クルマの中は安全だが……
梅雨が明けると多くなるのが、天気が急変し、局地的にザッと降る激しい雨。温暖化もあってゲリラ豪雨が多発します。また、大雨にともなって、雷の発生も珍しくありません。叩きつけるような大雨では視界が非常に悪くなって運転が不能になることもあり、雷ともなると近くにドッカン、ドッカン落ち、身の危険すら感じることもあります。よく耳にするのが、「突然の雷でもクルマの中にいれば安全」ということ。はたして本当なのでしょうか?
肝心のクルマは始動不能になる
ゲリラ豪雨とともにやってくる雷はとくに強い感じがするので、なおさら恐怖を感じる。ちなみに近くに雷がいるかは光ってから音がするまでの時間でだいたいわかる。光は瞬間、音は1秒間に約360m進むので、この差を理由する。たとえば2秒後なら、700mぐらい離れたところにあるとわかるし、光った瞬間に音がすればまさに頭上だ。
ただし、クルマの場合、雷が落ちても安全と言われている。なぜ安全かというと、落ちた雷は車体の表面を伝って地面へと抜けていくから。ファラデーシールドまたはファラデーケージなどと呼ばれる現象で、飛行機でも同様で、こちらも落ちても被害はない。
と聞くとなんとなく納得するものの、クルマの場合はサイズが小さく、そこに強烈な雷が落ちて車体表面を抜けていくとしても大丈夫なのかとも思う。具体的な数値は規模によって異なるものの、電圧は1億ボルトぐらいとされ、電流も20万アンペアと想像がつかないレベルだけに、なおさら不安だ。
実際に落ちたという人によると、爆音とともに大きな衝撃が走り、さらに焦げ臭さも漂ったという。そして肝心のクルマは始動不能となって、原因はコンピュータの破損とのことだった。高い電圧&電流の雷が落ちてコンピュータが壊れるのは当然といえば当然。最近のハイブリッドやEVならなおさらで、この点はJAFによる実験でも実証されている。
また、ボディを伝っていくので、車内にいても金属部分を触ってしまうと感電する可能性があるので注意が必要だ。ちなみに、幌タイプのオープンカーでは、乗員が落雷を直に受けてしまうことがあるので注意が必要だ。
落雷するとタイヤがパンクすることも多い
さらに雷とクルマに関して質問を受けることが多いのが、ルーフから地面へと抜けていく際に、タイヤがあると流れないのではということ。ゴムは絶縁体なのでそう思うのも当然ではあるが、実際は表面を伝って流れていく。その証拠に、落雷した車両のタイヤを見ると地面に向かって筋状に流れた跡が付くことが多い。またタイヤ自体は静電気が帯電するので、それを抜くために導電性を持たせているのもある。ちなみに落雷するとタイヤがパンクすることも多いという。
ただ、車内にいれば落ちても安全というか、死に至ることはないのは事実で、避難場所としてクルマは有効とも言える。開けたところで近くに避けられる場所がないときはクルマに逃げ込むというのも手段のひとつとして覚えておくといいだろう。また故障した場合、車両保険に入っていればカバーはされる。