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高速道路の逆走やブレーキペダルの踏み間違いは日本だけじゃなかった!…高齢者による悲惨な事故はドイツでも同じです【みどり独乙通信】

アウトバーンのイメージ

速度無制限区間もあるドイツ・アウトバーン

ドイツにも日本と同じような問題が……

高齢者による、悲惨な交通事故の話題が絶えません。それはドイツでも同様で、とくに高速道路では速度無制限区間もあり、日本より危険な環境にあると言ってもいいでしょう。自身も逆走するクルマと遭遇したことのある、ドイツ在住の池ノ内みどりさんがレポートします。

逆走車がいることをラジオでよく聞く

日本でもお年寄りの運転能力や事故のニュースはよく目にしますが、こちらドイツでも同様に昨今のテーマにもなっています。もちろん、交通事故を起こすのはお年寄りだけではなく、あらゆる年代にも該当するテーマなのですが、ドイツには日本のように高齢運転者標識(シニアマーク)はありませんので、ぱっと見た感じではお年寄りが運転しているのかどうかはわかりません。ただ、アウトバーンや郊外の国道で異様に遅いクルマが走っていて、追い越しをした際にちらっと見るとお年寄りだったという確率は結構高いと感じています。

ある日、近所の交通量の非常に多い道路で、朝のラッシュ時間帯に94歳のおじいさんが運転するクルマが、路肩に停まっている縦列駐車にぶつかって横転する事故を起こしました。幸いにも94歳のおじいさんには大きなお怪我はなかったようですが、都心に近くバスの本数も多い地域なのに、なぜわざわざクルマを94歳にまでなって運転する必要があるのか? と物議をかもしました。

スーパーマーケットの駐車場では、杖をつきながら歩くのもおぼつかない老人が愛車を運転している姿を見かけることもあります。それぞれ事情があるのでしょうが、見ているこちらがドキっとしてしまいます。ドイツの老人は日本人よりもMT車に乗っている方も多いのですが、やはりお年を召してからAT車へ乗り換えた方の踏み間違え事故もニュースになっています。

ドイツのアウトバーンは通行料が無料のため、日本のように料金所がありませんので、逆走が起きることも日常的。カーラジオの交通情報でも逆走情報がよく入ってきます。私は一度だけ一般道で遭遇したことがあるのですが、本当にビックリしました。それがもしもアウトバーンの速度制限解除(速度無制限)区間で遭遇してしまったらと思うとゾッとします。

ドイツ語では逆走車の事を「Geisterfahrer(ガイスターファーラー=幽霊ドライバー)」や「Falschfahrer(ファルシュファーラー=間違いドライバー)」といいます。カーラジオから逆走車情報が流れるたびに、「追い越しをしないでください!」と呼びかけられるのですが、いざ逆走車に直面したら、一体どうすればよいのかパニックに……。とりあえずスピードを落としてなるべく脇に寄ることしかできませんでした。

高齢者がアウトバーンで運転操作を誤る事故も多発

ご老人の事故といえば、2024年10月10日に北ドイツのアウトバーンA23号線であった事故が話題になっています。というのも運転していたのは84歳の女性。しかも、その女性が運転されていたのは超ハイパフォーマンス・ラグジュアリーSUVです。この84歳の女性は雨が降って路面が濡れていたにもかかわらず、速度制限が解除になり加速した際にリアのコントロールを失ってスピン。立て直すことができずにほかのクルマにもぶつかりながら横転したそうです。

幸いにもこの84歳の女性や同乗者、ぶつかられた方も軽傷だったそうですが、一歩間違えればとんでもない大惨事です。日本での販売価格は4760万円~で、この84歳の女性の車両は特別仕様だったということで65万ユーロ(約1億600万円)という驚き価格のSUVは無残にも廃車となりました。

このクラスのクルマは、ちょっとやそっとの加速ではとても安定していると思いますので、おそらく頑張ってアクセルを踏んだのかな? と予測します。どうやら事故を起こした84歳の女性は、テレビの通販番組に出演する有名な方で、ハイパフォーマンスモデルを何台も所有されているそうです。

現在、日本では75歳以上の方が免許更新を希望する際には、認知機能検査と高齢者講習と運転技能検査(該当者のみ)の受講が義務付けられていますが、ドイツでは現在はそのような制度はありません。シニア世代の事故がニュースで放送されるたびにそれらの必要性についてメディアで取り上げられることも増えてきました。

EUヨーロッパ連合では、例えば、医療機関での診断が必要ではないかなど、EU加盟諸国共同でシニアドライバー対策について話し合いが重ねられているそうですが、一体どうなるのでしょうか。

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