出してくださるのも嬉しいですし、このメディアセンターでは瓶入りコーラが出てくるところもポイントが高いのです……食べることばかりでお恥ずかしいですね。

ランチをいただいてからは、サポートレースを観に行ってみました。気になっていたスウェーデンのNext Genシリーズ。MINIをベースとしたワンメイクのEVレースで、なんと15歳から参戦できるのだそうです。EVカーのレースなんて面白いの? いえいえ、これがとても面白いのです。血気盛んなティーンエイジャーたちのガチンコ勝負ですからね。音がとても静かで、ちょっとフシギな感じです。

その一方で、とんでもなくエキゾーストノートのうるささが響くクラシックレースも開催されました。40周年を記念して、過去にDTMで活躍した貴重なマシンのお目見えです。パドックにもこれこれ! と言いたくなるD2デザインのメルセデス・ベンツ「CLK」等の過去の名車も展示され、オジサンホイホイ状態で特に中高年の方に人気でした。日本でもD2のデザインにしておられる方をどこかでお見かけした記憶があります。

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