アバルト124スパイダー再登場! 再購入の理由と新たな魅力
TEZZOですでにパーツ開発を終え、すでに手放してしまったアバルト「124スパイダー」ですが、再び手に入れた(それも新車価格よりも高い値段で)そうです。いまさらどうして124スパイダーなのか、太田さんに語ってもらいました。
マツダ・ロードスターのパワー不足の悩み
2017年1月に日本で発売された当時、すぐにアバルト「124スパイダー」をTEZZOのデモカーとして導入した。公道向けに「LXY」仕様を開発し、その後、サーキットを重視した「RT-1」にモデファイして役割が終わり手放した。しかし時が立ち、再びアバルト124スパイダーを導入することに。なぜ生産終了後のこのタイミングで、再び手に入れたのか、その動機を追った。
現在、僕はマツダ・ロードスターNR Aでサーキットに毎週のように通っている。選手仲間と一緒に走って走り方を比べ、走行後にロガーデータで走りを分析する楽しさは格別だ。
しかし130psのNA(自然吸器))1.5Lエンジンは単独走行の際には物足りなさを感じる。もっとパワーがあればもっと楽しいよなぁ。テクニカルコースの筑波サーキットならまだしも、袖ヶ浦フォレスト・レースウェイのようなストレート長があるサーキットに行くと、他の車種に直線でバンバン抜かれてしまって悔しい。
ターボモデルを出してくれないかなぁ〜、自分でターボをつけちゃうかなぁ〜と考えるうちに、天の声が聞こえてきた。「そうだ、アバルト124スパイダーがあるじゃないか!」
アバルト124スパイダーの魅力とは
アバルト124スパイダーは、アバルトとマツダがコラボして生まれた奇跡の1台。ベースはNDロードスターだけど、170psのパワフルなアバルト製ターボエンジンが搭載され、まったく別の走りとフィーリングが味わえる。
イタリア車好きからは、「広島製」と揶揄されることもあったが、イタリア車の現状を知ると、それも安心材料だ。例えばランチア「デルタ」やアルファ ロメオ「アルファ ブレラ」などの生産数が極端に少ないモデルはそれなりに壊れて(それは許容できる)、でもメーカーからのパーツ供給が続かないと不動車となってしまうリスクがある(それは困る)。
その点アバルト124スパイダーは、生産数の多いアバルト「500/595」用のエンジンパーツを流用できる可能性が高く、その他の機能パーツもNDロードスターと共用が多いため、長く乗れるはずだ。
またマツダ ロードスターと同様に、シンプルな横滑り防止装置のみで、最近のスーパースポーツにありがちなお節介な電子制御がなく、ピュアな点がうれしい。FRの楽しさを純粋に味わえるこんな小型オープン2シーターは、もう出てこないかもしれない。たぶん一生ものだろう。
運命の1台をゲット!
探し始めてみたところ、なんと走行距離2000kmの新車同様のアバルト124スパイダーを発見。色は情熱的な赤。まさに運命の出会いだ。しかし問題は価格で生産中止後に相場が上がり、新車よりも高価になっていた。とは言え、この機会を残すとさらに値上がりする可能性もあるので、えい、即決だ。
ということで現在は無事に納車された。TEZZOでの開発車両としての役目はすでに終わっているので、新しいテーマが必要だ。次回はこの124スパイダーで何をするのか、その予定をお伝えしよう。
■太田哲也さんのコラムはこちら
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