インフラ面でもより多くの人に配慮したものを
「H.C.R. 国際福祉機器展」は、毎年10万人以上の来場者を数える、介護福祉機器を一堂に集めたアジア最大級の国際展示会です。2024年も10月2日(水)から10月4日(金)までの3日間、東京ビッグサイト東展示ホールで開催されました。リアル展とは別に2024年9月2日(月)~ 11月1日(金)までウェブ展も開催しています。
車いすで使いやすいEV急速充電器とは
新電元工業のブースでは車いすドライバーが操作しやすい急速充電器を出展。すでに2年前から販売中だが、認知普及も考えて、このH.C.R.に初出品となった。
車いすのEVオーナーが出先で充電をしようとする場合、運転席側に余裕を持った間隔を空けた状態で車両を止め、ドアを大きく開いて車いすを出してそこに移るため、駐車スロットはある程度広くなければならない。
そこからは充電口を開けて、充電プラグを充電口に差し込み、操作パネルを使用して充電を開始するわけだが、充電口が運転席側にあればよいが、助手席側ならばそこまでの車いすの動線が必要。重いケーブルのつながった充電プラグをもって(膝にのせて)さらに車いすを動かすのは厳しく、充電用の駐車スロットに傾斜がついていたらなおさらである。
充電プラグを差し込んだとしても、そこから操作パネルまで戻るには太い充電コードが邪魔で動けなくなることもある。操作パネルにはたいてい衝突防止ポールや段差があって車いすが近づくことすら許さないという状況も。そして操作パネルの位置が高すぎたり、斜め上方に向いていて車いすから操作パネルの画面が見られないなんてこともある。
これまで健常者目線で、なおかつ使い勝手よりもこの充電器を守ることを前提に設置された急速充電器が多い。最近になって、各高速道のSAなどの充電器スペースでは、ようやく充電器の周りが広く、操作パネルまでの高さが1.4m以下というような誰でも使いやすいダイバーシティな環境になってきつつあるが、それでもまだまだ改善の余地があるのも事実。
今回、新電元が会場でお披露目したのはバリアフリー化を進めたEV用の急速充電器60kWモデル(同サイズで50kWの低圧受電契約対応モデルもラインナップ)。すでに販売は開始されており、現在は朝霞市役所などで実際に稼働している姿を見ることができる。すでにユーザーからは使いやすいと好評のようだ。