まだまだ人気が衰えないアヴェンタドール
2024年5月31日〜6月1日にRMサザビーズがカナダ・トロントで開催したオークションにおいてランボルギーニ「アヴェンタドール LP700-4」が出品されました。今回登場したのは、一連のアヴェンタドールの中でも最も初期に生産され、まずアメリカにデリバリーされたモデルでした。
ミッドのV型12気筒エンジンも完全に新設計
2011年3月に開催されたジュネーブ・ショーで、ランボルギーニがワールドプレミアした新世代の12気筒モデルが、ここで紹介する「アヴェンタドールLP700-4」だった。アヴェンタドールは、前作である「ムルシエラゴ」と同様に、かつて勇敢な闘いを演じたファイティング・ブル(闘牛)の名。それに続くLP700-4の称号は、縦置きミッドシップされるV型12気筒エンジンが700psの最高出力を発揮し、駆動方式に4WDを採用していることを意味していた。
当時ランボルギーニは、このアヴェンタドールを評して、1度のフルモデルチェンジで2世代分を進化させたと語っていたが、アヴェンタドールのディテールは、たしかにそれを裏づけるだけの斬新さと魅力に満ちあふれたものだったのである。
カメムシの外観からヒントを得たというボディデザインは、もちろん後継車の「レヴエルト」が誕生した現在においても、その魅力を衰えさせることはない。それはいかにもランボルギーニが生み出したスーパースポーツといった印象を見る者に与える、魅力的でかつ高性能なデザインだ。
アヴェンタドールの成功には、このデザインが高評価を得たという事実は忘れてはならないところだろう。インテリアのクオリティも、ムルシエラゴからさらに高められ、カスタマーはそれに大いに満足した。こちらもデザインはエクステリアのそれと共通性を感じさせるもので、ドライバーにとっては機能性の高さはもちろんのこと、快適性の面においても進化の大きさを強く印象づけた。
そしてランボルギーニが語った、2世代分の進化という言葉が最も明確に表れていたのは、そのメカニズムの構成にあった。基本構造体はムルシエラゴまでのスペースフレームから、より強靭で軽量なCFRP製のセンターモノコックを持つものへと進化し、ミッドのV型12気筒エンジンも完全に新設計されていた。
0-100キロ加速は2.9秒を実現!
L539型と呼ばれるこの新型エンジンは6498ccの排気量を持つ自然吸気型で、ランボルギーニの歴史をさかのぼっても、あくまで基本設計においてはこのエンジンは、同社のファーストモデルとして1963年に誕生した「350GT」に搭載されていたV型12気筒エンジンから数えて、わずかに2世代目にすぎないのだ。
最高出力で700ps、最大トルクでは690Nmを発揮した動力性能はデビュー当時大きな話題となったが、同様にそのコンパクトな設計は235kgという単体重量を実現したほか、CO2エミッションにおいても398g/kmという数値をスペックシートに掲げることにも成功した。組み合わされるトランスミッションがISRと呼ばれる7速のシングルクラッチ式セミATのみとされたことと、4WDを実現するためのセンターデフが、電子制御多板クラッチへと進化したこともアヴェンタドールのメカニズムにおいては見逃せない。
0-100km/h加速を2.9秒、そして誰もが注目する最高速においては350km/hを達成した、アヴェンタドール LP700-4。そのラインナップには後に、やはりCFRP製の2分割ルーフを採用したロードスターも設定されることになるが、今回RMサザビーズが「デール・トゥ・ドリーム・コレクション」に最低落札価格の設定なしに出品したのは、スタンダードな仕様ともいえるクーペの方だ。
年式は2012年というから、一連のアヴェンタドールの中でも最も初期に生産され、まずアメリカにデリバリーされたモデルである。現在までの走行距離は約8877km。ステルス・ファイター(ステルス戦闘機)のごときグリジオ・エストーケ・メタリックでペイントされたエクステリアと、ネロ・アデと呼ばれるインテリアカラーのマッチングもじつに魅力的で、また使用感というものを感じさせないほどのコンディションを保っている。
最低落札価格が設定されていないということは、このオークションに参加すれば、必ずや落札者が誕生することを意味するわけだ。エスティメート(最低落札価格)は、30万ドル〜35万ドル(邦貨換算約4281万円〜4993万円)、結果的にその落札価格は25万7600ドル(邦貨換算約4052万円)という数字へと至ることになった。1回のフルモデルチェンジで2世代分の進化を遂げて誕生したアヴェンタドール。この言葉を証明するかのように、その人気は後継車のレヴエルトが登場しても、まだまだ安定したものであるようだ。