日本よりも厳しい? ドイツの駐車場事情
ドイツ在住で、欧州のモータースポーツ取材を中心に活動している池ノ内みどりさん。拠点にしているミュンヘンでは、音楽イベントも頻繁に行われているそう。賑わうことはいいことですが、その弊害として駐車場問題があるとのこと。居住者も停められないような違法駐車なども多く、困っているそう。池ノ内さんが遭遇した、日本ではありえない駐車場トラブルとは?
コンサートを観に来たファンと住民が必ず揉める
コロナ禍が明けてからは、ミュンヘンでは大きなコンサートラッシュです。1972年のミュンヘンオリンピック開催後、その会場は今では市民の憩いの場でもあり、運動公園として利用されているのですが、その中にはオリンピックスタジアムがあります。
そこではさまざまな野外コンサートも開催されているのですが、少し前にはAC/DCやテイラー・スウィフト、ここ最近ではコールドプレイが来て、その後はジャスティン・ティンバーレイクも。世界的な超有名アーティストが来ても、家の中で十分な音量で聴こえるのでチケット要らず。オリンピック公園の山には数多くの人が音漏れを聞く「無料コンサート」を楽しみに来られるのですが、その人数はとんでもないのです。
そのオリンピックスタジアムの近隣住民は、イベントや晴れた日の週末や祝日には駐車スペースがそれらの来場者に取られてしまい、停められないという事態になります。また、市役所で取得する住民専用駐車証を持っているクルマだけが駐車できるエリアにも、堂々とそれらの来場者が停めて住民vs観光客のケンカや当て逃げにうんざりします。
私は数年前から自宅周辺にしてはお安めの地下駐車場を見つけて借りているので安心ですが、先日のとあるコンサートの日は、ご近所の方らしき女性が観光客と駐車スペースを巡って口論となり、その場から警察に電話して「この人たちのせいで住民が駐車するスペースがない、どこに駐車しろというの!」と大激怒されていました。
私もガレージを借りる前、運悪くコンサートの日に仕事から帰って来て駐車スペースがなく、仕方がないので郊外のファストフード店に行って時間を潰してから帰るということを強いられていましたので、気持ちはよくわかります。
私も以前に所有していた歴代愛車の3台が十円傷のレベルを超えて、もはやドライバーかアイスピックで大々的に落書きをされたり、当て逃げ、アンテナ盗難など散々な目に遭いました。しかし、警察は証拠がなければまったく動いてもくれないので、泣き寝入りしかありません。何回も最寄りの警察にそれらを訴えていたために、逆に保険金詐欺を疑われて酷い扱いを受け、もうトラウマになりそうでした。
海外で事故を起こしても謝るなというのは本当だった
また、家の前に駐車していた納車からわずか数カ月のピカピカの愛車が、2軒隣のアパートに住む若い女性がバックに失敗して、大事な愛車をボコボコにされたこともあります。それでも彼女は一切謝らず、言い訳ばかり。「ただ、素直に認めてすみませんでした、となぜ謝らないのですか?」と何度も聞いたら、その女性の職場の上司という男性が私に電話をかけてきて、「私の部下を脅迫するのは止めてほしい」と呆れたことを言い出すではありませんか。いやいや、謝罪を求める私が脅迫になる? 酷い話ですよね。
海外で事故を起こしても謝ってはいけない、というのを以前から見聞きしましたが、この時によ~く思い知らされました。おまけにこの女性は無保険ということがわかり、弁護士に依頼するハメになるという最悪な事態へと発展しました。私のクルマは駐車中で運転手不在だったため、もちろん過失割合はゼロです。それでも絶対に謝りませんでしたね、この女性。これがドイツで一番治安が良いとされる大都市で起きる日常です。
最近はコンサートや大型イベントの際には、警察や市の職員の方が精力的に駐車禁止の切符を切ってくださっていますが、その額は最高でも40ユーロ(約6500円)とそんなに高くないのでなかなか違法駐車が減らないのが現実ですし、暗がりでは当ててもバレないと思ってそのまま逃げてしまうんでしょうね。
コンサートが始まっても駐車場を探して近所を何周も回っているクルマも見かけますし、コンサート後には渋滞でなかなか出られずイライラした怒りでクラクションを鳴らしまくるクルマであふれ……。きっと日本でも観光地近辺にお住まいの方は同じ状況なのでしょうね。