ノーマル戻し&保存ではなく、現在進行形でクルマ遊びを楽しむ
シャコタンやツライチなど独自スタイルのGT-Rカスタムを提案する九州唯一の専門店が「ガレージアクティブ」です。長年のドラッグレース経験を活かしたハードチューンやフルレストアなど、ワンストップでユーザーのニーズに応えています。そんな同社のオリジナリティあふれるマシンメイクに共感するGT-Rオーナーを紹介。今回登場するのは、新車から2年落ちでR32「スカイラインGT-R」を購入し、2桁ナンバーを維持している小山さんです。
180SXでの打倒GT-Rを諦め、ノーマルで速いBNR32を購入
今なおクルマ好きから絶大な人気を誇る日産R32型「スカイラインGT-R」。そんな平成の名車もすでに誕生から35年が経過し、一般の人から見れば立派なヒストリックカーだ。ただ、昨今の海外からの人気、中古車相場の高騰などの事情を鑑みて、ノーマル志向&保存派が増えている。しかし、小山貴司さんはその真逆を行く。現在進行形でカスタマイズを楽しんでいるのだ。
「免許を取ってから、いずれのクルマもエンジンまで手を加え、秘めた性能を引き出していました。とくに180SXでは、打倒GT-Rと意気込んで2.2Lのフルチューンをしたのですが、無理がたたったのか、高速道路上で突如ストップ。この一件でもうチューニングはやめようと決めましたが、速いクルマから降りることはできませんでした。そこで選んだのが、ライバルであり、超えるべき存在であったBNR32でした」
ガレージアクティブへ足を運んだことで、チューニングの道へカムバック
運よく、ディーラー担当者からスカイラインGT-Rを手放すという話があり、即座に購入を決断。新車2年落ちの1992年式BNR32を新たな愛車として迎え入れた。
最初の15年はビジュアルを好みに仕立てたのみで、エンジン本体はノーマルを貫いていた。しかし、のちに主治医となるGT-R専門店のガレージアクティブに電装系のトラブルで長期入庫となる。仕上がるのを待ちきれず、出入りする機会が増えたことで運命が変わる。
「わたしの記憶ではお店にある約8割がタービン交換していた印象でした。そうしたクルマを眺めるたびに感覚が麻痺。気がつけば、身体に染みついた速さへの欲求を抑えられなくなっていました。そんなとき坂本社長から“タービンがヘタっているんじゃない?”という悪魔のささやきを受け、ついに気持ちは崩壊。再びチューニングの世界に足を踏み入れることとなりました」
街乗りを快適に、壊れない仕様とオーダーしたが、それでもパワーは600㎰超え、あらためてGT-Rの潜在能力の高さには驚かされた。
ドラッグレースの好結果から、本格的な競技車両の製作にも着手!
さらに転機となったのが、ドラッグレースへの参加だ。坂本社長に誘われた初レースでまったくの未経験ながらいきなり10秒6を記録。ドラッグレースを知らない人には理解できないかもしれないが、いかにチューンドGT-Rが速いとはいえ、軽量化なしの600㎰、しかも初めてのレースでこのタイムを出せるものではない。
それを見た坂本代表がドラッグレース参戦を打診。走らせ方を覚えるとともに同じマシンで9秒台をマーク。さらに初年度ながらシリーズ制覇という快挙も成し遂げる。小山さんにはドラッグレースの才能があったのだ。
この好結果から、より上を目指したいという思いが芽生え、R33 GT-Rで本格的な競技車両を製作したことで、R32はレースの世界からは引退することとなった。しかし、長年酷使したためか、エンジン本体にクラックが入り、再び入庫することに。オーバーホールの際にHKS最新のクランク角センサーなどを組み込んで、マネジメントを見直した。
タイムではなく、純粋に走って楽しむためにドラッグレースに参戦したい
トランスミッションはドラッグレースに耐えうるOS技研のシーケンシャルをセットし、エンジンは2.7Lへの排気量アップとHKSのGT III-5Rのシングルタービンで、750psまで引き上げられている。
エクステリアも純正スタイルを損なうことなく、全幅が80mm拡大するワイドボディキットを装着したうえで、大好きなディープリムのWORKマイスターS1ホイールをインストール(今回で通算8セット目、タイヤは295/35R18)。パフォーマンス、ビジュアルを含めてオンリーワンな1台に仕立てている。
「R32からR35まで歴代のGT-Rはどれも好きですが、R32は別格。にらみをきかせたような厳つい顔がなんとも言えませんね。競技からは退きましたが、エンジンが完成した今、一度ドラッグレースに出てみたい。タイムではなく、愛車として純粋に楽しみたいんですよ」と小山さん。
手に入れてからまもなく30年。BNR32への情熱はいまだ尽きることはない。