強者ぞろいのロータス カップ ジャパンに20代ライターが挑戦中
「ロータス カップ ジャパン」はナンバー付きの「エリーゼ」や「エキシージ」などロータス車だけで争われるレース。Z世代モータージャーナリストの筆者は2024年から初挑戦していますが、4月に富士スピードウェイで行われた開幕戦&第2戦ではベテランの皆さんに完敗。そこから約4カ月、第3戦が宮城県・スポーツランドSUGOで9月1日に開催されました。はたして少しはエリーゼと仲良くなれたのでしょうか?
初めて走るSUGO、事前予習はバッチリ!
ロータス カップ ジャパンはナンバー付きの「エリーゼ」や「エキシージ」などロータス車だけで争われるレースで、クラスは2つに分かれている。簡単にクラスを紹介すると、3.5L V6スーパーチャージャーエンジンを搭載するエキシージで争われる「クラス1」、1.8L 直列4気筒エンジンを搭載する歴代エリーゼ/エキシージで争われる「クラス2」の2つだ。筆者はクラス2で、1.8Lエンジンにスーパーチャージャーが組み合わされ、220psを発生する「エリーゼ スポーツ220」で戦う。タイヤはヨコハマタイヤのアドバンA052のワンメイクだ。
今回の舞台であるスポーツランドSUGOは筆者にとって初走行のコース。そこで事前に平塚にあるシミュレーターショップ「Coco Drive」で予習を敢行。また、レースの前週にはSUGO近くに住む友人のH君にNCロードスターをお借りして、50周ほど実際にコースを走行した(H君ありがとう!)。さらに、事前に以前レコードタイムを記録したジャーナリストの先輩、橋本洋平さんの車載動画を見るなどして可能な限りのコース予習をしてレースウィークを迎えた。
長年参戦しているベテラン勢が多いロータス カップ ジャパン。正直、簡単に上位に行けるとは思っていないが、それでも最善を尽くすことが、LCIはじめこの場を用意してくれた皆さんに対しての筆者なりの礼儀だろう。
練習走行ではモータージャーナリストの先輩からアドバイスも
こうして迎えたレースウィーク最初の練習走行、ベストタイムは1分39秒6。ユーズドタイヤでコースコンディション的にも良いとは言えないが、橋本洋平さんが記録したレコードからは3秒も離れている。まだまだ詰めなければいけないところは多い。
ロガーを見ながら悩んでいると、他の参加者の方々がいろいろと教えてくれた。なんならご自身のロガーデータや車載動画も見せてくれる。参加者みんなでレベルアップしようという雰囲気で手の内を見せあう。この紳士的な空気が、ドライバーとして感じるこのレースの大きな魅力のひとつだ。
練習走行2日目には、今回クラス1に参戦する橋本洋平さんと、クラス2に参戦する『Tipo』佐藤編集長が合流。2人とも自動車メディア業界ではトップクラスで速いドライバーだ。練習走行途中で橋本さんに今回筆者が乗るエリーゼを運転してもらい、データ取りをして筆者のドライビングと比較。少しでもライバルの皆様との差を縮めようと研究した。
橋本さんからもアドバイスしてもらえた。「全体的には下手じゃないし、よく乗れている」とホッとする言葉をいただいたが、「まだコースを使いきれていない部分があるし、もっとステアリングを切って積極的に向きを変えた方が良い。まだ攻めてもクルマが受け止めてくれると思う」とのこと。
予選では練習走行より1秒アップ!
そんなアドバイスを基にフレッシュタイヤに履き替えて挑んだ翌日の予選では、計測1周目で1分38秒8、計測2周目で1分38秒6をマークし、これが予選ベストタイムとなった。開幕の富士ではフレッシュタイヤを入れても練習からコンマ2しか上がってなかったので、グリップが美味しいうちにまとめ上げてタイムを出すことはできるようになったということだろうか? また、コース攻略的にも練習走行より進化はあったのだろう。
しかし、チャンピオン経験者や優勝経験者ばかりの今シーズンのロータス カップ ジャパンのレベルは高く、1分38秒6の筆者は4台中4位で他はみんな37秒台。優勝経験のあるTipo佐藤編集長が僅差で同クラス3位となっていて、筆者とは1.5秒差。その様子からも参戦している皆さんが確実に成長していて、自動車ジャーナリストや編集者がポッと出ても簡単には勝てない、とてもレベルの高いレースであることが分かる。
先輩たちの走りを後ろから見て勉強……?
今回も決勝は一番後ろからのスタート。ただ、前回もスタートはそこそこうまく決まったので自信があった。「自分はスタートがうまい」と暗示をかけてスタート。スタートはうまく決まったものの、1コーナーの行き場が迷子になってしまい失速気味に、ここはレース運びでの課題だろう。
3コーナーを抜け、ヘアピンの飛び込みで黄色いエキシージの長澤選手に並びかけるも抜くことはできず。その次はバックストレート手前のレインボーコーナーをキレイにまとめて、その後の馬の背の進入でブレーキング勝負と考えた。しかし、長澤選手のエキシージは前2台のバトルのスリップに入っているのもあってか、バックストレートの加速が速い! こちらもレインボーの立ち上がりの処理は失敗した感触はないが、差を付けられてしまった。その後は徐々に上位勢と差が開く展開となり、そのままチェッカーとなった。結果、筆者はクラス2の4台中4位で、3位とは約17秒差。3位~1位まではほぼ塊という状況だった。
レース後半になると、エリーゼはドライバーに牙をむく。リアタイヤの内圧が高くなり、リアの動きがピーキーになってくるのだ。筆者も大きくカウンターを当てるシーンが2回ほどあった。このような決勝中のコンディション変化も加味して上位陣はバトルしているのだ。経験から来る引き出しの多さは、同じようなマシンでバトルをしている様子を後ろから見ていると痛いほどよく分かる。
レース後は参加者みんなで振り返り
レース後はライバル同士みんなで決勝中の車載を見ながらいろいろと場面を振り返る。こんな風景が見られるのも、このカテゴリならではの良さだ。レベルの高いロータス カップ ジャパンでは、レースキャリア2年目の筆者はなかなか一矢報いることができていないが、長年参戦している皆さんから「今年から乗ってこれだけ走れれば上出来だよ」と声をかけていただけるのはなんだかホッとする。そんな皆さんとのドライビングに対する真剣なやり取りも刺激になる。ベテランの皆さんに稽古を付けてもらっているような気分だ。
次戦10月20日のモビリティリゾートもてぎラウンドまでに、成長した走りをライバルの皆さんに見せられるように精進していきたい。