小さなホンダ モンキーにサイドカーを組み合わせた3輪車
日本では「側車」などとも呼ばれる、オートバイの片側に車輪付きの舟(フネ)を備えた「サイドカー」。現在のように4輪車が普及する以前には、人や荷物を乗せられる簡便な乗り物として各国で多くみられました。その機動力を活かして、かつては日本でも新聞社の取材や警察の警備車両、さらには軍でも連絡や偵察の任務などに多用されていたのです。今回は、現代の路上では見かける機会も少なくなったサイドカーをカスタムして遊んでいるオーナーを紹介します。
同じ3輪車でもトライクとは別枠となるサイドカー
「サイドカー」は、2輪車の片側に車輪付きの舟(フネ)=側車を備えた乗り物で、いわばエンジン付きの3輪車となる。ちなみにシートにまたがりバーハンドルで操舵するエンジン付きの3輪車には「トライク」もあるが、日本の道路運送車両法では同じ3輪でも側車を切り離して単車としても走行できるサイドカーはオートバイ(自動二輪車)、一体構造のトライクは普通自動車に分類され、保険や税金もそれぞれ異なってくる。逆にイギリスでは車輪が3輪であれば自動車の形態をしていてもサイドカー扱いとなり、税金面などで優遇される。このあたりの事情はその国によってまちまちだ。
改めて今回の主人公、ホンダ「モンキー」のサイドカーである。遊園地の乗り物をルーツに持ち、日本では1967年から市販が開始されたホンダ モンキー。以来モデルチェンジを繰り返し、長きにわたって小さくてかわいい原付として多くのファンに親しまれてきた。そんなモンキーも、「50ccエンジンは排気ガス規制に対応できない」との理由で2017年に生産終了、その長い歴史に一旦ピリオドが打たれたが、2018年に排気ガス規制をクリアした125ccモデルがデビュー。今回ご紹介するのはこの現行「モンキー125」がベースのサイドカーである。
栃木県のサイドカー・スペシャリスト、エムクラフト製
かつてはオートバイ・メーカー自身が自社製品としてサイドカーをラインナップした例もあったが、昨今では舟を製作するボディ・メーカーが市販のオートバイに舟を取り付ける場合がほとんどだ。
このモンキー サイドカーは栃木県佐野市のエムクラフトというメーカー製。同社はミニバイク用のサイドカーをメインに、大型バイク用サイドカーや福祉車両なども手がけるスペシャリスト。こちらの舟は「TS1」と呼ばれるタイプで、そのサイズは長さ120cm×幅60cm。ベースのモンキーは1人乗りだが、サイドカーにすることによって2名乗車が可能となる。
1人で乗る時は舟にウェイトを積んでバランス取り
左右非対称でコーナーリング時にリーンしないサイドカーはその運転に慣れが必要と言われるが、そんなモンキー サイドカーのオーナーは内田敬康さん。つい3年ほど前まではハーレーダビッドソンに乗っていたという年季の入ったライダーだ。
「長く勤めた会社を定年退職しまして、そのタイミングで2輪も小さめのやつにスイッチしました」
こちらのモンキー125は2022年に新車で購入し、当初は単車として楽しんでいたという。
「乗っているうちに、思った以上にパワーがあるなと感じたので、これはサイドカーにしても楽しめそうだと、エムクラフトさんにサイドカー化の依頼をしました」
サイドカー化に加えマフラーやステップなど、各部は軽くカスタムも施されている。
「1人で乗る時には舟に20kgのウェイトを積んでバランスをとっていますが、燃費は側車付きの状態でも50km/L、単車状態であれば60km/Lくらいは走ります」
と内田さん。ちなみに、ウェイトを外した時にお隣に乗せるのは?
「この舟に乗るのは孫です。桜の季節に孫と一緒に満開の桜並木を走るととても綺麗ですよ」
小さくかわいいサイドカーに乗った元気で面白いおじいちゃん。そんなおじいちゃんを持ったお孫さんが、ちょっと羨ましい。
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ちなみに、マイクロカー愛好家の手によるイベント「ALL JAPAN MINICAR MTG(オールジャパン・ミニカー・ミーティング)」が2024年9月29日(日)10時から、埼玉県の川島町役場駐車場で開催されることとなった。この連載で紹介してきた数々のマイクロカーはもちろん、国内外の貴重な車両が数多くエントリーしているので、実際に間近で観察する絶好のチャンス。観覧は無料で、さらにタケオカ自動車工芸の協力により、「アビー」試乗会も開催予定とのことだ。
■ALL JAPAN MINICAR MTG
https://exy10sera.wixsite.com/all-japan-minicar-mt
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