ほのぼのとしたルックスがクルマ好きを魅了する
日本独自の規格である軽自動車は、衝突安全等の法基準改正によって現在はボディ形状のバリエーションが減ってしまいましたが、ひと昔前は個性的なモデルがたくさん存在しました。なかでも特殊なルックスが今でもマニアの間で人気なのがダイハツ「ミラウォークスルーバン」です。今回紹介する大阪府在住の西原宏一さんは、そんな不思議な形をしたクルマに魅せられたひとりです。
カスタムコンセプトはアメリカの牛乳屋さん
ダイハツ「ミラウォークスルーバン」は、その名の通り荷室で立ったまま作業できる構造を持つ集配業務向けのクルマとして登場。ウォークスルーバンというジャンルの歴史は古く、欧州では働くクルマとして1947年頃に誕生したという記録が残っている。ダイハツ「ミラ」がベースの「ウォークスルーバン」の歴史は、1980年に登場した初代L55V型ミラの追加モデルとしてデビュー。その後、1994年の3代目L200型ミラまで各機能パーツを進化させて作られた。フロント部分はごく普通のミラなのに、運転席から直立に近い角度でそそり立つ箱型ボディの不格好な軽1BOXバン。この特殊ボディ形状に心奪われるファンは多いと聞く。
今回紹介する大阪府在住の西原宏一さんは、そんな不思議な形をしたミラウォークスルーバンに魅せられたひとりで、かなりマニアックなイジり方をして楽しんでいた。ベースモデルは1991年式の3代目L200型ミラウォークスルーバンで、所有歴は5年となる。
「フルノーマルの状態からカスタムし、現在の姿のようになりました」
と話す。しかしクルマがマニアックなので、西原さんがこのクルマに施したカスタム内容はパッと見では不明箇所が多い。マニアの間では定番仕様だろうが、解説してもらった。
まず、カスタムコンセプトは「アメリカの牛乳屋さん」をイメージして製作。荷台のボックスにグラフィックを入れ、ホワイトレターのタイヤを履かせてアメリカの牛乳屋さんらしさを強調している。フロントは4代目L500型「ミラクラシック」のパーツで顔面移植を行い、エンジンと足まわりはL600型ミラ用を移植するサンコイチスタイル。そのため、もともとはNAの3速ATだったが、DOHCターボの4速ATに進化してよく走ってくれるという。
好きな物に囲まれたカーライフを楽しむ
また基本的に流用はミラ用が多いが、フロントサスペンションのみスズキ「ワゴンR」用車高キットを装着。無加工でボルトオン装着可能ということだった。
インテリアは、アメリカンな演出が随所に施されている。フロアには旅行鞄にスピーカーをセットして、細長トールボディのパネルにはアメリカンレトロテイストの看板やポスターが貼られている。運転席上のパネルには時計や温度計をセットして、徹底的にアメリカンな雰囲気を引き出す。荷室は自分の部屋のような感覚で、好きな物に囲まれたカーライフを楽しめるように製作。いつも同じスタイルではなく、物の入れ替えも頻繁に行って変化を楽しんでいるという。
普段は通勤の足として使っている西原さんのミラウォークスルーバン。見た目がオモチャのようなスタイルなので、大人よりも幼稚園に通う子どもが注目し、毎朝、園児たちが笑顔で手を振ってくれるという。現代に存在しないミラウォークスルーバンは、そのほのぼのとしたルックスがクルマ好きを笑顔にしてくれる不思議な力を持っていた。
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