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「PROXES Sport2」は、スポーツタイヤに求められる性能をすべて盛り込んだ「欲張りなタイヤ」でした【チューナーが試す最新タイヤ】

PROXES Sport2:タイヤのイン側はドライ/ウエットのグリップ力/接地性向上を、アウト側はハンドリング性能を受け持つ

自社走行会の開催やタイムアタックイベントへの参画などブランドの周知活動が盛ん

「オープンカントリー」「トランパス」など人気のタイヤブランドを抱えるTOYO TIRESが、現在力を入れているのはグローバル・フラッグシップタイヤの「PROXES」です。自社のサーキット走行会を開催したり、チューニングショップのタイムアタックイベントにタイヤを供給するなど、活動の幅を広げています。今回は同ブランドの最新タイヤ「PROXES Sport2」の魅力に迫ります。

耐久レースのノウハウが投入された次世代を担うタイヤ

TOYO TIRESのグローバル・フラッグシップブランド「PROXES」のニュージェネレーションタイヤとして注目されているのが2023年初頭に登場した「PROXES Sport2」と「PROXES Comfort IIs」。ともに同社の最上級に位置するモデルで、縦に4本走るグルーブと非対称トレッドパターンの新プロファイル、万能な性能を持たせるコンセプトは共通。

ただし、前者はよりスポーツ性能を、後者はコンフォート性能重視とキャラクターは異なる。さらに、2020年から新車開発の聖地と呼ばれるドイツの「ニュルブルクリンクサーキット」を含む耐久レースに参戦して得られた知見が活かされた初のタイヤであることが大きな意味を持つ。

これまでとは異なる設計思想で作られたこの2つのタイヤを、プレミアム&スポーツタイヤ市場における足掛かりとして、ブランド力を強化していくのがTOYO TIRESの描くストーリーだろう。

今回は新作2本のうち、プレミアムスポーツのカテゴリーを受け持つ「PROXES Sport2」に焦点を当てる。その特徴はひと言で表すなら「非常に欲張り」で、市販スポーツタイヤに求められるオールラウンドな性能をバランスよく引き出すことを目指して開発されたモデルだ。

アウト側、イン側で異なる性能を持たせることでトータル性能を引き上げる

その性能を具現化するための要となるのが前述した“非対称トレッドパターン”と“非対称トレッドコンパウンド”。タイヤのイン側はドライ/ウエットのグリップ力/接地性向上を、アウト側はハンドリング性能を受け持つ。さらに、サイド部のたわみを最適化する新しいプロファイル形状が、荷重のかかったときのタイヤ変形を抑え、ハンドリング性能をより引き上げる。レースで得られたこれらの技術をフル投入し、それをいい塩梅にまとめ上げている。

リリースを読む限りでは、トータルバランスに優れ、マルチに使えるスポーツタイヤであることがわかるが、実際のポテンシャルはどうなのか。初めてPROXES Sports2を履いた複数のショップスタッフにコメントを求めた。

まず話を聞いたのは、愛知県一宮市でBMWをメインに据え、多くの欧州車のチューニングカーを手がける「オートスタイリングショップ・ドルト」の吉田 武代表。PROXES Sport2をデモカーのBMW「M4コンペティション」に装着したのは最近のこと(最近までタイヤ設定がなかった)だが、それ以前にミニ ジョン・クーパー・ワークスGP」で試しており、すでに数千km走らせている。

トータルでならミシュランやコンチとも向こうを張れる

「当社ではM4用として、TOYO以外に、純正品を含めてミシュラン/コンチネンタル/ピレリの4種類のタイヤ&ホイールを準備しており、同じクルマに装着してどのような違いがあるか、お客様へのフィードバックを含めて定期的に交換して試しています。正直、TOYOはこれまではミニバン、SUV向けのタイヤメーカーという印象で、ショッピングリストに載りませんでした。しかし、ドイツで作り込まれたタイヤという触れ込みもあり、試したところ、トータルでならミシュランやコンチネンタルとも向こうを張れる性能をもち、正直いい意味で期待を裏切られました」

プロファイル、ショルダーの形状を含めて国産タイヤよりはプレミアムタイヤの王道といえる欧州タイヤの考えを取り入れており、とくにコントロール性が優れている。さらにステアリングの応答性、乗り味を含めてトータルで不満がない。さらにウエット性能も高く、630psのFRであっても路面とのコンタクト性も秀逸。TOYO TIRESが掲げたコンセプトどおりのオールラウンダーな性能を持ち合わせている。

ドライ/ウエットともに欠点らしい欠点は見当たらない

「0km/hからのフル加速でも、純正タイヤでは3速まで横振りしますが、PROXES Sport2は3速で十分なトラクションが得られ、グリップの面も問題なし。低偏平ながら路面の凹凸に対しての吸収性も優れているのに驚きました。

プレミアムレンジのタイヤは、これまでも水はけをよくするために、さまざまなプロファイルが試されてきましたが、ここ数年、欧州銘柄を中心にトレンドと呼ばれるものがあり、それを加味したうえで、各社パターンに工夫を凝らして個性(性能)を引き出している印象です。PROXES Sport2もその新たな流れを組んだタイヤと言えるでしょう!」

ライフについては未知数だが、ドライ/ウエットも欠点らしい欠点はなく、欧州車ユーザーにも安心して勧められる1本だと太鼓判を押す。

「お世辞なくプレミアムスポーツタイヤとして世界に追い付いてきたタイヤです。ただし、多くの人にこのよさを認めてもらうまでは時間がかかるでしょう。けれど、ここまでのものができるのならば、進むべき方向は間違っていない。このまま邁進してほしいですね」

サーキットでタイムを競うのならば別の選択となるが、ソリッド過ぎないハンドリングは誰にでも受け入れられやすく、とくに高速道路を使って長距離を走るオーナーには好まれるはず。PROXES Sport2は欧州車の名門チューナーの心を確実に掴んだ。

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