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AMGが手掛けたワイドボディ「190E」が約700万円はお買い得!? 83年のフランクフルトショーに展示された個体はいまなおグッドコンディションでした

4万3700ドル(邦貨換算約698万円)で落札されたメルセデス・ベンツ「190 E ワイドボディ」(C)bonhams

AMGによるチューニングが施された特別な1台

2024年6月17~24日にかけて、名門ボナムズ・オークション社がオンライン限定で開催した「AMG Rediscovered Online」オークションにおいて、メルセデス・ベンツ「190E ワイドボディ」が出品されました。特筆すべき点は、1983年のフランクフルト・ショーに出品されたモデルそのものだと言われている個体だということです。

さまざまなバリエーションがあった190シリーズ

1982年に誕生し、1993年まで生産された「190」シリーズ(W201)は、かつて「バンク・ヴォールト=銀行の金庫」ともたとえられた。メルセデス・ベンツの伝統的な基準で製造された最後のスモール・モデルであると、おそらくは多くのエンスージアストは感じているに違いない。

ブルーノ・サッコの手によって描かれた「190E」のボディデザインは、1979年に登場した当時の「Sクラス」(W126)型にも似た、きわめて端正な印象を与えるもので、同時にCd値で0.33という優秀なエアロダイナミクスを実現していた。そのメカニズムにも新たな試みが数多く展開されている。

特許を取得したマルチリンク・リアサスペンションは、その後の「Eクラス」や「Cクラス」にも採用されるに至っているし、アンチダイブ、アンチスクワットサスペンション、ABS、シングルワイパー、シートベルトのプリテンショナー機構の装備も大きな話題だった。190Eは単にボディの小ささ、そして安価なモデルではなかったのだ。

この190Eシリーズには、ガソリンエンジンは2Lから2.6Lまで、ディーゼルエンジンは2Lから2.5Lまでが用意された(一部輸出市場向けには1.8Lのガソリンエンジンの搭載もあった)。のちにツーリングカーレースへの参戦のため、さらに高性能なコスワース製の2.3L DOHC 16バルブエンジンなども追加されるが、このコンパクトなメルセデス・ベンツのパフォーマンスをさらに高めようと考えたのは、当時はまだ独立したチューニング・メーカーだったアフォルターバッハのAMGもまた同様だった。

彼らは190Eが発表されるとすぐに、さらなるドライビング・ファンを求めるカスタマーのために、独自のサスペンションキットやスタイリングパーツを開発。それはAMGの狙いどおり市場で高い人気を得たのである。

>>ネオクラシックを特集したメルセデスの専門誌「only Mercedes」のvol.221を読みたい人はこちら(外部サイト)

オークション開催前から注目の的だった

今回ボナムズが、「AMG リディスカバード・オンライン・パート1」と題して開催したオークションに出品した1983年式の190Eは、まさにAMGによるシャシー&スタイリング・チューニングを受けた1台で、1983年のIAA(フランクフルト・ショー)に出品されたモデルそのものと考える識者もいる。

搭載される2Lの直列4気筒エンジン(M102型)や、それに組み合わされる4速MTなど、ドライブトレインにはAMGの手は加えられていないが、特徴的なリアのフレアフェンダーや、こちらは特注品となるフロントフェンダー。16インチ径のAMGオリジナルホイールとピレリ製のPゼロ・ハイパフォーマンスタイヤ等々で武装された外観は、ノーマルの190Eよりもはるかに戦闘的な雰囲気を強めているのが分かる。

インテリアのフィニッシュもじつに魅力的だ。グレーのファブリックでトリミングされたレカロ製のシートや、4本スポークのAMG製ステアリングホイール、そして高級感を効果的に高めてくれるウッドトリムも装備されている。冒頭で触れたバンク・ヴォールトは、さらに美しくラグジュアリーな空間を持つものへと姿を変えたのだ。

まさに1980年代のAMGモデルを象徴するかのような190Eには、オークションの開催前から多くの注目が集まっていたようだ。ボナムズが掲げたエスティメート(推定落札価格)は2万500ドル〜3万5000ドル(邦貨換算約395万円〜553万円)となっていた。それを証明するかのように最終的な落札価格は4万3700ドル。当日のレートで約698万円という数字を記録することになった。

メルセデス・ベンツのヤングタイマーとして、190E、そしてAMGのブランドはこれからも主役のひとつであり続けるのだろう。

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