世界規模の相場高揚でいまや新車価格の5倍以上に
数あるホイールメーカーのなかでも、作り手とファンを繋ぐオフ会(感謝イベント)を開催しているRAYS(レイズ)。富士スピードウェイで開催された「レイズファンミーティング」は、第3回を迎えた2024年も全国から新旧RAYSホイールを履くクルマとオーナーが会場を埋め尽くしました。参加した約700台の中から、希少最終限定車である日産R34型「スカイラインGT-R」を紹介します。
ダウングレードカスタムで「ニュル」であることをあえて隠す!
高騰化著しいGT-Rの中古車のなかで、トップクラスの上り幅となっているのがBNR34型「スカイラインGT-R」。とくに「ニュル(Nür)」と呼ばれる最終限定車は新車価格の5倍以上という異常相場が続く。事故や盗難への不安などを含めてオーナーも気軽に乗れないクルマになってしまった。
R34オーナーの“てつ”さんもそのような状況に疲弊しているひとり。もともと主張するのが嫌いというのもあり、あえて「Nür」のエンブレムを外し、トランクフード裏に取り付けている。
「最近は後付けでVスペックIIのカーボンボンネットとディフューザーを取り付けるオーナーが多いこともあって、初見の方は標準車と思っている方が多い。こっちとしては“してやったり”ですけどね」と笑う。
GT-Rを所有したことで同じ趣味を楽しむかけがえのない仲間と出会えた
購入時、最初はニュルではなく、VスペックIIをターゲットとしていたが、ショップにニュルも在庫しているとの情報をキャッチしたことで、将来的に売却する際にはより高値で売れるのではないか? と考え、予算を50万円上乗せして手にした。それでも“てつ”さんが購入した2008年は新車価格プラスアルファだった。
貴重なクルマゆえ、外観はNISMO製フロントバンパーにアイラインとスモークレンズ、そしてハコスカGT-Rエンブレムを装着するのみ。オーリンズのサスペンションキットで程よく車高を落とし、ホイールはVOLK RACING TE37の軽量バージョンであるSLに交換。元メカニックなので、その他あれこれと小技を利かしているが、カスタマイズはオリジナルにスパイスを添える範囲だ。
また、GT-Rの魅力のひとつは出会いを生むこと。自身も「ファイナルスカイラインGT-Rクラブ(FS-R)」に加入した(60歳を超えてから「還暦クラブ」にも参加)ことで、同じ趣味を共有する繋がりが増え、かけがえのない仲間を得た。ボディに貼り付けられた、ファミレス「すかいらーく」風のスカイラインステッカーも、仲間からのいただきもの。そして、コミュニュティ活動の証といえるものだ。
降りる選択も視野に入ってきたがその決断はかなり悩ましい
エンジンはノーマル然としているが、現行車であるR35「GT-R」のエアフロ/インジェクター/コイルという、令和の3種の神器というべきアイテムでアップデート。全域の扱いやすさの引き上げと、オイルの吹き返しも少なくなりタービン保護につながるといったメリットも多い。R34用純正部品への交換よりも費用が抑えられ、信頼耐久性も高いのでオススメだという。
現在走行距離は11万km。購入から5~6年は通勤にも使用していたというが、現在は完全に趣味のクルマに落ち着いている。
「最近は左足の操作が億劫になってきたので、そろそろスピードの出るクルマからは卒業しようか、とも考えます。次の候補としてR35も検討しましたが、家の車庫には大きすぎて……」
と、“てつ”さん。20代から続けてきたスポーツカー遊びも最近は少し考えが変わってきたようだ。ただ、GT-Rは単なるクルマではなく、所有することでライフスタイルを大きく変えてくれる。降りるという決断は非常に悩ましいものだろう。