初めてでも楽しめる奥深きラリーの世界
関東デイラリーシリーズの第4戦「ソネット・ラリーin日光」が2024年9月1日に栃木県・日光で行われました。ビギナーが自分の普通のクルマで参加できて、ラリーの基本を学べて、さらに競技ライセンスも取得できるイベント、「デイラリー」にスズキ「キャリイ」で参加した親子を紹介します。
父の軽トラで娘がエントリー
知り合いのつてで、軽トラックで出てみないかと誘われて、ルールも何もわからず来てしまったという、まっさらのラリー競技初心者が関東デイラリーシリーズの「ソネット・ラリーin日光」 におられました。それも親子クルーでの出場です。
2024年9月1日、関東デイラリーシリーズの第4戦、栃木県日光大室の高龗(たかお)神社を拠点に展開されたソネット・ラリーに、並木和也さんとみちるさんの親娘がキャリィで参戦。みちるさんはドライバー、和也さんはナビゲーション役のコ・ドライバー。デイラリーがどんなものなのか、初参戦インプレッションを聞いてみました。
「テレビでWRCを見たり、ゲームもしていたりで、ラリーってカッコいいなぁと思い、好きになってます」
と父親の和也さん。モータースポーツのラリー競技は、クルマを使ってのスポーツ。このところ数年来「トヨタイムズ」のテレビCFの放映にもよく出くわし、日本全国に伝えられているWRC(世界ラリー選手権)でのトヨタ「ヤリス」の大活躍にも触発され、ラリーってなにかワクワクさせられるクルマを使ったスポーツであると、若者たちが思い始めている風潮もみられます。
並木さんも、ラリーは大好きとは言うものの……。
「でも、WRCのようにまさかあそこまで速く走るのは無理だと思い、さらにこれだけの方が(編集部注:経験豊富な今回のデイラリー参加者の方々)ものすごく本気でやっているので、勝てるわけはないとは思ってましたが……、いきなり絶望感を味わいました」
コースルートを導く書面の「コマ図」にあった着眼点のカーブミラーを見落とし、初っぱなからミスコースしてしまったそうです。
「競技が始まった瞬間に、スタート前にいろいろ教えてくれていたチームの人たちは誰もいなくなって、クルマの中のふたりだけ。どっち行っていいか何をしていいか分からなくなって、5分ぐらいでもうやめようかと思いましたね!」
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
ラリーだったら落ち着いて勝負できるかも?
そんな奈落の底のような気持ちから、
「通りがかった地元の人がいて、あれここじゃないの? とカーブミラーがあって。そこからは分かりましたよ、ここだ! と」
クルマの中に閉じ込こめられてしまったようなどうしようもない事態を脱し、周囲の状況判断がみるみる動き出していったようです。
「やっぱり間違えないと分からないじゃないですか、ほんとうの正しさが」
スポーツ性を駆使しながらゴールに無事帰還するための原点「コマ図」に立ち返ることを突きつけられた、ともいえるミスコースの洗礼。その後については以下のようにコメント。
「めちゃくちゃ忍耐でしたよ、ラリーってどんなものかと思ってましたがさらに好きになりました。レースは速い人は速いので、私にはちょっとセンスなく勝てないかな? とも思うんですけど、このラリーだったら落ち着いて、勝負できるかなあ……」
と、スポーツ後の意欲もちらり。
ドライバーとして、初参加の娘のみちるさんは20歳。普段乗っていない父が使っているという軽トラックでエントリー。
「山道を走るのも初めて、でも怖さなどなく楽しかったですね。雨後で川ができていたりの山道は、意外と好きでした。これだけの経験ある方が参加しているイベント、奥が深いということもよく分かりました。趣味として始めましたが、いい経験ができて良かったです」
父からは、みちるさんは以下のように見えていたそうだ。
「途中から悟っていたようになっていた、急に何かに取り憑かれていたかのようにスムーズに運転してました」
今回、無事に完走してBライセンスを申請するとのこと。5分で辞めなくてよかった——いまや「スタート直後の絶望感」は、遠くから別の輝きを放っていました。
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