ポルシェ マンタイパフォーマンスキットがいよいよ日本に導入
ポルシェはこれまで幾度となくニュルブルクリンクでの速さにこだわりをみせ、さまざまなモデルでタイムアタックを繰り返してきました。そんなポルシェとともにニュルのタイムアタックを行い、さらに多くの耐久レースでタイトルを獲得してきたレーシングチームが、ニュル仕込みのグレードアップキット「ポルシェ マンタイパフォーマンスキット」を共同で開発しました。
ポルシェとマンタイレーシングという最強のコンビ
ポルシェジャパンは、「911」や「718ケイマン」にラインアップするGTモデルのサーキットなどのスポーツ走行において性能を高めるポルシェ純正アクセサリーの「ポルシェ マンタイパフォーマンスキット」を発売した。
このキットはポルシェ車の性能を最適化するグレードアップキットで、エアロダイナミクスパッケージやサスペンション、ブレーキラインなどから構成されている。対応車種は「718ケイマンGT4」、「718ケイマンGT4 RS」、「911 GT3」、「911 GT3 Touring」(911は992前期型)の4モデル。
じつはこのキットはドイツで2022年から販売されており、いよいよ日本に導入されたというわけだ。このキットを装着した911 GT3は、ニュルブルクリンク北コースで6分55秒737を記録(20.8kmでの計測)。一概には比べられないが、2020年に992前期型の911 GT3が6分59秒927(20.8km)を記録している。
どちらもドライバーはポルシェ開発エンジニアにしてレーシングドライバーのラース・ケルン氏によるもの。タイヤもミシュランのPILOT SPORT CUP 2 Rだという。この結果からポルシェ マンタイパフォーマンスキットを装着することで、ポルシェ車の走行性能は確実に向上するといっていい。
ちなみに、ニュルブルクリンク北コースのラップタイムを計測する際は、以前は20.6km地点で計測されていたが、現在のニュルブルクリンク公式記録は20.8km地点(正確には20.832km)での計測に統一されている。
マンタイレーシングと共同開発
さて、キット名にある“マンタイ”という言葉。モータースポーツに興味のある方なら耳にしたことがあるはず。そう、ポルシェとタッグを組み、モータースポーツに参戦しているドイツのレーシングチーム「マンタイレーシング」のことだ。1996年に創業したマンタイレーシングは、これまでにニュルブルクリンクの耐久レースにて通算54勝を挙げており、2006年から2009年までニュルブルクリンク24時間レースを4連覇するなど活躍。
2018年にはポルシェとタッグを組んで開発した「911 GT2 RS MR」がニュルブルクリンク北コースで6分40秒33(20.6kmでの計測)という公道を走行できる量産車(カテゴリーは改造車)での最速ラップタイム(当時)を記録。車名にある「MR」はマンタイレーシング仕様であることを表しており、この「911 GT2 RS MR」は空力パーツや足まわりの変更がほとんどで、エンジンやトランスミッションなどパワートレイン系には手を加えていなかったという。
量産車によるニュル最速はポルシェ マンタイパフォーマンスキット装着車
911 GT2 RS MRが2018年に「6分40秒33」を記録した後、2021年にポルシェ マンタイパフォーマンスキットを装着した911GT2 RSでタイムアタックし、そこで6分38秒835(20.6km)/6分43秒300(20.8km)を記録。こちらは量産車のスポーツカー部門での最速タイムとなっている。
このポルシェのエンジニアとマンタイレーシングが共同開発したアップグレードキットの税込価格は、718ケイマン GT4用が397万7600円(消費税込/以下同)、718ケイマン GT4 RS用が801万7900円、911 GT3用が895万9500円、911 GT3 Touring用が514万3600円となっている(911は992前期型)。
外観を変更するエアロダイナミクスパッケージは、フロントまわりにスポイラーリップとサイドフラップを装備。これによりフロントアクスルのダウンフォースを増加させるという。リアには大型でワイドなウイングとカーボンファイバー製ディフューザーを採用。リアホイールには空力効率を高めるエアロディスクを用意し、これもカーボンファイバー製となっている。このほか、コイルオーバーサスペンションやスチールスリーブ付きブレーキラインセットが用意されている。
さらにオプションとして軽量ホイールセットやレーシングブレーキパッド、牽引ループのトーフックなども設定している。このキットは、トレーニングを受けたマンタイ認定ポルシェセンターで購入および取り付けが可能となっている。もちろん、装着にあたり公道での走行に問題はなく保証にも影響しない。
ただし、これらのパーツはあくまでもサーキットユースをターゲットとしたもの。決してエンジンパワーを上げたり、乗り心地が向上したりするものではない。サーキットでより速く走るために用意されたものだ。
ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京でドライビングプログラムを実施
価格も高額で、購入するにしても事前に効果のほどを体験したいという人も多いはず。そこでポルシェでは千葉県木更津市にあるポルシェ・エクスペリエンスセンター東京に、ポルシェ マンタイパフォーマンスキットを装着した911 GT3を用意。ニュルブルクリンクの「カルーセル」やラグナ・セカの「コークスクリュー」など名物コーナーをコースの一部に模したハンドリングトラックなどで、そのパフォーマンスを体感できるドライビングプログラム(16万円/90分)を準備している。
ポルシェ&マンタイレーシングの“速く走るための”ノウハウを注入し、ニュルブルクリンクの北コースで鍛えられたポルシェ マンタイパフォーマンスキットを一度試してみてはいかがだろう。そしてその走行性能向上を体験したら購入を検討してみてほしい。