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オランダのカップルは3万キロ走破! 3カ月のバカンスは当たり前!?…そしてついに65センチのバラマンディがヒット!【豪州釣りキャンの旅_08】

オランダから来たという若いカップル。オーストラリアを3カ月かけて旅行中

釣り仲間と3人でのフィッシングトリップは最高潮へ!

オーストラリア・ノーザンテリトリー州でトヨタ「ハイラックス」ベースのキャンピングカー、アポロ「キャンパーバン」をレンタルして、釣り人としてバラマンディの大物を狙う23日間の旅をレポート。釣り仲間と男3人、カカドゥ国立公園で2日間フィッシングをしたものの、ちょっと不完全燃焼。マリーリバー国立公園へ移動して、あらためてバラマンディ釣りに挑みます。

古代の壁画に描かれたバラマンディに願掛け

ボートのエンジントラブルによって、たった1時間で楽しみにしていた釣りが終わってしまった。その日は、ジバイユから100kmほど東にあるウビルという景勝地を観光する予定だった。そこはオーストラリアの先住民である「アボリジニー」の聖地で、古代の壁画が見学できるという。釣りがメインとはいえ、カカドゥ国立公園の有名ポイントは訪ねてみたい。

近年、アート界ではアボリジニーの人たちの絵画やデザインが高い評価を受けていて、ぼくもいい作品があればお土産に買って帰りたいと考えていた。彼らの作品が展示されているボーダーストアも楽しみだ。

ウビルに行ってみると、順路に沿って洞窟に描かれた壁画を見ることができた。なかには、明らかにバラマンディの姿を描いた絵もあり、3人で最後のチャンスで大物が釣れるよう頭を下げて願掛けをした。

見学の最後は小高い丘だ。360度、ぐるりと熱帯雨林の森や湿地帯が見渡せ、古代の霊が降りてくるような清々しい気持ちになれた。

オランダ人カップルはメルボルンからオーストラリアを半周!

その日はウビル近くのメールというキャンプ場に泊まろうと思っていたが、釣りガイドのサイモンから「あそこは蚊がすごい。やめたほうがいいよ」と、繰り返しアドバイスがあった。野外で料理と食事をしてテントで寝るというスタイルにとって、蚊は天敵だ。虫除けや蚊取り線香は持ってきたが、大群で襲われると太刀打ちできない。かつてサハリンに釣りの遠征をしたときに、酷い目に遭ったことがある。蚊は避けるに限る。

というわけで、メールは諦め、イエローウォーター・キャンプグラウンドにチェックインした。ここは1泊70ドルと少し高いが、シャワーやプールなどの設備もきれいだ。近くから湿地帯を巡るクルーズ船も出ていて、これもよさそうだった。

隣のサイトに泊まっていたのが、オランダから来たというカップル。ほかのレンタル会社のキャンピングカーで旅行をしている。

「どれくらいの予定なの?」と聞くと、「3カ月」という答えだった。「え~、どうやったら3カ月も休めるの?」と、ケンさんとキクが同時に声を上げた。日本人の感覚でいうと3カ月は長いが、他の国の人からすれば当たり前。逆に1週間は短くてビックリされる。まあ、こんな休日に対する考え方の違いも、これから変わっていくのかもしれない。

それよりも、ぼくが驚いたのは、彼らのルート。メルボルンから出発して、南オーストラリア、西オーストラリアの海岸線を回ってきたという。「え!? 走行距離は?」と聞くと、「3万km」という。「オランダ10周だね」というと、「それより長いかも」と笑顔を見せた。ぼくが「キャサリンからアリススプリングスまで走るよ」というと、「1000km以上あるでしょ。ぼくたちは飛行機でいきます」と笑った。

バラマンディの「ビアバター」が絶品!

翌朝、マリーリバー国立公園のウィルダネス・ロッジを目指して出発。ハイウェイから外れてアンシールド・ロード(未舗装路)走行となった。クルマのマニュアルでは、走行中に2WD→4WDの切り替えができるとなっていたが、念のためクルマを止めて操作する。切り替えスイッチはハンドルの左下にあった。アウトバックの雰囲気満点だ。

夕刻、文字どおりワイルドなキャンプ場に到着。次の日は、朝からフルデイのフィッシング、大物を狙う最後のチャンスとなる。

キャンプの食事も飽きてきたので、施設に付属しているビストロで食事をすることにした。ぼくはバラマンディのビアバターをオーダーした。ビアバターとは、衣にビールを混ぜる調理法で本格的なフィッシュ&チップで用いられる。食べてみると、これが絶品!かなりの腕前のシェフとお見受けした。

そのことをレセプション、バー、ビストロをひとりで切り盛りしている青年に告げると、「明日の釣りのガイドですよ」という。ガイドでシェフか。きっと面白い人物に違いない。

65センチの美しいバラマンディを釣り上げた            

ガイドのラスカルは、独特の雰囲気がある人物だった。フィッシングガイド、シェフのほかにハンティングのガイドもするという。「何を狙うの?」と聞くと、「イノシシと野生の水牛」と答えた。水牛は、固有種ではなくアジアの国から連れてこられて自然に繁殖したという。そういえば、ダーウィンで行った釣具屋には、猟銃も売っていた。ここでは、ハンティングも人気があるスポーツなのだ。

最初に入ったポイントは川の流れ込みで、絶好の場所にボートを止めた釣り人がガンガン、バラマンディを釣り上げていた。明らかにイーストアリゲーター・リバーの魚より大きい。ぼくたちがとりあえずの目標に定めた70cmも混じっている。ちきしょう! と、今度は80cmオーバーだ!

何ぃ~! 負けてたまるか!

3人でキャストを続けるが、後ろから投げている分、ベストのポイントにもう少し届かない。相手が立て続けにヒットし、こちらがボウズという状態が続く。こんなに悔しい状況はない。30分以上経ち、ついにケンさんにヒット。60cmオーバーの良型をキャッチした。

そして、ぼくのロッドにもようやく幸運が訪れた。65cm、この遠征で最大で最も美しいバラマンディを獲ることができた。よかった!こんな幸せはありません!

午後もみんなでいいサイズの魚を釣り上げ、笑顔での納竿となった。その晩はウィルダネスロッジにもう1泊し、ビストロで打ち上げをして3人のフィッシングトリップは終了した。

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