流麗なボディラインを持つ極上コンディションのバイオレット ハードトップ
2024年10月20日に埼玉県川島町役場にて今年で4回目となる「昭和平成なつかしオールドカー展示会」が開催され、300台を超えるクラシックカーが集結しました。そんな会場で見つけた気になる車両とオーナーをピックアップ。今回は、L字のテールランプが特徴的な日産初代「バイオレット」を紹介します。
義父から譲り受けたグリーンのハードトップ
会場内で珍しい車両を発見。L字のテールランプが特徴的な日産初代「バイオレット」の2ドアハードトップだ。510型「ブルーバード」の事実上の後継モデルとなったバイオレットだが、現存台数は少なく、イベントでも見かける機会は少ないはずだ。オーナーの廿楽(つづら)さんにお話を伺ってみた。
「このクルマは義父が中古で入手して乗っていたもので、今から20年ほど前に譲り受けました。義父は日産のメカニックをしていて、このバイオレットが大好きだったみたいです」
廿楽さんが所有しているのは、1973年式の「バイオレット ハードトップ 1400デラックス」で、このグレード専用のホイールキャップや明るい色味のインテリアなどもしっかりと残っている。トップグレードの1600SSS以上に、良い状態で残っている個体は希少といえるだろう。
510型ブルーバードに続いてラリーでも活躍した
1971年に610型となる「ブルーバードU」が登場するも、先代の510型ブルーバードと比べて車格が大きくなってしまったため、その後1年ちょっとの間、エントリーグレードのみ510型ブルーバードを併売することとなる。この510型ブルーバードの事実上の後継モデルとしてブルーバードUよりも下の車格でデビューしたのが、バイオレットだ。型式も610型に続く710型が与えられた。
バイオレットというと、510型ブルーバード同様にラリーでも活躍したスポーツグレードの1600SSSが有名だが、SSS以外は独立懸架ではなく、一般的なリーフリジッド式のリアサスペンションが採用され、4ドアセダンはタクシーにも採用された。今回紹介するのもL14型を搭載した「デラックス」という、ハードトップでは最も低いグレードとなる。
義父の意思を受け継ぎオリジナルを維持
イベントなどでも同じクルマと遭遇するケースは少ないそうで、必要最低限の消耗パーツ収集は欠かせないという。エンジンはL型で足まわりは510型ブルーバードとの共通パーツが多い。ただボディパーツはすでにほぼ全滅なんだとか。
外装は一度同色でリペイントされているそうだが、内装はオリジナルのまま。走行距離も少なく、かなり状態も良い。このバイオレットに関してはオリジナルを維持するよりカスタムしてしまう方が楽なはずだ。それでもオリジナル状態の維持にこだわっている理由を聞いてみた。
「義父もそうだったんですが、“当時の状態で後世に残すことに意味がある”という考えに私自身も共感しているからですね。この状態を維持していくのが譲り受けた自分の課題です。目標は“日本で一番元気なバイオレット”でいることですかね」
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)