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ブリヂストンにバイクがあった!? ルノー初代「カングー」に積んできた幻の「原付」とは? オーナーは二輪も四輪も工具も大好きな剛の者でした

ルノー初代カングーにブリヂストン チャンピオン デラックスを積載してきた大野正貴さん

かわいくて実用的なフランス車といえばカングー!

新潟県弥彦村で2024年6月9日に開催されたイベント「GFGS CARLIFE IN YAHIKO Vol.1」のテーマは、「普段実用に供している1980年代~2010年代製のかわいいクルマ」。今回は、そんなイベントのコンセプトにまさに相応しい1台、初代ルノー「カングー」で参加の大野正貴さんの愛車をご紹介。搭載してきた原付バイクは、じつは超希少なブリヂストン製だったのです。

じつはキャトル乗り、奥さんのカングーでイベント参加

「GFGS CARLIFE IN YAHIKO Vol.1」に参加していた大野正貴さんの愛車は、日本でフレンチ実用車として爆発的ヒットを記録したルノー「カングー」の初代モデルだ。見れば荷台には、何やら年代もののバイクも載せられている。

「じつは普段は1985年式のルノー キャトルに乗っているんですけれど、先日別のイベントにそれで参加したこともあり、こちらのイベントには奥さんのカングーで参加しました」

とのこと。話を聞く限り大野さん、生粋のフランス車党?

「いえ、そんなことはなくて、20歳の頃に英国車のADO16を手に入れて、そこからヒストリックカー趣味の世界にハマりました。その後もトライアンフGT6やMGメトロなどにも乗りましたが、英国車以外にビュイック パークアベニューやマツダFC3S RX-7や日産B310サニーに乗っていた時期もあります」

というわけで、かれこれ30年も幅広くヒストリックカー趣味を楽しんでいる大野さん。

ブリヂストンの原付二種、「チャンピオン デラックス」

「ちなみにこのカングーは2006年式で、パリ工場で生産された最後のモデルになります。奥さんの足用に新車で手に入れて以来のワンオーナー車。何人乗っても何を積んでも揺るぎない走行安定性が魅力ですね。塗装が若干弱いのが玉に瑕ですけど」

と語る大野さんに、先ほどから気になっていた荷室のバイクについても訊ねてみることに。

「あ、このバイクはブリヂストンのチャンピオン デラックスです。排気量52ccの原付二種。僕は二輪も四輪も両方趣味の対象で、自分でもよくいじるんですよ」

タイヤ、そして自転車の分野でも世界有数のメーカーとして知られるブリヂストンだが、同社は戦後まもない1950年代には自転車用補助エンジンからオートバイ市場にも参入している。しかし1960年代に入ると、国内の二輪市場は徐々にホンダ、ヤマハ、スズキの3社の寡占状態になりつつあった。結局ブリヂストンは先行する大手の牙城を崩すことなく、1966年には国内オートバイ事業からの撤退を決めるのである。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

ブリヂストンとプリンス自動車の意外なつながりとは?

「クルマ好きにとって興味深いのは、ブリヂストンのオートバイ事業はもともと富士精密工業のエンジンからスタートしているということですね」

と、大野さん。ご存じの通り富士精密工業といえば、後に「スカイライン」や「グロリア」で名を馳せるプリンス自動車の前身。その富士精密工業(当初は中島飛行機荻窪工場)が製造した自転車用補助エンジンを、資本的に近い関係にあったブリヂストンタイヤ(株)が販売するというかたちからのスタート。その後ペダル付きモペットなどを経て、1960年にブリヂストンサイクル工業初の完全自社設計のバイクとしてデビューしたのが、ブリヂストン「チャンピオン2」や「チャンピオン3」、そしてこの「チャンピオン デラックス」だ(ちなみに「チャンピオン1型」までは富士精密工業製)。

カングーからブリヂストン、さらにはそれらをメンテするための工具も大好きという大野さん。

「いろいろなブランドの工具を使い比べてみてわかることは、ハゼットなら(中略)だしスタビレーは(略)、でもプロトはやっぱり(略)で、スナップオンはむしろ(略)……」

と、二輪四輪、そしてメカいじりに関する話題が汲めども尽きない大野さんは、まさにクルマ趣味界の剛の者であった。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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