クーペとロードスター、それぞれ20台が生産された
2024年6月30日、ボナムズ社がスイスで開催した「ボンモント」オークションにおいてランボルギーニ「チェンテナリオ ロードスター」が出品されました。2017年に生産されたロードスター仕様で、現在までの走行距離はわずかに505kmと、そのコンディションは新車に限りなく近い1台でした。
フェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年車として登場
ランボルギーニの創始者であるフェルッチオ・ランボルギーニの生誕100周年を記念して企画された限定車。それが、今回ボナムズがスイスのシェゼレックスで開催したオークションに出品された「チェンテナリオ」だ。
2016年のジュネーヴ・ショーでまずクーペが登場。そして同年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスにおいてロードスターが披露されたチェンテナリオの生産台数は、それぞれ20台が用意された。
今回ボナムズのスイスのシェゼレックスで開催したオークションに出品されたのは、2017年に生産されたロードスター仕様。現在までの走行距離はわずかに505kmというから、そのコンディションは新車に限りなく近い。ちなみに新車でスイスにデリバリーされたこのモデルは、その後サウジアラビアへと渡り、ランボルギーニ・リヤドで2019年、2021年、2022年、そして最新のものでは2023年10月に479kmの走行距離で定期的なメンテナンスを受けた記録が残っている。
チェンテナリオのベースとなっているのは、2011年にデビューを飾った「アヴェンタドール」だが、そのエクステリア・デザインはもちろんチェンテナリオ独自のものだ。ディテールはアヴェンタドールのそれよりもさらに過激でかつ斬新なもので、もちろんそれぞれの造形は確かなファンクション=機能を伴って生み出されている。
可変式のリアウイングを装備
その中でも最もインパクトがあるのは、やはり前後セクションのデザインだろうか。フロントのツインデッキ・スプリッターやボンネット上のエアアウトレット、リアのディフューザーなどによって走行中のダウンフォースを最大効率で得ることが可能とされたほか、さらにテールエンドには可変式のリアウイングを装備。
それはドライバーが選択した走行モードや車速によって最大で150mmライズアップするほか、ウイング面は15度まで立ち上がる。ドライビングランプやテールランプに採り入れられたY字型のモチーフは、現在のランボルギーニ車にも共通するものだ。
このきわめて前衛的で高性能なボディ、そしてチェンテナリオの基本構造体であるモノコックは、すべて軽量かつ高剛性なCFRPによって成型されている。参考までにモノコックの捻じり剛性は3万5000Nm/度にも達し、車両全体の乾燥重量はわずかに1520kgというから、これもまた驚異的な数字である。
最高出力770馬力を発生し最高時速は350キロ以上
ミッドに搭載されるエンジンは、アヴェンタドール用の6.5L V型12気筒自然吸気をベースにさらにチューニングしたもので、その最高出力は770psを発生。これはアヴェンタドールの高性能版としてこちらも限定生産されたSVと比較して20psの強化となる。
組み合わされるシングルクラッチ式の7速ISRや、電子制御多板クラッチをセンターデフに用いた4WDシステム、プッシュロッド方式のサスペンションなどもアヴェンタドールのそれに共通だが、チェンテナリオではランボルギーニ初となるリアホイール・ステアリング、すなわち後輪操舵システムが採用されたのも大きな話題だった。
スタートから300km/hまでの加速をわずか23.5秒で終了し、最高速では350km/h以上を可能にするとされたチェンテナリオ。前に触れたとおり、クーペとロードスターを合わせても40台しか存在しないこのモデルは、今回のオークションでも大きな話題となった。
ボナムスは事前に250万~300万スイスフラン(邦貨換算約4億4700万円~5億3640万円)の予想落札価格を掲げていたが、これは新車時にランボルギーニが発表した新車価格の約2倍に相当するもの。だがそれはやはりかなり強気な数字といえたのだろう。今回のオークションでは残念ながらこのチェンテナリオ ロードスターを落札する人物は現れなかった。デビューから約8年、チェンテナリオの評価はこれから、ということだろう。