GC時代に圧倒的な強さを誇ったサバンナRX-3
富士グランチャンピオンレースに人々が熱狂していた時代、レース界に颯爽と現れて日産「スカイラインGT-R」を破り、あっという間にチャンピオンの座を獲得したマツダ「サバンナRX-3」。そんなレーシングマシンに憧れを抱いて、今も愛し続けているのが中筋宏樹さんです。サバンナRX-3を現役チューンドマシンとして製作したという愛車を詳しくチェックしていきましょう。
レース界を席巻したロータリーエンジン
1971年12月富士ツーリストトロフィー500において、当時、無敵を誇っていた「スカイラインGT-R」の50連勝記録を阻止したクルマとして有名になった「サバンナRX-3」。デビューイヤーにして圧倒的な速さを見せつけ、マツダが誇る唯一無二のロータリーエンジンの実力をモータースポーツの場で証明した。
このRX-3は、その後のレースシーンでの活躍も凄まじく、翌1972年には、エンジンを10A型から12A型に変更してポテンシャルアップを達成。ワークス、プライベートチームも含め表彰台を独占し、無敵と謳われたスカイラインGT-Rに対してポテンシャルの差を見せつけ、世代交代の引導を渡した。そして、その後も快進撃を続け、デビューからわずか4年数カ月で国内レース通算100勝という偉業までも成し遂げた。
そうした華々しい功績を持つRX-3は、歴史に名を残すクルマとして、当時も今も変わることなく大人気モデルであり、旧車好きにとっては憧れの存在になっている。ここで紹介する徳島県在住の中筋宏樹さんもレースで活躍したRX-3の魅力にハマッてしまったひとりだった。
軽量コンパクトな設計を武器とし、レースで強く、独特のサウンドを奏でながら速く走るロータリー搭載車が大好きと話す。そして、自宅ガレージには、このRX-3以外にもロータリー搭載車を複数所有。徳島県では有名なロータリー乗りとしても知られている。
レースでの姿に憧れて製作した街道レーサー仕様
そんな中筋さんのRX-3製作テーマは「時代を超えて走り続ける現役チューンドマシン」としての仕上げである。
時を超えてといっても、その仕様は新しい物へと置き換える手法ではなく、あくまでも当時感を大切にしたスタイル。そのため昭和のGCレーサーとして主張すべく、当時のサバンナワークスオーバーフェンダーをセットしたことが最大のポイントで、中筋さんは、このレーサー仕様のルックスに憧れてRX-3乗りになったと話してくれた。
昭和に誕生したオーバーフェンダーの中でも、おそらく最大幅でアピールすることのできるサバンナワークスオーバーフェンダーを装着したRX-3の存在感は凄まじい。また、そこに収まるホイールも懐かしのSSRスターシャーク14インチをセット。タイヤはトーヨー プロクセスTR1と新しい物だが、そのサイズは前後とも225/40R14にしたことで、スターシャークの極太リムにかかるギリギリを攻める引っ張りタイヤとして組んでいる点も、パーツが無かった時代に苦肉の策として作り上げた当時仕様としての表現方法といえるだろう。
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跳ね上げマフラーが時代感満載
足まわりについては、フロントがAE86用カートリッジ式車高調キット改をセットし、低いスタイルを作りにくいリアサスについては、純正の板バネを逆付けし、さらに秘密の加工を施すことでローダウン化。他にも強化スタビ等もセットしているが、サスペンション系統におけるポイントは、FC3S「RX-7」用のキャリパーを流用加工で取り付けている点だという。
一方、エンジンについてはウェーバーφ45mmのブリッジポートのレーシング仕様として作り込んだ12A改を搭載。φ60mmマフラーから出る排気音は、ブリッジポートならではの力強いアイドリングを発揮。そこから踏み込むと、軽快な回転上昇とともに、周辺にロータリーサウンドが響き渡る。マフラーの形状も跳ね上げデュアル・ハス切りカット仕様が珍しく、とてもカッコ良いアレンジ形状だ。
昭和の街道レーサー感を高めるカラーリング
ボディはチンスポ、オバフェン、ダックテールの組み合わせによってレーサーとして仕上げたが、一方でGC時代の街道レーサーを彷彿させる仕上げとしてオリジナルカラーでアピール。赤黒のアレンジカラーは、スピード感あふれるレーシングラインをボディに描くことで昭和の街道レーサーとしての印象を高めている。
RX-3については、自分が満足できる仕様に達したので、これでひとまず完成。だから、次は自宅にあるもう1台のロータリー搭載車を2号機として製作する予定というから楽しみだ。また、機会があれば、そのクルマもぜひ取材させてもらいたい。ひとまずは、乞うご期待といった感じだ。
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